2025/01/14
コラム
大物釣りをもっと手軽に! 投げで狙う魅惑のターゲット
日置淳in高知県沖の島
投げ釣りのエキスパート・日置淳さんが、高知県宿毛沖に浮かぶ沖の島へ釣行。近年は温暖化の影響もあり南方系のターゲットが注目を集めるなか、その代表格ともいえるタマン(ハマフエフキ)も視野に入れ、気軽に楽しめる堤防から大物を狙う。日置さんにとって初めてのフィールドで、手探り状態のなか、NEW『サーフチェイサー』&『サーフリーダー』を手に魅力的な魚たちを追った。
日置 淳 Jun Hioki
シマノインストラクター。投げ釣りのスペシャリストであり、キスの引き釣りから磯投げの大物釣りまでこなすマルチアングラー。四季の魚を求めて全国各地を釣り歩き、投げ釣りの楽しみを各地のキャスターに伝えている。各種キャスティング大会では輝かしい好成績を残しているトップキャスターでもある。
大物を狙って魅力的なフィールドへ
今回、釣り場に選んだのは四国西南部、高知県宿毛市片島の約24km沖に位置する沖の島。本島や周辺の島々は黒潮の影響を受け年間を通して温暖で、グレ(メジナ)やイシダイなどの磯釣りの好フィールドとして知られており、近年は青物やハタ類などを狙うルアーアングラーの注目も集めている。魚種が豊富なエリアだけに、投げ釣り師の間でも有名な釣り場だという。
「沖の島は投げ釣りを楽しんでいる者にとっては、タマン(ハマフエフキ)の聖地とも言える場所です。私自身、これまで何度も釣行を計画しましたが、直前になって台風や急な天候の悪化で中止になったことが4、5回あります。今回ようやく来ることができて、それだけでもワクワクしています。沖の島での投げ釣りというと磯からのイメージがあるかもしれませんが、港の堤防からも大型のハマフエフキが釣れた実績があります。他にもハタ類などさまざまな魚種が狙えますので楽しめると思いますよ」と日置さん。
舞台は黒潮の恩恵を受ける魅力的な離島。タマンが本命のひとつではあるが、前述したように魚種が豊富で何が喰ってくるかはわからないし、予期せぬ大物がヒットする可能性もあり、期待は高まるばかり。
手軽に楽しめる堤防から、日中をメインに釣りを楽しみ、タマン狙いで夕マズメから夜にかけても限られた時間ながら竿を出すことになった。
大物を想定したタックルセレクト
初日の朝マズメ、日置さんは風向きを考慮して、島の北東部に位置する久保浦海岸にある堤防からチェックすることになった。
足場が良く気軽に楽しめる堤防とはいえ、大物の可能性のあるフィールド。もちろん、タックルや仕掛けには万全を期している。
ロッドはフルモデルチェンジしたNEW『サーフチェイサー』。遠投用に「33-450T」、足元やミオ筋付近を探る近投用に「33-425T」をセレクト。いずれもパワーのあるモデルで、スクリューシートの採用でリールをがっちりと固定できるようになっている。さらに前作よりもリールシートの位置が下がり(リールシートから竿尻までの長さが短くなり)、置き竿時の安定感が向上。取り回しもよくなってファイトもしやすくなるなど、大物を視野に入れた今回の釣行にベストマッチのロッドだ。
リールはNEW『サーフリーダー』をメインに使用。前モデルよりもキャストの飛距離と正確性がアップしており、巻き心地と巻き上げパワーも向上している。ドラグ付きのモデル「SD 35 HYOUJYUN」に、強度テストも兼ねてPE6号を100mほど巻いたものを用いた。遠投用の竿には『パワーエアロTD』をセットして、2タックルの置き竿で狙う。
NEW『サーフチェイサー』&『サーフリーダー』の組み合わせは、大物釣りにマッチした進化を遂げており、今回の釣行には最適な組み合わせ。準備を整えて夜明け前の薄暗いなかで実釣開始となった。
状況を把握してポイントを絞り込む
朝マズメのゴールデンタイム。久保浦での1投目は近場狙いのタックルにヒイカをエサにして投入。砂地からゴツゴツとした底質に変化した辺りに仕掛けを落ち着かせた。初めてのフィールドだけに自らの目とタックルを介して情報を収集する日置さん。軽快な釣りをサポートしてくれる高感度のタックルが、地形を把握してヒットポイントを見つけ出す作業には欠かせない。そして、遠投用のタックルにはイワイソメを付けて、沖へキャストした。
「下げ潮で沖にいい潮目が通っていますね。水深は15~16m。沖は深いですね」
砂地を引いてきて変化のある場所を探り、タックルを通じて伝わる感触からシモリなどを見つけ出し、その際に仕掛けを入れてアタリを待つ日置さん。
明るくなるにつれてアタリが出るようになったもののヒットには至らないなかで、夜光のシモリ玉を外すなど仕掛けに手を加え、キャスト方向を変えて反応をうかがう。
するとほどなくアタリが出て、アワセを入れると『サーフチェイサー』がしなり重量感が伝わった。パワフルかつスムーズに巻き上げ、玉網を使って取り込んだのはイラの一種と思われる南方系の魚。まずは冬も温暖な四国西南部らしい魚種が出迎えてくれた。
その後も潮の流れが変わったタイミングで1匹目と同種の魚を追加したが、この釣り場は早めに切り上げて夕マズメに備えることになった。
時合を逃さず軽快な釣りを展開
2カ所目のポイントに選んだのは、定期船の発着する母島港から南へ800mほどのところにある比較的小さな港の防波堤。多少風があり波気のあるなかで準備を整えて16時頃、釣りを開始した。
「このくらいザワザワしているほうが魚の活性は上がりやすいですよ」と日置さん。その言葉を裏付けるように1投目から反応があり、竿尻を浮かす豪快なアタリが出た! 速やかにタックルを手に取り、アワセを入れると魚の重みでロッドがしなる。心地よい引きを楽しみつつ取り込んだのはメイチダイ。目を貫くような一文字の帯模様が特徴的な、フエフキダイ科のおいしい高級魚である。
「日中でも海に仕掛けが入っている間はワクワクしますね! いつくるのかっていう……」
魅力的なゲストの登場にさらに期待は膨らんだ。
その後はいくぶん風が収まるなかで2匹目のメイチダイを釣り上げた日置さん。夕マズメを迎えて次第に暗くなるにつれて、イカに反応がよくなるそうで、日置さんはスルメイカの短冊やゲソ、ヒイカなどのエサを多用。その狙い通りに反応があり、竿を引きずり込まんばかりの大きなアタリが出たものの、起伏の激しいシモリ周りをダイレクトに狙っているため、根に入られて姿を見ることは叶わなかった。
それでもこの時合を逃さないように手返しよく投入を繰り返す。今度は岩の間にある砂地に仕掛けを落ち着かせて待つようにすると、これも狙い的中! 大きなアタリが出て『サーフチェイサー』が気持ちよく絞り込まれた。いいサイズの魚がヒットしたのは傍目にもわかる。シモリに巻かれないようにロッドのパワー、リールのパワフルな巻き上げ力を活かして一気に浮かせ寄せてくると足元に美しい魚体が浮かび上がった。玉網で慎重にすくい上げたのはグッドサイズの本命タマン! このあとクロホシフエダイも追加して、初日から上々の釣果を手にした。
グッドサイズを攻略した経験と洞察力
2日目は母島港にある通称「スーパー堤防」で釣りを楽しむことに。ここは地続きの堤防ながら、渡船を利用して入釣する必要がある。港の最も沖側に位置しており、沖は潮通しがよく水深もあって青物などの回遊も多く、ルアーアングラーにも人気の釣り場となっている。
ここも初めて竿を出す釣り場なので、タックルを活用してフィールドの情報を収集し、魚の着き場、回遊ルートをいち早く探し出す。魚が捕食するのはシモリ周りなのか? それとも岩場混じりの軟らかい砂地なのか? それとも船道のカケアガリなのか? 潮によっても変わるため、日置さんは反応をうかがいつつ予測しながら探っていくという。
日中ということもあってタフな展開となったものの、ミオ筋のカケアガリや足元の基礎の部分といった障害物周りをタイトに探り、オオモンハタやアカハナといったハタ科のターゲットを釣り上げ、魚種の豊富な沖の島での釣りを堪能した。
翌日(3日目)も釣りをする予定だったが、天候悪化のために釣りができるのはこの日が最後。日置さんがスーパー堤防で釣りをしているときから気になっていた対岸にある(港の北岸から延びている)堤防で夜釣りをすることになった。
スーパー堤防からの釣りで周囲の地形は把握済み。堤防際には基礎やテトラが入っており、ミオ筋が近くて十分な水深があるという。港は比較的大きく、風で波気もあるため小魚やそれを捕食する大型魚が回遊してくる可能性は高い。
日置さんの読み通り、開始早々から小型のフエフキやクロホシフエダイが釣れる状況で魚の活性は高い。エサは喰い込みのいいヒイカにして、直前に根掛かりした先の砂地に仕掛けを入れるとすぐさま反応が出た!
激しいアタリで竿尻が浮くと一気に海中に引きずり込む強烈な引き! 尻手ロープのおかげで事なきを得たタックルを手に取ると、『サーフチェイサー』が絞り込まれる。主導権を握られると一気に走られて足元の基礎やテトラにラインが巻かれる恐れもあるなかで、ラインを出さずにロッドのパワーで強烈な引きを受け止め、力強く巻き上げて一気に寄せてくる。海面に浮かび上がったのは見事な魚体をした美しいタマン! 日置さんが慎重に玉網に入れて勝負あり。最後の最後でサイズアップとなる60㎝超の本命を手にすることに成功した。日置さんの豊富な経験と洞察力、そして信頼できるタックルがあったからこそ出会えた1匹だった。
高知県沖の島という魅力的なフィールドで、タマンなどの大物釣りに挑んだ2日間。実にさまざまな魚種が姿を見せてくれ、黒潮の影響を受ける南国の離島ならではの釣りを満喫した日置さん。NEW『サーフチェイサー』&『サーフリーダー』のパワーやキャスト性能を再認識する釣行になったという。
この新しい専用ロッドとリールが、今回のような大物狙いを含む本格的な投げ釣りをより手軽に、快適にしてくれる。
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