2020/02/05
コラム
深海ジギングへの挑戦 深海に潜むアブラボウズをゲットせよ!
水深1000mにも及ぶ深海は、手巻きのジギングにとって限界ともいえる世界。そこを突破するには気力・体力と同時に信頼できるタックルが必要だ。ようやく完成したシマノの強力タックルを手に、山本啓人さんがアブラボウズに挑む!
深海を直撃する必殺ウエポン!『イージーペブル』700g&900g
ジグは『イージーペブル』を使用。引き抵抗が軽く、深海でも動きを出しやすい『イージーペブル』は疲労も少なく、この釣りにぴったりのアイテム。深海のアブラボウズ、ベニアコウのみならずカンパチや大型の根魚などディープに潜む大物がターゲットだ。深海モデルは700gと900gの2サイズでカラーは全8色。
100kgも狙える未知の世界深海ジギングの魅力
次々に限界を打ち破り、攻略レンジを広げているジギングの世界。水深100mがディープと言われていた時代はとうの昔で、いまや中深海から深海へと、そのステージは拡大するいっぽうだ。
スロー系ジギングの名手・山本啓人さんも、そんな深海ジギングを模索してきたアングラーの一人。湾内のスーパーライトジギングからディープの大型カンパチ、中深海の釣りまで幅広いレパートリーをもつ山本さんだが、ここ5年ほどは深海のアブラボウズに魅せられ、釣行を重ねてきた。
– 狙う水深は浅くて600m、深ければ900mを超える。ジグを沈め、回収する動作にそれぞれ10分前後を要し、魚が掛かれば巻き上げはいっそう重労働になる。釣れても、釣れなくても、ひと流しが1時間前後に及ぶタフな釣り。その魅力はどこにあるのだろうか。
「たしかにきつい釣りですよね。あまりの辛さに、アブラボウズを釣り上げて涙ぐむ人もいるくらいです。でもそんな深海で、100kgを超える魚を狙えるところに夢があります。アブラボウズの100kgは、僕にとってどうしても釣りたい魚です」
引き抵抗が少なく動きも良い『イージーペブル』
– どんなに深くても、そこに大物がいるならチャレンジする価値がある。そう語る山本さんだが、深海のロマンを追うにあたり、常に大きな壁となって立ちはだかってきたのが専用タックルの問題。そこでシマノと協力し、数年かけて深海ジギングに適した理想のタックルを開発してきた。
「僕は水深的にも道具的にも、現状でベニアコウまでは可能だと思っているんです。だからそこまでやれるタックルはどうしても欲しかった。それをシマノと共に試作して、釣果も出して、やっと形になったということ。ロッド、リール、ジグと揃ったことで、深海ジギングはオープンに狙える釣りになりました」
– 差し当たり、どうしても必要になるのがヘビーウェイトのジグだ。ただし重ければ良いというわけではない。電動リールを用いたエサ釣りでは、オモリの代わりに2kgもある鉄筋を使うが、手巻きのジギングでそこまで重いジグは現実的ではない。そこでウェイトは700gと900gに設定。ジグは『イージーペブル』に決定した。
「どのジグをヘビーウェイトにするかについては、かなり悩みました。引き重りがあったら人間の体がもたないということは自分の経験上わかっていましたし、良い動きを出すこともできない。理想は引き抵抗が少なくて潮の影響を受けにくく、それでいてしっかり横を向いてフォールしてくれるジグ。そんなことから候補を絞り込んで、『イージーペブル』にたどり着きました。実際に使ってみると体の負担が少なく、釣果も出ている。狙い通りのジグと言えます」
カラーはグローの入ったパターンと、グローなしの狂鱗ホロ仕様を合わせて8色の展開。アブラボウズが生息する水深では、グローカラーが必須となる。これを海底に沈め、ボトムから10mまでを重点的に誘うのがセオリーだ。今回の取材では900gのシルバーゼブラをチョイス。フロントとリアに太軸のシングルフック(#7/0)を1本ずつ装着して、アブラボウズに挑んだ。
ジガーがあるからこの釣りが成立する。 ロッド、リール、ジグと良いものが揃ってこれからが楽しみ。
6~10パワーの追加で深海に対応『オシアジガー∞』
カンパチ、ヒラマサなどの大物から深海ジギングまでをカバーする6~10パワーが追加された『オシアジガーインフィニティ』。絶対的性能であるジャークの進化を目指し、フル1ピースブランクスをさらに細身&スローテーパー化。また、スパイラルXコアの搭載でネジレやパワーロスも低減、軽く強くぶれないブランクスはフォールを軸に速い誘い、遅い誘い、コンビネーションジャークなど自在なパターンに対応する。
パワーとしなやかさを兼備したロッドが登場!
「ロッドは『オシアジガー∞(インフィニティ)』に新たにラインナップされたB61‐10。10番パワーというと、とてつもなく強い棒のような竿を想像すると思うが、実際は「ムチっとしたインフィニティの良さと、今までになかった強烈な粘りを併せ持つ竿」
深海ジギングのみならず、カンパチや大型根魚狙いにおいて、深いポイントを速い動きで攻めることも想定している。
山本さんは「アブラボウズは動くものにしか反応しない」という持論に従い、ロッドを海面から頭上まで一気にジャークする。 1kg近いジグをジャークしているにも関わらず、動作が普段のスロー系となんら変わらないのはちょっとした驚きだ。しかもティップはスムーズに追従して、ヘビージグを跳ね上げている。パワーを持たせつつ、ジャークした後はしなやかに戻るこのアクションを出すために、3年以上テストを繰り返したという。
– アブラボウズはジャークしたジグがフォールする際に喰ってくることが多いが、巨体に似合わずアタリはアカムツより小さいくらい、と山本さんは言う。
「小さなアタリのあとに竿が止まりますが、すぐには動き出さないため最初は根掛かりのような感触です。それが魚だと確信するのに、長い時は数分かかることもある」とのこと。やはり深海ジギングは未知の世界である。
取材の日は朝からジグを落とし続け、5回目の流しでようやく動きがあった。フォールで喰うことが多いアブラボウズだが、このときはジャークでバイト。異変を感じた山本さんはすかさず強いアワセを数回入れ、その後の動きで本命のヒットを確信した。
コンパクト&高ラインキャパ、高剛性を誇る深海対応リール『オシアジガー 4000/4000HG』
『オシアジガー 4000』はディープの大型魚を想定したラインキャパシティを誇りつつも、パーミングサイドを小径化。インフィニティドライブとマイクロモジュールギアを搭載したジガーの基本性能はそのままに、微調整の利く大径スタードラグと高強度防水ローラークラッチを新たに搭載。シルキーな巻きと強力な巻き上げパワーでアングラーの疲労を軽減する。
『オシアジガー 4000』があるからこそ、深海のジギングが成立する
ここからは30分~1時間にも及ぶファイトが待っているが、それを可能にするのが新登場の『オシアジガー 4000』だ。深海ジギングというと重いジグ、ヘビーなジャークということが真っ先に頭に浮かぶが、実は疲労の原因の大半はリーリングによるものである
– 深海を攻めるに十分なラインキャパシティと巻き上げのパワー、本体とハンドルの剛性など、これまでのタックルで最も不安があったのがリールのスペックと言っても過言ではない。それをいかに改善するか? もちろん、ここにも山本さんの経験が生かされている。
「僕は、『ジガー 4000』があるから深海のジギングが成立すると思っているんです。4000はPE3号を1200mというラインキャパシティで、インフィニティドライブを搭載し、HAGANEボディに冷間鍛造のハンドルを採用していて剛性も十分です。またギア比も深海釣りがやりやすいように設定し、スプールも交換できるようにと、僕が求める要素をすべて盛り込んでもらいました」
– 120%信頼する『オシアジガー 4000』を巻きながら、「けっこう普通に巻ける。あまり大きい魚ではないかも」と首をかしげていた山本さん。しかしおよそ30分後、20kgオーバーのアブラボウズが海面に姿を現した。
「意外に楽に巻けるので10kgくらいと思ったけれど、まずまずのサイズでしたね、やりました!」
– 5時間に及ぶ投入とジャーク、回収を繰り返したうえで大型魚とやり取りするのはかなりのハードワークのはずだが、ファイトを終えた山本さんにはまだ余力がありそうに見える。
「深海を攻め続ける際に、体力的な負担が大きく感じられるのはリーリングだと思う。でも『オシアジガー 4000』はパワーがあるから、魚を掛けるまでも、掛けてからも、回収も楽。考えられないくらい巻きが軽い。そこが楽になることの意味はものすごく大きいんです。ジガーの進化で深海の釣りはもっと広がっていくと思うし、その結果、手にできたのが今日の魚です。ロッド、リール、ジグと良いものが揃って、これからますます楽しみですね」
山本 啓人 SELECT TACKLES
ロッド:オシアジガー∞ B61-10
リール:オシアジガー 4000
ライン: PE 3号+フロロカーボン 18号(3ヒロ)
ルアー:イージーペブル 900g
フック:シングルフック(フロント・リア各1本)
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