2024/04/09
コラム
紀州のシロアマダイ〜和歌山県田辺・江川港出船〜
「隣の港の船がうちの前でシロアマダイを釣っとってね、それで始めてみたのが、きっかけです」
INDEX
紀伊半島西部、田辺市江川港の貴丸(たかまる)/海凰丸(かいおうまる)がシロアマダイ乗合を始めたのは2年前。それまで延縄など職漁でも見られなかったシロアマダイが、港の前、水深30~50mで釣れ始めた。
キンメダイなど深場まで得意とする坂本敏美船長によると、田辺ではアマダイ釣りの歴史はなく、いきなりのシロアマダイ乗合だったものの、やってみれば竿頭がツ抜けすることは珍しくなく、最大53cmまで大小交じりで秋から翌年の春、あるいはそれ以降続くという。
遊漁で対象となるアマダイは「赤」「黄」「白」の3種。その中でシロアマダイは他の2種よりも暖かな海を好み、浅い場所に生息。近年、海水温の上昇とともに生息範囲を広げている魚だ。
仕掛けは3号全長2mの2本バリ。基本的な釣り方やタックルも、一般的なアマダイ釣りと同じながら、エサに違いがある。
富所潤さんが田辺に釣行したときも、船長より「アオイソメを用意したほうがいい」とのアドバイスがあり、当日はオキアミとアオイソメを並行して使ってみた。
すると、オキアミエサはアタリが多く、頻繁に取られ、クラカケトラギスやイトヨリなどのゲストが掛かるのに対し、アオイソメはアタリも、ゲストも少なかった。
それならオキアミに分があるかといえば、そうではなく、シロアマダイが釣れたのは、すべてアオイソメであった。
もちろんこれまでシロアマダイはオキアミでもたくさん釣れているが、当日は大きく偏ったのだ。
そのせいか、釣り方も若干異なっていた。
いわゆるライトなアマダイ釣りは、オモリで海底を軽く小づいたのち、0.5~1m浮かせて誘いを入れてアタリにアワせていくが、当日、その誘いは効果的ではなかった。
アオイソメで釣れたシロアマダイは、すべて、船の揺れで時折オモリが底を打つ程度で止めて待ち、小さなアタリを送ってしっかり喰い込ませ、向こうアワセの要領で掛けた。例えるなら、カレイ釣りのようなアマダイ釣り。オキアミエサでの釣りとは異なる釣趣だが、釣れっぷりは見事であった。
シロアマダイは食欲旺盛で、アカアマダイ以上にタイラバやメタルジグへの反応が良いとされる。また、アカアマダイの倍の速度で成長するともいわれることから、今後、生息域の拡大に拍車がかかれば、主要な釣り物になる可能性もある。
もし、関東でも、この日の田辺のように「釣果はすべてシロアマダイ」となったら、将来、アカアマダイが「幻」として珍重される日がくるかもしれない。そう思わせるほど、田辺のシロアマダイの魚影は濃いのであった。
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