2023/09/27
コラム
東京湾のドラゴン~三浦半島鴨居大室港出船~
2020年、テンヤ釣法の拡大と全長120cmを超える「ドラゴン」級タチウオの好況により、東京湾にテンヤタチウオブームが巻き起こり、翌年に釣果がやや落ち着きを見せ始めると、今度は圧倒的な釣果をたたき出すバイブレーション釣法が出現した。
そしてブームから3年が経過した今年、東京湾は大、中、小交じりの、以前の海に戻ったと言われる。
ただ、2020年以前と異なるのは、テンヤが東京湾に根付き、今なおテンヤはドラゴン出現率が高いことだ。
INDEX
「昨年までと違い、今年の東京湾はバイブレーション以外で釣れることも、硬い竿だけでなく軟らかい竿も有効というのも間違いありません。でも逆に言えば、今も硬い竿でのバイブレーションは主力です」
8月の走水沖、水深64m。富所潤さんは指示ダナを省エネバイブレーションで探り始める。
「東京湾のドラゴンがスレたり、大型の比率が下がれば、これまで圧倒的な効果を発揮していた大羽イワシも、バイブレーションも、当然シビアに選ばれるようになります。実際、エサのシルエットを控え目にしたり、きれいに付けないとアタリが出難いことも珍しくありません」
東京湾のテンヤタチウオを再点検するかのように、富所さんはイワシをひときわ丁寧に付ける。
「釣り方も、あらためて省エネバイブレーションをしっかりと、正確に行って潮ヨレを探していきます」
今回使っている竿はサーベルマスターリミテッド91HH170。最先端のテクノロジーにより作られた、シマノ最高峰のテンヤロッドだ。
「91HH170はバイブレーション釣法に特化した超硬仕様です。動作の中からアタリはもちろん、潮ヨレなどあらゆる変化を伝えてくれますから、今まで以上に繊細にリサーチできます」
潮ヨレはタチウオの真のタナとも言える場所。その潮ヨレを察知して集中的にバイブレーションで誘うと、1本、また1本とタチウオが掛かる。
硬い先調子竿は渋いときに喰わせにくいとも言われるが、富所さんは無理に追わせるのではなく、フォールを織り交ぜて本アタリを出させていく。
「釣り方を変えたり、竿の使い分けで対応するのも攻略法でしょうが、ぼくは自分の得意な一つの釣り方を究めるほうが大切だと思っています。完全にマスターした一つの釣り方を一日ブレずに続けていれば、必ず大きなチャンス、つまりドラゴンに巡り会えると考えています」
テンヤ、エサ、そして省エネバイブレーションを究め、最高峰のロッドを使い続ける富所さんが沖揚がり前に訪れたドラゴンの時合に、136cmを筆頭に131cmほか120cm級を連続して釣り上げたのは必然だったのかもしれない。
東京湾のドラゴンは今年も健在だ。
もし釣り方や道具に迷っているのであれば、一つの釣り方をとことん究めてみてはどうだろう。
FISHING TACKLE
【取材協力】三浦半島鴨居大室港・五郎丸
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