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2023/12/27

コラム

末っ子誕生!WINDLIP 85S

末っ子誕生!WINDLIP 85S

こんにちは!
シマノカーディフルアー担当のYです!
ウインドリップシリーズにとって第3作目のウインドリップ85Sがこの度リリースされます。

末っ子誕生!WINDLIP 85S

2013年にオリジナルの95S、2015年に105Sと発売した本シリーズですが、約10年の時を経て85mmのダウンサイジングモデル、末っ子の誕生となります。
が!ただのダウンサイジングではありません。
そこで今回はウインドリップ85Sについて、企画者である私Yがしっかりと深掘っていきたいと思いますので、海アメ海サクラ、レイクショアアングラーの皆様、最後までお付き合い頂けますと幸いです(^^)

また、お時間がない方は最後の「Yのざっくりまとめ」を読んでいただけますと、本記事の内容がその名の通り「ざっくり」分かりますので、よろしくお願いします◎

◆ウインドリップ95S 105Sという存在

タフコンディションが多い海アメ海サクラの釣りにおいては「ジグ並みに飛んで、ミノーライクに泳ぐ」ジグミノーというジャンルが確立されています。ウインドリップ95Sはシマノ独自の重心移動システムを搭載し、非常に優れた飛距離を持ち味にして、北海道を中心とした北日本のフィールドで愛されてきました。
ジグミノーの釣りは基本的に投げて巻くだけ。ですがリップがなくフックもリアテールのみというシンプルな設計がもたらす、フォールやロールの美しさ、海からの情報量の多さが特徴で、奥が深いルアーとも言えます。
かくいう私も、北海道出身で海アメ海サクラの釣りにおいてはウインドリップシリーズを愛用してきました。
大阪を拠点とするシマノにとって、北海道の皆様との繋がりを感じられるウインドリップは、私たちがとても大切にしてきたルアーの一つで、毎年お客さまから届くサクラマスやアメマスの釣果を楽しみにしています。

そんな優秀な兄たちの誕生からおよそ10年の時を経て、私たちカーディフ企画開発チームは85mmのウインドリップを作ることにしました。求めたのはただのダウンサイジングではありません。ダウンサイジングによる性能の向上、つまり進化です。
ただ遠くに届けたいのであれば95mmでウェイトアップでも良いですし、それもこの数年で検討しました。ただ、今のトラウトシーンに求められるジグミノーのサイズ、ボリューム、ウェイトを考えた時に、それは今ではないな、と思ったのです。

◆究極のダウンサイジングを求めて

正直、初めは海アメ海サクラを狙う上で、飛距離やアピール性能、その他の実釣性能において95S、105S、さらにはサイレントアサシン140Sのミノー、コルトスナイパージグの併用で満足していたのですが、この10年間で少し変わったのが

1. 年々厳しくなる、タフコンディションでの選択肢の少なさ(釣り場の減少なども含む)
2. レイクショアにおけるジグミノーの有用性の高まり

でした。
これらを解決するためにはダウンサイジングというレイクショアで釣る上でのシルエットのナチュラル化でありながらオリジナルを上回るキャスタビリティやアクションを高次元で両立したモデルが必要だったわけです。

まずはこの2点を必要条件として85Sの開発に着手しました。

◆もう一歩の進化

もう一歩の進化

またさらに、可能であるならば「引き感」を増したいとも思っていました。
何故ならば、リップのないプラグのため、初めてウインドリップを使うお客様に
「海中で何をしているかわからない」、「レンジコントロールが難しい」
とのご意見をいただくことも多かったからです。
ただ、水中を素直に感じられるのもウインドリップの良いところということはお伝えしておきたいです。
手元に感じる抵抗が強い時はボディに強く水が当たっていることになりますし、その逆も然りで、水中の状況すなわち潮の当たり具合がわかりやすい、ということになります。
ですので、この抵抗感のときはこのリーリングスピードでよく当たる、などといった経験値の蓄積が可能になるのです。

ウインドリップ85Sの開発では、やや抵抗感を増すことで「感度」をいわば底上げし、初めてジグミノーを使う方でも水中を感じやすいようにしたかったのです。

◆設計ギリギリ。良いとこ取りの最終到達点。

設計ギリギリ。良いとこ取りの最終到達点。

オリジナルを上回るキャスタビリティを求め、ウェイトに関しては
最終的にはタングステン重心移動に落ち着くわけですが、この間で鉛の固定ウェイトや移動ウェイトも検討いたしました。
しかしながら、鉛ウェイトの場合、ボディ体積を大きくしないと求める浮力やスイングアクションにならず、また飛距離においてもオリジナル95Sを超えるものにはならなかったため開発を取りやめたという経緯があります。

タングステンを底部に位置する、割と簡単そうなのですが、飛距離を重視して後方にズラした時点で、重心が後ろに下がりフォール姿勢の悪化、ぎこちないスイング、もしくは速度域にピーキーすぎるスイングや動きすぎるジグミノーとなってしまいます。ウインドリップの良いところは、あくまでナチュラルなスイングであること、なので、別モノになってしまうのは避けたかったのです。

一方でシミーフォールを意識するあまり中心にウェイトを置きすぎると無風状態では良いのですが、フィールドで風を受けると空中で姿勢を崩してしまいます。
その点、ジェットブーストというバネ式の重心移動により、キャスト時は後方へ、着水後は素早く前方でウェイトが移動することで、ウインドリップ85Sは良いとこ取りで機能を満たすことができています。

ジグミノー自体がジグとミノーの良いとこ取りのルアーですので、飛距離とアクションのいいとこ取りを内部構造で実現したウインドリップは良いとこ取りの極地だと思います。

ちなみに余談ですが、ウインドリップ85Sはこれ以上重くできません。設計のギリギリを攻めています。というのも重心移動にはウェイトの「移動スペース」が必須です。85mmのボディをトータル28gにするために、シマノの同クラスボディではこれ以上ないくらいタングステンを積んでいます。先ほどのウェイト移動しろを考えるとこれが限界でしょう。

また、今回かなり重要視したフォール姿勢とスイングアクションですが、ジグミノー=リアのワンフック仕様という割と特殊な設定により、フック自体がもたらす重心位置の変化が大きく、簡単に言えばケツだけにフックという錘が乗っている状態なので、それを考慮してメインウェイトの位置関係を考えると、やはり前〜中心寄りの設定にした方が釣り合いが取れて良いと言えます。その辺も踏まえて、85Sは限界の設計となりました。

限界まで攻めて、やっとオリジナル95Sのキャスタビリティを超えられた、ということで改めてオリジナルの凄さを実感した訳でもあります。

なお85mmにダウンサイジングしても
スイングのキレや幅を担保、さらには良くするために、かなり微調整を重ねて後方(お尻の方)の浮力をベストな設定にしています。
実はこれらを詰めていく段階で、「引き感」をオリジナルよりも少し上げるベストなセッティングが見つかりました。

なお85mmにダウンサイジングしても

◆85mmが狙い撃つもの

平均91.1m、さらには100m飛ぶポテンシャル、そこが85Sの最大の強みです。
これが最終プロトサンプルの無風空間におけるキャスト飛距離の結果です。

最大100.2mで、平均して91.1mです。

最大100.2mで、平均して91.1mです。
なお、このデータは公平を期すために、一発勝負の連続5投の結果となります。

正直、常に100m飛ばせる訳ではありません。自然環境化で釣りをする以上あらゆる制約がかかるのは当然ですので、アゲインストであれば決してそんなに飛ばないですし、フォローであればもっと飛ぶかもしれません。
ただ今言いたいことは見かけの数字だけの話ではなく、アングラーが体感できるキャスタビリティについてです。

サーフの海アメ海サクラの釣りはランガンスタイルなど過酷な環境下におけるキャスト回数がかなり多いことが特徴です。
毎投フルキャストで一日中竿を振るのは、かなり大変な釣りになります。
そこで重要視されるのはフルキャストにおける最大到達点よりも、長くキャストできるパワーでどのくらい沖を狙えるか、またはアゲインストであればコンパクトな軌道のキャストで糸の抵抗なく、なるべく沖に届けられるか、といったことに焦点が当てられます。

そんなショアアングラーの気持ちを満たすキャスタビリティを持つのが「ウインドリップ85S」と自負しています。

人間の体感を数値化するのは難しいので、本記事では敢えて客観的データである飛距離を提示しましたが、ここから言いたいことは「よりキャストが楽になったよ」ということなのです。

85mmとコンパクト化されたボディながら
重量は28gとオリジナル95Sと同値、さらにはウェイトをタングステン化。
これらの恩恵は海アメ海サクラだけに留まりません。

支笏湖、洞爺湖、屈斜路湖、中禅寺湖など名だたるフィールドにおいても近年ジグミノーは必要なルアーとなっています。
28gというのは長尺トラウトロッドにおいては割と限界ギリギリの重量感です。
ですので竿が負けて思ったより飛距離が出なかったり、そもそも28gを使わなかったりといったこともあるのですが、85mmにコンパクト化され、重心移動搭載のウインドリップ85Sであれば、ボディ体積から生じるキャストの抵抗感も少なく、またそれなりの入力で(バックが取りにくい立ち位置でも)飛距離が出せるということになります。
また、先述したようにキャスタビリティ全振りではなく、設計におけるこまかな浮力バランス(アクションに直結)も最重要視していますので、着水後のフォール姿勢でのアピールやナチュラルなロールとスイングなど、止水域で求められる能力もオススメできるポイントです
もちろん純粋に「85mm」というシルエットダウンはシビアな状況に効くはずです。
ただのダウンサイジングではなく、ダウンサイジングすることの進化、真価をご体感頂けると、非常に嬉しいです。

◆ちょっとしたHow To

「飛ぶのはわかった、じゃあどうやって使ったらいいの?」と、いうことで、Y流のウインドリップの使い方を簡単にご説明します。
ウインドリップは本当に単純明快かつ、その分奥が深いルアーですので是非一読ください。

ちょっとしたHow To

◆改めましてウインドリップ85Sです

ということで、飛距離とアクションのキレ、フォールでの揺らめき、これらをダウンサイジング「することで」実現した、それがウインドリップの新サイズ85Sとなります。
ただのダウンサイジングではなく、これまで以上のパフォーマンスを実現するためのダウンサイジングという正統進化を目指したジグミノーです。

さて、海アメ海サクラというソルトの釣りと、レイクショアという淡水の釣りどちらにも使えるような重量、抵抗感、飛距離という説明もしましたが、カラーについてもそのような設定となっておりますのでここでご紹介します。

まず全体カラーは8色で

改めましてウインドリップ85sです

001アカキン
定番色ですが、特に濁りに強く、雪代などがある場合に有効です。


002 ピンクバック
サクラマスやニジマスに効くとされるピンク×シルバーの組み合わせで、パイロット的に使用可能です。朝イチに投げるのも○


003チャートゴールド
アメマスを含むイワナ属に特に有効なカラーです。ただ、蛍光系のカラーを好むのはレイクのニジマスでも同様です。総じて万能なアピール系カラーになることが多く、特にローライトで活躍します。


004 ピンクグロー
ホワイトパールベースのグローカラーです。グローのアピールと膨張系パールの組み合わせで、水中でぼわっと存在感をアピールする目的のカラーです。やや濁りが入った時やマヅメのローライトで存在感を出したいときに有効です。


005 サケチ
ベイトフィッシュであるサケチギョをイミテートしたカラーですが、湖や河川においても、その他のサケ科魚類の稚魚に認識できるよう万能に仕上げています。
また敢えてホログラムを使わず、生々しいグアニン系の反射を目指したナチュラルベイトカラーです。


006 カーディフカタクチ
カタクチイワシを模したカラーですが、ボディ側面のパープルやテールのブラウンなど、短水系ベイトにも捉えられる要素を付加することで、レイクではその他ワカサギやトゲウオなどにも見て取れ、淡水・海水どちらも使えるカラーです。


007 ナギサブルー
晴れの日の美しい島牧の海の色を模したカラーです。日中に水色に馴染ませるのはもちろん、プランクトンが少なくジンクリアな湖においても、水の色に馴染みながら、明滅の効いたフラッシングをもたらしてくれるカラーで、要所要所にもたらしたクリアブラウンが小魚感を増すことで、フィールド問わず使えるカラーに仕上げています。


008 シルエットブラック
その名の通り、シルエットをはっきりと出すカラーです。フラッシング系にスレていたり反応しない時や、まったくのノーライトで水中で存在感を出したいときに有効です。
また、越冬期などに黒ずんだイワナやヤマメ等のサケ科魚類にも通ずるカラーであり、それらを捕食するブラウントラウト等フィッシュイータ―にも有効なカラーです。ただのブラックではなく、クリアのキョウリンホログラムを付与することで、アワビに似た怪しい輝きを実現しています。

1-4 アピール、6-7 ナチュラル、8 リーサルウェポン
といった具合で、使い分けていただけると良いのかなと思います。

◆Yのざっくりまとめ

● 24年1月にウインドリップシリーズ最新作 「ウインドリップ85S」が発売されます


● 特徴は4つで、設計をギリギリまで詰めることで実現した
1. オリジナルを超えるキャスタビリティ
2. こだわりのフォール姿勢
3. 手元に伝わるスイングアクション
4. コンパクトなボディ


● これらの特徴によりもたらすもの
1. タフなコンディションでも飛距離や精度が安定します
2. レイクなど淡水においても使いやすいスペックです
3. 使い分けることで 遠くの群れに「シルエットを小さく」アプローチすることも可能です


●使い方
オリジナル95S同様に、投げて巻くだけ。
ですが、ややゆっくり巻き〜やや早巻きの間でスイング幅や抵抗感を意識しながらリトリーブするのがおすすめです。
サクラマスは表層回遊型なので、長いカウントダウンは基本不要ですが、一定レンジまで沈めて巻き上げる&フォールを繰り返すメソッドもあり、フォールで食ってくることもあります。
湖などであればブレイクを意識して、一度沈めてカケ上がり沿いを引いてくるのも有効です。

● カラーは厳選した8色です
 淡水でも海水でも使える、アピール系とナチュラル系を含む8色構成です。

これからの時期にきっと活躍してくれますので、ぜひ店頭でお手に取ってご覧ください。

※記事内で紹介されている製品は、旧モデルの可能性がございます。

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