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2024/04/05

コラム

「リフレイン45XS ボトムスペック」開発秘話

「リフレイン45XS ボトムスペック」開発秘話

こんにちは、ルアー開発担当の“Michi”です。
今回は、リフレイン45XS ボトムスペック(通称ボトスペ)の設計背景を紹介します。
ボトスペの真価が発揮されるシチュエーションをご理解いただくことで、メモリアルフィッシュを手にする可能性が上がればと思い、書かせていただきます。

前置き。オーバーハング下の「速い表層流」と「一枚下の緩流帯」

オーバーハング下のピンポイントに隠れて、エサを待っている魚。
このような一等地に陣取れる魚はデカいです。
対して、アングラーが攻略するのは一筋縄ではいきません。

これは、オーバーハングの下は、表層の流れが速いことが多いためです。
オーバーハングが水の流れの浸食によって形成されることを考えると、当然とも言えます。

ここでのポイントは、「デカい魚が定位しているのは、速い表層流の下」であること。
川底の起伏に起因する「緩流帯」が表層の速い流れの下に存在し、そこに大鱒が陣取っています。

[モンスターが潜むのはココ。表層は流れが速く、通常のミノーはポイントに留めにくい]

[モンスターが潜むのはココ。表層は流れが速く、通常のミノーはポイントに留めにくい]

「そんなの知っているよ」という玄人の方。
そんな方でも、オーバーハング下へHSミノーのピンスポキャストを決めたにも関わらず、ルアーが表層流に押し流され、アピールしたいポイントで十分にアクションできない経験、私だけではありませんよね?

オーバーハングの下にもう少しルアーを留めることができたら。。。
さらには、そのピンポイントでヒラ打ちアピールをできたら。。。

「流れが当たる”あの”オーバーハング。絶対デカいのがいるのに。。。!!」
攻めたくても攻められなかったこのシチュエーションを攻略すべく開発したのが、リフレイン45XS ボトムスペック (ボトスぺ)です。
(もちろん、もっと渓流での汎用的な釣り方も想定しています!)

[ルアーを魚のレンジまで届け留めることができれば、魚は反応する]

[ルアーを魚のレンジまで届け留めることができれば、魚は反応する]

設計のお話。「着水直後にスッとレンジが入るルアーの密度」と「ピンポイントでヒラを打つレスポンス」

それでは、このようなオーバーハングのポイントを攻めるために、どのような設計を行ったか?
実際には泥臭くトライ&エラーを繰り返しながら、現在の設計に辿りついたのですが、
少々掻い摘んで、「鮮やかに答えまでたどり着いた」ように書いてみます。

まず、ボトスペは45mmで6.2g。フルタングステンウェイトで、ボリューム感でいえば、7gのスプーンと同じくらいの小粒感です。

この高密度設計が生み出す恩恵は、「着水直後にスッとレンジが入る」こと。
着水直後、速い表層流をすみやかに脱出し、一枚下の緩流体に留まってくれます。

開発期間には、45mmサイズで、5g~7g超えまで0.1g単位で検証しましたが、
この「スっとレンジが入る感覚」は、6gを超えなければ得られませんでした。

[7gのスプーンと同じくらいの小粒感。ミノーで6.2gの高密度感は推して知るべし]

[7gのスプーンと同じくらいの小粒感。ミノーで6.2gの高密度感は推して知るべし]

一方、ルアーを重くすることによる課題は多くあります。代表的なものは、ピンポイントでヒラを打たせるときのレスポンスが悪化すること。
ただ重いだけのヘビーシンキングミノーは存在しますが、やはり、アクションしなければ魚のスイッチは入りません。

また、重いボディを動かすために大きなリップを搭載したミノーは、アクションのために強いインプットが必要で、そのロッドアクション自体で、ピンポイントからルアーが出てしまうことになり、本末転倒です。
竿先でわずかにつつくだけでもアクションしてくれるようなレスポンスの良さが必要でした。

ルアー設計の基本として、このような重量級のルアーをレスポンス良く動かすには、薄くフラットサイド化するのが最も容易な方法です。バイブレーションに近い泳がせ方です。
一方、その代償は、速い流れの中でルアーが破綻しやすくなること、飛行姿勢が崩れること、
そして何より、体高が増し、見た目のコンパクトさが損なわれることです。

もうひとつ、リップを前に出すことで、ロールの発生を促すこともできますが、この場合のデメリットは、水に食らいつくリップとラインアイとの距離が近くなることで、重さの割に浮き上がりやすくなってしまうことです。

私自身、自分の一軍ルアーとしてこれらのデメリットは到底受け入れられず、全て試作段階でのボツにしました。
フラットサイドもダメ。リップを前に出すのもダメ。レンジキープ・レスポンス・速い流れでの粘り・見た目のコンパクトさ・飛行姿勢。どれが欠けてもオーバーハング下に潜む「あの魚」に挑める気がしなかったのです。

[リップを前に出すことで動かすことはできるが。。。浮き上がりが早くボツに]

[リップを前に出すことで動かすことはできるが。。。浮き上がりが早くボツに]

苦心の結果、やや極端な逆三角形のボディ形状に辿り着きました。

ボディ背面全体が水を受けリップの役割をすることで、ロールの発生を促し、
同時に、背中付近の比較的大きな気室がもたらす浮力で、ロールを復元させる設計です。

全体のボリューム感を可能な限りコンパクトするため、ボディ下部はタングステン球がギリギリ入るまで駄肉をそぎ落としています。

これにより、超重量級のミノーを、レンジキープさせながら、移動距離少なくレスポンス良く動かし、かつ、速い流れの中で粘らせるという相反する要素の両立が実現しました。

体高を抑えられたことによる見た目のスマートさと安定した飛行姿勢は、必然的なオマケです。

[リップで泳がせるのではなくボディ全体で泳がせるための逆三角形断面]

[リップで泳がせるのではなくボディ全体で泳がせるための逆三角形断面]

逆三角形ボディにより、人間側(上側)からはロールによる明滅が見えにくくはなりますが、
水中ではむしろ、激しい明滅が見やすい設計になっていますので、ご安心ください。
心配な方は、水中映像をご覧ください。

マニアックな開発秘話、いかがでしたでしょうか?
ここでは語りつくせていないこともまだまだ沢山あるので、またの機会があれば書かせていただきます。

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