2024/08/06
コラム
大賑わいの中禅寺湖で狙うレイクトラウト。厳しい状況でヒットしたのはまさかのルアー。
こんにちは。モニターの佐藤文紀です。
今回のトラウトミーティングでは、5月に栃木県の中禅寺湖で釣行してきたその模様を紹介しよう。
狙うはレイクトラウト。
栃木県の中禅寺湖はレイクトラウトの湖として全国的に名の知れたハイランドレイクであり、釣りができる湖としては日本で最も標高が高いとされている。
この冷涼な湖にはレイクトラウト・レインボートラウト・ブラウントラウト・ヒメマス・ホンマス(サクラマスとビワマスが交配した中禅寺湖特有のマスの一種。)が生息し、数は少ないが中禅寺湖とつながっている湯川に生息するブルックトラウトも一部、湖内にも少量が生息しているようだ。
中禅寺湖での釣りの解禁は例年4月1日であるが、4月はちょうどサクラマス釣りの最盛期でもあり、本州におけるサクラマス釣りの聖地と名高い秋田県のサクラマス各河川も同日4月1日が解禁となることから4月の一か月間は総力をあげてサクラマス釣りに取り組んでいるため、私の場合4月に中禅寺湖に向かうことはなかなか叶わない。
5月中旬。
朝5時に到着した中禅寺湖畔はルアーアングラー・フライフィッシャーで溢れ、訪れたのが土日ということもあり大混雑していた。
駐車スペースと入釣スペースを探すのにも困るほどの盛況ぶりだ。
遊漁券を購入し、1時間ほど空いている釣り場探しに時間を費やしたのち、ようやくポイントに入れることになった。
朝6時過ぎから釣りスタート。
朝4時から釣りができる中禅寺湖ではレイクトラウトの早朝のフィーディングタイムはとうに過ぎているため、魚のタナも落ちしているだろうと踏んでディープダイビングミノーのカーディフの「フリューゲル99F DRフラッシュブースト」(Sブルーチャート)を潜行させていく。
イメージとしてはご当地で“鱒っ子”と呼ばれるヒメマス幼魚やホンマス幼魚が岸沿いを回遊しているのでそれらを模したセレクトだ。
ブレイクのエッジを通過しようとしたところ、ルアーの下方から目測60cmほどのレイクトラウトが急に出てきたのを偏光グラス越しに目視。
活性は高そうに見えないが、第一にレイクトラウトのレンジが深く、フローティングミノーとタナ落ちした魚との距離の問題でルアーへ反応しても追尾が追い付かないようだった。
そこでルアー自体が沈むシンキング系のルアーの出番となるが、フォーリング中のアタリも引き出せる20gのスプーンにローテーションした。カウントは30秒以上要しないと底までルアーが落ちていかない。着底先の地形の起伏にもよるが30秒~40秒のカウントを要した。
ボトム着底後、3巻きしたところでガクン!と一気に引き込まれるアタリが!
フッキングするととにかく重く、カーディフNX-S86Mが曲がったまま手元に強い魚の躍動が伝わってきた。
レイクトラウトは、イワナの仲間である。
ローリングを繰り返しながらも走るスピードの速いサクラマスの引きとは違うタイプの引き。
どちらかというとレイクトラウトの引きは大型のイワナ、アメマス、イトウにも似たような感触だ。
掛かった相手は決して小さい魚ではない。
巻いてはドラグを出されていくが一定のテンションを保ちつつも、やりとりは3分超ほど続いただろうか。
男体山の溶岩でできたカルデラ湖。
ブレイクのエッジに切り立つ岩々の角度がきつく、魚に走られた際にラインが擦れれば致命的結果を誘発しかねないので慎重なやり取りが続く。
あと少しで水面へ、というところでシングルフックのバーブレスがふいにレイクトラウトの口からはずれた。
すぐさま深い湖の底に戻っていくそれは優に70cmを超えるレイクトラウトだった。
この時点で朝の7時だがそれ以降、アタリはなく刻々と時間は過ぎていった。
定期的に50cm級のニジマスが水面下を回遊してくるが、羽化したユスリカの類を偏食回遊しているのでルアーにはまったく見向きもしない。
こういう局面はドライフライを湖面に浮かべられるフライフィッシングの独占場なのだろう。
同行メンバーにチャンスがおとずれたのは15時。
釣友が3分ほどの時間をかけて軽量スピナーをボトムを目指してフォールさせていき、その巻き上げで45cmほどのレイクトラウトをキャッチしたのだ。
渓流では定番ルアーのスピナーであるが、まさか急深の湖でこれを投げるとは奇想天外だったが、現状、中禅寺湖のレイクトラウト狙いであえてスピナーを使う人もほとんどいないと思われるだろうからスレたレイクトラウトとて見慣れぬルアーの動きに一撃で反応したのかもしれない。
まさに技ありの1尾だった。
そして夕方17時、今度は私が時合を当てることができた。
赤金カラーの20gスプーンを引っ手繰っていったのは銀毛の発色が強いブラウントラウトだった。
見るからにいかにも湖に生息しているブラウンだ。
中禅寺湖では夕方にブレイク沿いの中層をブラウントラウトが回遊する、という話をよく耳にする。この後、他のメンバー2名も続けてスプーンでブラウントラウトの釣果を手にすることができた。
河川型ブラウントラウトの場合には背中の茶色みが強いことに加え、赤の斑点や腹部の黄色も強く発色するが、湖型ブラウントラウトは回遊性が強いせいか銀毛が強く出る特徴がある。
こうして釣り開始から11時間後にようやく魚との対面を果たすことができた。
また来られる日を想い描いて。
翌日は釣り開始時刻の朝4時から15時まで投げ続けたが同行メンバー4人中、誰ひとりとて一度たりともアタリはなく、時間だけが過ぎて行った。
中禅寺湖に限らず、湖のビッグトラウトの釣りはどこも手厳しいのが常。
釣れないことのほうが多いが、そのぶん釣れたときの感動は幸せな気持ちにまでさせてくれる。
またの再訪を楽しみに、今季中の再訪計画を今は練っているところだ。
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