2022/11/14
コラム
山本啓人のスーパーライト&ライトジギングゲーム最前線in玄界灘
タックルチェンジを繰り返し、イサキのヒットパターンに辿りつく
山本啓人さんの玄界灘での釣りは、水深55m、カケアガリ狙いのスーパーライトジギングからスタートした。メインターゲットは最盛期を迎えたイサキ。山本さんが最初に握ったのはロッドがオシアジガー リミテッドSLJ S62-0(プロト)、リールがステラ4000M(夢屋ハンドルノブEVA パワーラウンド型M 装着)、メインラインはグラップラー8 0.8号、リーダーはオシアジガー マスターフロロ5号、ジグはオシア ぺブルライト60gという組み合わせだ。
「とりあえずワンピッチで探ります。イサキの喰い気があるかどうか、ですね。フォールに好反応を示すようだったらベイトタックルにチェンジします」
しばらく探った山本さん。強風下のドテラ流しという、ジグが自分の足元から離れていきやすい状況に対応するためタックルを持ち替えた。底取りを優先したほうがいい、という判断からだ。
チェンジしたタックルは、ロッドがオシアジガー リミテッドSLJ B63-0(プロト)、リールはグラップラー150HG。メインラインはグラップラー8 0.8号、リーダーはオシアジガー マスターフロロ5号。ジグはオシアスティンガーバタフライ ガトリングライトTG 60gラメブルピンをセットした。
「ガトリングライトTGは鉛にTGをコンポジットしているので比重が大きく、リアバランス設計なので底取りが速いんです。風があるとき、ドテラで船が流れるスピードが速いときは底取りしやすいのでおすすめですね」
スイミングアクション主体に攻めていた山本さんの手が止まり、ロッドが締め込まれた! ファーストヒットはヤズ(小型のブリ)だった。
幾度かのポイント移動の後、ワンピッチからハーフピッチにアクションを変更した山本さんから「喰った!」の声が響いた。続いた言葉は「イサキだ!」。果たして上がってきたのは良型のイサキ。本命キャッチ成功だ。
続けざまにイサキがヒット! というイージーな状況ではなかった。山本さんは、また新たなタックルを手にした。
「スーパーライトジギングではキャストして探ることが多いんです。いまラインが払い出していてジグがどんどん流れていく状況です。長いロッドに変えてジグが流れる反対方向にキャスト、長くジグが泳ぐ状態を保つイメージで釣っていきたいと思います」
チェンジしたタックルは、ロッドがオシアジガーリミテッドSLJ S610-0(プロト)、リールがステラC3000MHG。メインラインはセフィア G5 0.6号、リーダーはオシアジガー マスターフロロ4号、ジグはオシアぺブルライト60gのセッティングだ。その後はジグをガトリングライトTG 60gにチェンジして小型のカンパチなどをキャッチ。その後もタックルを頻繁に持ち替えて探った山本さんだが、この日、本命の良型イサキを連発したのはオシアジガー リミテッドSLJ S63-0とグラップラー150HG、ガトリングライトTG 60gラメブルピンの組み合わせだった。
「ジグのアクション、リールのギア比、ロッドの調子を変えて反応を探る、そのためにタックルを持ち替える、というイメージですね」
最後にはしっかりメインターゲットのパターンを掴んだ山本さん。さすが! というパターンフィッシングを展開した。
山本さんのSLJには欠かせない、オシアジガーリミテッドSLJシリーズ
※記事中のロッドはプロトタイプです。
ここからは山本さんが使用したSLJタックルの印象をあらためて教えてもらおう。まずはオシアジガーリミテッドSLJシリーズについてお願いした。
「軽さ、パワー、ジグの操作性、3つの要素を高次元で追い求め、素材セレクトからテーパーデザインまですべてにこだわって作り上げたロッド、それがオシアジガー リミテッドSLJです。見た目で驚くのがその細さ、持って驚くのがその軽さだと思います。自重が軽いというだけでなく、実釣時のあらゆる場面で軽さを感じることができると思います。すべての動作が軽快でジグを意のままに操ることができます。ジギングロッドか? と思うくらいの細さ、軽さなのに反発力があるし、粘り強いパワーも兼ね備えています。不意の大物がヒットしても十分に対応できるベリー、バット部のパワーもあります」
「反発力の凄さの源は高強度、高弾性を特性とするM40Xという素材によるものが大きいですね。張りの強さが出すぎているのでは? と思う人がいるかも知れませんが、その点はテーパーデザインでカバーしています。ソフトティップのおかげでしっかりジグを掴んで飛ばす、跳ねさせるといった演出もやりやすい、操作性がかなり上がっているし、魚の乗せやすさも実現しています。感度もとても高いので、海の中の変化も捉えやすいですね。高強度、高弾性で、細く軽いブランクスを実現出来ているのはスパイラルXコアのおかげ。細く、軽いロッドでありながらとてもトルクフルなロッドに仕上がっています」
「ラインナップは全部で4アイテム。すべてがチューブラータイプです。今回使ったのは3本。S62-0、S610-0、B63-0です。S62-0はとても感度も高く、さまざまなスタイルでのSLJゲームに幅広く対応してくれる1本です。とりわけバーチカルな釣りにおける操作性に秀でているロッドです。ワンピッチの釣りのなかで少しフォールを入れる、といったテクニカルな釣りもストレスなく楽しめます。S610-0はキャスト性能に優れている1本です。今回のように船をドテラで流して釣る場合など、ジグが自分から遠く離れている状況でも、ロッドレングスを生かした操作性の高さを発揮します。フォールも入れやすくなりますね。B63-0はシリーズ唯一のベイトモデル。ワンピッチからフォールアクションを多用した釣り方まで、とてもオールマイティに活躍してくれるロッドです。喰い渋った状況などでは、底にへばりついていたり、中層に浮いているけれどあまりジグを追いかけてくれない魚を誘ったりする必要があります。フォールアクションを織り交ぜた演出を繰り出すには、とても使いやすいロッドだと思います」
リールはギア比、最大巻上長を意識して使い分けていく
「今回のSLJゲームでは水深40m台が中心でした。リールに関してはステラC3000MHG、4000M、グラップラー150HG、3つのリールをギア比、最大巻上長を意識して使い分けました」
最大巻上長はステラC3000MHGが86cm、4000Mが87cm、グラップラー150HGが78cm。展開したい釣りを念頭に、マッチするロッドと組み合わせて使い分けていった。
「ステラはまあ、ステラですからね(笑)、基本性能はとても高いですよ。SLJをやっていると不意にヒットする大物と対峙するシーンは意外に多いんです。そんなときステラならライトなモデルでもトルクフルに軽く巻き上げることができます。力強いリールです。とくに新しいステラではインフィニティループが凄い。飛距離が出るんですよね。潮がない、風がないというときに浅場を広く探るための飛距離を十分に生み出せるので助かります。アンチツイストフィンもいいですよね。ローターの変なところにPEラインが引っかかったりしない。トラブルが起きにくい。ラインローラーまで確実にラインを導いて密巻きしてくれる。トラブルが極端に減った印象で、スムーズで使いやすいですね」
今回のSLJ釣行では唯一のベイトリールとなったグラップラー150HG。SLJではとても活躍してくれるリール、とは山本さんだ。
「グラップラー150HGはライトジギング、スーパーライトジギングというカテゴリーでは、とても使いやすいリールだと思います。ギア比は1:7.8、最大巻上長は78cmの設定。誰でも使いやすいスピード感なので、普通にシャクっているだけでもいろいろな魚が反応してくれると思います。
フォールレバーも強みです。SLJでは浮いている魚を狙うことが多いので、どうしても『上げ』だけでは喰わせられないときがあります。こんなときにフォールレバーを操作してフォール中にジグを動かしていくことは、喰い気がない魚に口を使わせるためのいいアプローチになりますからね。
レベルワインド連動機能が搭載されているのも嬉しいですよね。このリールは0.6号、0.8号といった細いラインを使う釣りで登場させることも多いと思います。レベルワインド連動機能はこうしたライトラインの扱いに慣れていない人でも、とても使いやすいのが特長。ジグをフォールさせるときなどは、抵抗感が少なくスムーズにフォールしてくれます。不意の大物がヒットしたり、ドラグを締めすぎてしまったときでもラインに必要以上の摩擦が生じないので、ラインを痛めたりブレイクしたりすることが起きにくくなっています」
スーパーライトジギングゲームの基本ジグはオシアブランドの3つのジグ
ジグはぺブルライト、フラットライト、ガトリングライトTGを多用した。この3つのジグは山本さんのSLJにおける基本ジグだ。
「ぺブルライトはSLJど真ん中のパイロットジグです。上げ(ジャーク)も下げ(フォール)も、両方とも得意。どちらでもしっかり誘ってくれるジグです。ワンピッチジャークからスローっぽいフォールを意識したジャークまで、いろいろな演出法に対応します。スーパーライトジギングでメインベイトになることが多い小サバ、カタクチイワシ、マイワシなどの小型のベイトにマッチする小さいシルエットで、本当によく釣れるジグです。ガトリンライトTGはタングステンを鉛で包み込むようなハイブリッド構造になっているのが特長。鉛のジグに比べてシルエットが小さく、マイクロサイズのベイトがメインになっているときなどに使うと効果的です。小粒でリアバランスなので底取り性能も高い。潮が速いときやドテラ流しのときにも使いやすいと思います。フォールアクションは控え目なので、ワンピッチジャーク、スイミングジャークで使ってもらうのがおすすめですね。イサキを狙う場合は、喰いがいいときに広くサーチする使い方が効果的ですね。フラットライトは基本的にはフォールで釣っていくためのジグで、抜群のアピール力とフォールアクションを持っています。遊泳力のないターゲットや、底に張り付いている魚に見せて喰わせるような使い方がおすすめで、根魚にはとても効果的です。ジャーク後の移動距離が少なくフォールアクションが派手という特長のフラットライトが活躍するシーンはけっこう多いですよ」フラットライト、ガトリングライトTGに期待のNEWカラー登場
2022年、フラットライト、ガトリングライトTG(TGガトリングも同様)にそれぞれ新色が登場した。SLJで大活躍が期待される注目色だ。
「フラットライトに追加されたNEWカラーは5色。ナチュラル系のSRケイムラアジ、SRイワシはリアルさを追求した仕様。SLJでは浅場が舞台。光量がある状況が多く、究極的なマッチ・ザ・ベイトの手段として成立します。色覚のある魚には見た目そのまま、色覚がない魚にも濃淡でアピールします。ラメグリキン、ラメピンギンといったラメ仕様も面白いカラーだと思います。ラメは光があたると細かく乱反射するんです。この特性がマイクロベイトを捕食しているときに凄く効くことがあります。透けるTタイプのホログラムとグローを組み合わせるという発想が斬新なTグロピンもかなり活躍してくれると思いますよ。ガトリングライトTGにはフラットライトの新色に加えてナチュル系カラーにSRサバが入っていて、ラメ系にはラメピンギンの代わりにラメブルピンが採用されています。フラットライトの新色と同様に使っていけると思います。カラーの差を意識して使い分けていくと、これまでに得られなかった釣果が期待できると思います。今回はとくにガトリングライトTGのラメブルピンが大活躍しましたね」
ライトジギングをさらなる高みで展開できるオシアジガーリミテッドLJ
※記事中のロッドはプロトタイプです。
時間こそ短かったがライトジギング(LJ)にも挑戦した。メインターゲットは大型アマダイ。決して簡単な相手ではない。しかし、水深110mのポイントを狙った山本さんは本命を始め、良型のキジハタやマハタ、ヒラメまであっさりと引きづり出してしまった。使用したタックルは、ロッドがオシアジガー リミテッドLJ B63-2(プロト)、リールはオシア コンクエスト300HG、メインラインはグラップラー8 1号、リーダーがオシアジガー マスターフロロ6号。ヒットルアーはオシア スティンガーバタフライ センターサーディン110gブルピン、TGガトリング100g、120gラメブルピン、SRサバだ。
「使用したロッド、オシアジガー リミテッドLJ B63-2(プロト)はリミテッドSLJシリーズと同様のコンセプトで作られたLJシリーズの1本です。基本性能の高さはもちろん、LJ、SLJに共通したフィーチャーとして注目してもらいたいのがジギングロッドには初搭載となるカーボンモノコックグリップです。リールシート以外はフルカーボンのグリップで、ロッドの自重を軽く仕上げることはもちろん、何よりも感度の向上に貢献しています。振動伝達能力がとても高いので、海からのさまざまな情報、たとえば潮の抵抗の変化、魚の追尾、バイトといったものをしっかりアングラーの手に伝えてくれます。ジギングは情報戦です。海からのシグナル、魚からのシグナルはとても重要。自分の釣りの次元が一段あがる、そんな思いを抱かせてくれるグリップだと思います。さらにこのグリップは硬質でありながらしっかり曲ってくれるんです。あたかもワンピースロッドのような、ティップからグリップエンドに至るまで美しい曲がりを実現しています」
オシアジガーリミテッドLJシリーズ、ラインナップはB63-1、B63-2、B63-3の3アイテム。山本さん流の使い分けのベースは水深。40~50mはB63-1、80mくらいまではB63-2、100m前後はB63-3というイメージだ。
「水深で使い分けるのはあくまでも基本。同じ水深のなかで番手を変更することも多いですよ。たとえば40~50mといった浅場のジギングでも、青物を狙う場合はジグをキビキビと動かしたい。そんなときにはあえてB63-2、B63-3を使うこともあります。反対に100m前後でもジグを滑らかに、ナチュラルに動かしたいというときにはB63-1を使ったりもします。今回のLJシリーズはリールのギア比を変えてもらうと、ロッドの曲がる位置が大きく変わる設定になっています。いろいろなリールを使って、自分なりの好みのアクションを生み出してもらうと面白いと思いますよ」
ライトジギングゲームではオシア コンクエスト300シリーズに大注目!
ライトジギングゲームでは新たなオシア コンクエスト300シリーズも手にした。あらゆるターゲットを相手にしたライトジギングゲームで活躍が期待されているアップカマーだ。
「新しいオシア コンクエスト300シリーズは、とにかく強さがあります。巻き心地は滑らかで軽い。新たにインフィニティドライブが搭載されたので、とにかく巻き上げが滑らかです。マイクロモジュールギアによる巻き上げの軽さとの相乗効果で、とんでもなく巻き心地が良いですね。前作よりも1.3mmロープロファイルに作られているのも特長。とてもパーミング性能が高く持ちやすい。軽く持って、軽くシャクることができますね。巻き上げの力強さも十分なので、魚を掛けたあとにラインを出してはいけない状況でのやり取りにも有利です。安定してラインを巻き込んでくれるのでトラブルも少なく、必然的に魚をキャッチできる確率が上がると思います。リール自体の強さもアップしています。Xプロテクトが採用されたことで防水性能も向上、長期間に渡って安心して使うことができます。本来の高性能が長く維持されるので、ヘビーユーザーも信頼して使い続けることが出来ると思いますよ」
「新しくなったフォールレバーシステムにも注目ですね。これまでのフォールレバーでは、フォールテンションをかけると巻き上げが重くなっていたのですが、新しいフォールレバーでは重くなりません。新しいフォールレバーでは設定をそのままにしても巻き上げは軽いまま、クラッチを切ったり入れたりするだけで同じ設定のフォールスピードで落とすことができます。これはフォールスピードの再現性がとても高いということを意味します。レバーの形状も新しくなって使いやすい。絶妙な窪みに指先がスッと馴染んで入る。押しても引いても操作しやすい。親指だけで、しかも軽いタッチで使えます。
ギア比の設定も3つに増えました。これまでのPG、HGに加え、XGモデルが追加になりました。このXGモデルは釣りを大きく変えてくれると思います。スピニングリールのハイギアでやっていた釣りがベイトリールで出来るようになった、という印象です。しかもコンクエストのサイズ感で。これは嬉しいですよね。300XGの登場が新しいジギングゲームを作り上げていく可能性は大きいでしょう」
2022年、SLJ、LJカテゴリーでは期待の新製品が目白押し。ジギングゲームをより楽しくしてくれるのは間違いない。タックルは進化を続けている。試されるのはアングラーの進化、かも知れない。
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