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2023/10/19

コラム

投げ釣りで磯の王者イシダイを狙い撃つ NEW『パワーエアロTD』×日置 淳 in 長崎県対馬

今回、投げ釣りの名手・日置淳さんが挑んだのは磯の王者イシダイ。舞台は長崎県対馬の沖磯で、投げ釣りで専門に狙うのは初の試みとなる。すべてが手探り状態のなか、強力な相棒『プロセレクト』& NEW『パワーエアロTD』とともに本命の姿を追った。

投げ釣りで磯の王者イシダイを狙い撃つ NEW『パワーエアロTD』×日置 淳 in 長崎県対馬

日置 淳(ひおき じゅん)
シマノインストラクター。投げ釣りのスペシャリストであり、キスの引き釣りから磯投げの大物釣りまでこなすマルチアングラー。四季の魚を求めて全国各地を釣り歩き、投げ釣りの楽しみを全国各地のキャスターに伝えている。各種キャスティング大会では輝かしい好成績を残しているトップキャスターでもある。

新ターゲット確立の可能性を探る

日置さんが今回投げ釣りでイシダイを狙うことに決めたのは、自身の興味もあるが、最大の目的は新しい投げ釣りターゲットの確立とその可能性を探るためだという。

「イシダイは磯の投げ釣りでコロダイを狙っているときに何度か釣り上げたことがあります。だからメインターゲットにしても釣れるんじゃないかと考えていたんですよ。そこに大物釣りに特化したリール、NEW『パワーエアロTD』が登場しました。これがあればいけるという可能性がぐっと高まり、挑むことに決めました」

釣り場に選んだのは長崎県の北部、玄界灘に浮かぶ対馬(対馬島)。魚種が豊富で魚影が濃く、数々の大物もひしめく、釣り人ならば一度は竿を出したい夢のあるフィールド。もちろん今回の本命であるイシダイも数多く釣り上げられている。

「実はお隣の韓国では、磯から投げ釣りでマダイやコロダイを狙うスタイルが流行っているそうです。この対馬には韓国のアングラーもよく釣行しているので、投げ釣りでもイシダイが釣れると知ってもらえたら新しいターゲットとして楽しんでもらえるかもしれないですね」
今回の釣行のスケジュールは3日間。初日は対馬入りして午後から夕方にかけて狙い、2日目は朝から昼過ぎまで、3日目は朝からお昼前まで竿を出す予定。時間はたっぷりあるように思えるが、日置さんとしては初の試みだけにもっと時間が欲しいという。

「この釣行が決まってから、タックル、仕掛け、エサ、釣り方に至るまでずっとイメージトレーニングしてきました。逆に言うとそれしかできなかったわけです。夜、ふっとイシダイの夢を見て目覚めることがあるくらい考えましたし、楽しみにしていて、いい緊張感もあります。対馬というフィールドにもすごく気持ちが高ぶりますね」

幻の魚、磯の王者とも呼ばれるイシダイ。その魅力にとりつかれた釣り人は多い。今回はこの魚を投げ釣りで狙う!

幻の魚、磯の王者とも呼ばれるイシダイ。その魅力にとりつかれた釣り人は多い。今回はこの魚を投げ釣りで狙う!

対馬の北西部「佐須奈」から渡船「海星」(立花船長)で沖磯へ。

対馬の北西部「佐須奈」から渡船「海星」(立花船長)で沖磯へ。

攻略のカギは地形の把握

ロッドは大物特化モデルの『プロセレクト』。食い込みとパワーのバランスを考えて425BX-Tを選択。リールは NEW『パワーエアロTD』「GOKUFUTO」だ。

ロッドは大物特化モデルの『プロセレクト』。食い込みとパワーのバランスを考えて425BX-Tを選択。リールは NEW『パワーエアロTD』「GOKUFUTO」だ。

初日。大阪から移動してそのまま対馬の北部「佐須奈」の港からお昼過ぎに渡船で沖磯へ。やってきたのは対馬の北西部の湾内にある独立磯。南からの風が強かったので、船長が風裏となる釣り場に案内してくれた。もちろんイシダイ釣りの実績が高い磯ではあるが、日置さんにとっては未知の場所。地形や水深、狙いどころなどを船長や対馬のイシダイ釣りに精通した釣友から聞いてはいるものの、その実態は釣りをしながらつかんでいくしかない。

磯は足場がよく、三脚を設置しやすかった。実績があるのは北向きで、真北には離れ磯があるので、その左右を狙っていくことになる。潮は満潮からの下げ潮。納竿は17時過ぎなので、時間はあまり残されていない。日置さんは離れ磯の左方向のみを攻めると決断。その方向を狙いやすいように、時間をかけて三脚をセッティング。三脚にロッドを置いてアタったあとの対処とアワセ、取り込みまでのシミュレーションを念入りに行って仕掛け作りに移る。これはイシダイに限らず、投げ釣りで大物を釣るために欠かせない準備のひとつだという。

ロッドは『プロセレクト』425BX-T。リールはNEW『パワーエアロTD』の「GOKUFUTO」モデル。ラインはナイロン10号で、先端から3mほど折り返して撚り糸にすることで力糸代わ りとした。

「ラインが10号なので、力糸はバランスを考えると20号とかなり太いものになってしまいます。結束部が大きくなってしまうので、ガイド抜けが悪くなり飛距離が伸びないなど、太く硬い力糸はライントラブルにつながる可能性も高まります。これらを軽減するためのセッティングです」

天秤は脚が短い自作の遊動天秤。オモリは六角オモリ35号、ハリスは80cm ほどとった16号のフロロカーボンをサルカンでつなぐ。道糸とサルカンの間にシモリ玉を入れ、天秤とサルカンの干渉を防ぐ。ハリはイシダイバリ16号相当のものを使う。このほかにもハリはさまざまな形状、サイズを持参しているという。

「この仕掛けで魚にエサを食い込ませやすくするにはどうすればいいのか、ファイト時のパワーバランスなどをいろいろシミュレートして『プロセレクト』425BX-T を選びました。穂先がしなやかなのでスムーズにエサを食い込ませられるし、思い切りアワせれば粘り強いバットパワーでイシダイの硬い口にハリを貫通させることができます。ファイト時はこのロッドならではのタメを効かせて真っ向勝負を挑みます」

もし想像以上に海底が荒い岩礁帯であれば『プロセレクト』425AX-T を使うと日置さん。パワーがあって根掛かりを回避しやすく、掛けた魚をより早く浮かせることができるそうだ。ラインもナイロン20号を巻いたものを使うとのこと。はじめての釣りだけに準備はいつも以上に万全を期したというわけだ。

日置さんはハリスとハリを付ける前に天秤とオモリだけの状態でこれから狙う左方向へキャスト。カウントしながら水深、潮の方向と強さをつかむ。そしてオモリが着底したら、ロッドを立て、リールを巻いてリフト&フォールの要領でオモリで海底を探る。これで底質と地形変化を読み取ることができるのだ。

「潮の流れは右へいっている感じで、そこまで強くはないですね。80m沖で水深は10mほどといったところでしょうか。そこから15m手前までは砂地に沈み瀬が点在している感じですね。イシダイは岩礁帯に着いているだろうし、回遊するにしても砂地と沈み瀬の境界を通るはずです。エサを置くのは沈み瀬の上か、砂地との境界部分。こんな感じで釣りをはじめる前にエサを置ける場所を探しておくと釣りを組み立てやすいですよ」

数回キャストして日置さんは狙いどころが絞り込んだ。ひとまず竿2本で狙っていくという。

三脚の設置角度を念入りに調整する。これが決まるかどうかで釣果が変わるという。それほど重要なポイント。

三脚の設置角度を念入りに調整する。これが決まるかどうかで釣果が変わるという。それほど重要なポイント。

三脚に尻手ロープを付けたロッドを置き、アタったときのシミュレーションをする。尻手ロープの長さも重要なのだ。

三脚に尻手ロープを付けたロッドを置き、アタったときのシミュレーションをする。尻手ロープの長さも重要なのだ。

釣る前にオモリと天秤だけを投げて水深、潮流、底質、地形をチェック。狙う場所を絞り込んでいく。

釣る前にオモリと天秤だけを投げて水深、潮流、底質、地形をチェック。狙う場所を絞り込んでいく。

遊動仕掛けで挑む。天秤は根掛かりしにくいよう自作の小型タイプ。オモリは六角オモリ35号、道糸とサルカンの間に天秤と結束部が干渉しないようにシモリ玉を入れている。

遊動仕掛けで挑む。天秤は根掛かりしにくいよう自作の小型タイプ。オモリは六角オモリ35号、道糸とサルカンの間に天秤と結束部が干渉しないようにシモリ玉を入れている。

迷いなくアワせてパワーファイト

初めて投げ釣りで狙って釣った1匹目のイシダイ。日置さん自身のスタイルが通用することを証明できた1匹でも ある。うれしさも格別。

初めて投げ釣りで狙って釣った1匹目のイシダイ。日置さん自身のスタイルが通用することを証明できた1匹でも ある。うれしさも格別。

使用するエサはサザエ。殻から取り出してフタと肝はカット、身の部分だけをハリに2個付けにする。このとき注意しておくのが、サザエを16号のハリからはみ出さないように付けることだという。

「エサがハリからはみ出すとハリスに重なります。するとイシダイがハリスごとエサのサザエを噛んで来るんです。16号のフロロカーボンハリスといえどもイシダイの歯で強く噛まれると簡単に傷んで切れやすくなってしまいます。これを防止するためにエサをハリのサイズに合わせておくわけです」

ハリのチモト部分を噛み切られにくいケプラーにして、エサを大きく付けてアピール力を強めるための仕掛けも準備しているが、まずはいつもの投げ釣りスタイルを貫いてフロロハリスのみで挑んでみるという。

仕掛けが完成して15時過ぎに釣り開始。先ほどチェックした左方向へ仕掛けを投げ込む。1本は沈み瀬の上に、もう1本は沈み瀬と砂地の境にエサを置いて、あとはアタってくるのを待つ。誘うために仕掛けを動かすと根掛かりするだろうと日置さん。

「イシダイがエサに気づいて食ってくると、まずは穂先を揺らす小さなアタリが出ます。そのまま待ち、エサを食い込むと一気に竿尻を浮かせて引っ張り込むほどの大きなアタリになります。ここでカウンター気味にロッドを立てて大アワセをしてイシダイの口の横(カンヌキ)へのハリ掛かりを狙います。あとはタックルのパワーを信じてリールをゴリ巻きして浮かせます」

これは日置さんが事前に調べたイシダイ釣りと、これまでに培ったコロダイなどの大物釣りの経験をもとにした釣り方だという。これで通用しないなら別の方法を試してみるという。

「船長は下げ潮に実績があると言われていました。たしかにいい潮が右へいっていますね。こういうときの1投目は釣れることが多いんですよ」

2本のロッドを三脚に置いて3分後、沈み瀬と砂地の境界に投げ込んだロッドの穂先が数回叩かれる。そしてそのまま竿尻が浮き、三脚を支点にシーソーのような状態に! 日置さんはロッドを手に取り大きくアワせると『プロセレクト』がきれいな弧を描いた!

大きくアワセを入れる日置さん。ロッドのパワーにはまだまだ余裕がある。このパワーを活かして、リールのゴリ巻きでスムーズに寄せる。

大きくアワセを入れる日置さん。ロッドのパワーにはまだまだ余裕がある。このパワーを活かして、リールのゴリ巻きでスムーズに寄せる。

「これはイシダイ!」

ロッドの角度を保ってNEW『パワーエアロTD』をゴリ巻きして浮かせにかかる。そして立ち位置を変えようと尻手ロープを竿尻から外そうとしたところで竿のテンションが若干抜けて、その瞬間、ハリが外れてしまった。

「しまった!やってしまいましたね……。尻手ロープをは外すのに手間取りました。1匹目だったから尻手ロープを気にせずもっと強気で浮かせればよかった。悔しいですが、これで対処法がわかりました。次は必ず釣り上げます」

さすがは磯の王者イシダイ。そう簡単に釣らせてはくれないようだ。しかし、日置さんの読みが的中したヒットだった。その後も同じ方向、距離を狙って、仕掛けを投げ直していると約20分後に再びアタリ。今度も沈み瀬と砂地の境界に投げ込んだエサを食ってきた。万全の体勢でアワせると『プロセレクト』が一気に絞り込まれ、日置さんは『パワーエアロTD』をゴリ巻きする。

「新しい『パワーエアロTD』はリジッドキャスト、ハガネボディ(金属ボディ)との相乗効果のおかげで剛性が非常に高いんです。大物狙いの投げ釣りでパワーファイトするときはリールのたわみや巻取り力が気になるんですが、剛性が高いのでまったく気にならない。インフィニティドライブとサイレントドライブのおかげもあって滑らかに静かに巻けます。一切パワー負けを気にすることなく浮かせられますね」

水面に姿を現したのは縞が消えて、口が黒くなったオスのイシダイ。尻手ロープをここで外して玉網ですくってキャッチ!狙いどおりにハリは口の横を貫いていた。ファーストヒットのバラシから得たことを糧にして、磯からの投げ釣りでイシダイを手にすることができた。記念すべき1匹目は45cmオーバーとまずまずのサイズ。

「イメージした通りに釣り上げることができました。これは人生に残る1匹ですね!」

リリースして次なる1匹を狙うが、エサ盗りらしきアタリが幾度かあるだけで、本命イシダイが食ってこない。暑さに負けず日置さんはエサをこまめに交換して仕掛けを投げ直す。そうして1時間後に2匹目のアタリが出て、45cmクラスの良型を追加した。ふらふらしていた潮の流れが落ち着いた瞬間に食ってきたこの魚も、口の横の部分にしっかりハリが掛かっていた。

「この1匹は落ち着いてアワせてファイトすることができました。底へ底へ突っ込むのを止めるために、ロッドを立ててリールをゴリ巻きしないといけないのですが『パワーエアロTD』の剛性と安定した巻取り力のおかげですごくスムーズでしたね」

このあと潮が動かなくなりアタリも遠のいて17時過ぎに納竿となった。2時間ちょっとの釣りでなんと2匹のイシダイをキャッチ。上々の初日となった。

2匹目も45cmクラス。これはメスのイシダイだった。

2匹目も45cmクラス。これはメスのイシダイだった。

エサはサザエ。3日間使うのでカゴに入れて海に浸けて生かしておく。

エサはサザエ。3日間使うのでカゴに入れて海に浸けて生かしておく。

殻から取り出してフタと肝をカット。ハリに2個付けする。ハリからはみ出さないようにすることが大切。

殻から取り出してフタと肝をカット。ハリに2個付けする。ハリからはみ出さないようにすることが大切。

投げ釣りのメリットは沖を広く狙えること。80m沖にロックオン!

投げ釣りのメリットは沖を広く狙えること。80m沖にロックオン!

これがロッドを引っ張り込む本アタリ! 三脚を支点にシーソー状態になる。

これがロッドを引っ張り込む本アタリ! 三脚を支点にシーソー状態になる。

取り込みは玉網で行った。

取り込みは玉網で行った。

45cmオーバーのオスのイシダイ。オスは成長とともに縞が消えていく。

45cmオーバーのオスのイシダイ。オスは成長とともに縞が消えていく。

玉網で海中に浸けて元気になったところでリリース。

玉網で海中に浸けて元気になったところでリリース。

狙うべき場所へ的確に投げ込む。「リジッドキャストのおかげでコントロールよく投げ込めます。振り抜け感も心地いいですね」

狙うべき場所へ的確に投げ込む。「リジッドキャストのおかげでコントロールよく投げ込めます。振り抜け感も心地いいですね」

納竿間際にヒット! 1匹目の経験が活きたスムーズなファイトだった。

納竿間際にヒット! 1匹目の経験が活きたスムーズなファイトだった。

「イシダイといえばやはりこの縞。きれいですね!」。このあとしっかり体力を回復させてからリリース。

「イシダイといえばやはりこの縞。きれいですね!」。このあとしっかり体力を回復させてからリリース。

ワンチャンスを逃さず本命攻略

ナイロンライン10号で真っ向勝負。

ナイロンライン10号で真っ向勝負。

2日目は風も弱まったので初日よりも沖にある独立磯へ。この日は朝が干潮、昼過ぎに満潮を迎える潮だった。満ち上がってくる潮を釣るのがメインとなり、足場が低い磯なので安全に釣りができる潮位になるまでの勝負と決めた。船長からアドバイスをもらった南向きを狙うと日置さん。まずは初日同様オモリだけをキャストして水深と潮の動き、底質と地形を把握していく。

「潮はそこまで流れていないですね。70〜80m投げて、水深は10mほど。砂地が少なくて根の起伏も大きいですね。昨日の場所よりも根掛かりが多そうですが『プロセレクト』425BX-Tで対応できると思います」

初日と同じタックルを使用し、エサも同じくサザエの2個付けで挑む。初日と違うのは、アタリ、アワセ、ファイトの感覚。『プロセレクト』と『パワーエアロTD』のパワーをしっかりつかめていることで、確信を持った釣りができると日置さん。

準備を整えて釣りを開始したのは7時過ぎで、1時間ほどで干潮を迎える。仕掛けは2本とも同じ方向へ投げ、沈み瀬の起伏の中間に置いた。潮流れが速くなると10号のナイロンラインが抵抗を受けてオモリが転がってしまう可能性もあるが、その動きもイシダイへエサの存在をアピールすることになるのではないかと日置さん。

「干潮の潮止まり前に一度チャンスがあると思います」

アタリを待っていると開始から20分後に穂先が小さく揺れるが、エサ盗りのようでサザエが少しかじられていた。エサを付け直して投入。その仕掛けが着底してすぐに三脚から竿尻を浮かせる強いアタリ。沈んでくるエサをイシダイが見ていたのだろうと日置さん。尻手ロープを外してアワせるために素早く態勢を整える。そしてロッドが引き込まれたところで一気にアワせた!

「これはイシダイ!」
スムーズなやり取りで寄せてくる。存分にファイトを楽しんで玉網に収めたのは50cmオーバーの良型。初日の経験を活かした名手らしいファイトで手にした1匹だった。

「このサイズが釣りたかった!投げ釣りスタイルでもしっかり釣れますね!イシダイが釣れたのもうれしいですが、自分のスタイルが通用するのがわかったことが一番うれしい」

2日目も幸先のいいスタートを切ったものの、干潮で潮が止まるとアタリが遠のいてエサもつつかれない状況となった。満ち潮になれば潮も動くだろうと予想したが、満ち潮になっても思ったより潮が動かない時間が続く。それでも日置さんはエサをこまめにチェックして傷んでいるなら新しいものに交換して仕掛けを投げ直してアタリを待つ。

「潮が動かないですね……。投げる方向を変えてみましょうか」

今度は西向きを狙ってみる。こちらも70〜80m投げたところは、最初の場所と水深はさほど変わらず10mほどだという。違うのは若干根掛かりが少なそうだということ。しかしこちらも潮が動かずアタリがない時間が続き、とうとう13時を回ってしまった。潮位も高くなってきて粘れても14時過ぎには納竿だろうと日置さん。

「時間がないですが、もう1匹釣り上げたいですね」

沈み瀬と砂地の境界を見つけ、そこに仕掛けを投げ込み、回遊してくるイシダイを狙う。そして13時10分を回ったとき、竿尻を浮かせる強いアタリ!アワせると『プロセレクト』が大きく曲がる。イシダイが下へ下へ突っ込もうとするが『パワーエアロTD』の巻き上げパワーには敵わず、ほどなく水面へ浮いてきた。これは45cmオーバーの良型のイシダイだった。

「2日間釣りをしてこのタックルセッティングならもっと大きなイシダイとも戦えると確信できました。これはすごくいい勉強になりましたね」

この日は開始すぐと納竿間際のヒットだった。どちらもワンチャンスをつかむ釣りとなったが、それを呼び込んだのは日置さんの読みと判断力によるところが大きかった。

そして納竿間際にヒット! 渾身のアワセが決まった。

そして納竿間際にヒット! 渾身のアワセが決まった。

これもオスのイシダイ。このあと優しくリリース。

これもオスのイシダイ。このあと優しくリリース。

どこの釣り場でも三脚のセッティングの重要度は変わらない。ベストな角度と位置に据える。

どこの釣り場でも三脚のセッティングの重要度は変わらない。ベストな角度と位置に据える。

地形と潮をチェックしてから釣り開始。70〜80m沖を狙い撃つ。

地形と潮をチェックしてから釣り開始。70〜80m沖を狙い撃つ。

読みどおり干潮前にヒット! 思い切りアワせると『プロセレクト』425BX-Tが気持ちよく曲がる!

読みどおり干潮前にヒット! 思い切りアワせると『プロセレクト』425BX-Tが気持ちよく曲がる!

玉網ですくい上げたのは…

玉網ですくい上げたのは…

50cmオーバー! 念願のサイズを手にした。

50cmオーバー! 念願のサイズを手にした。

食わない時間が続いたが、日置さんは休むことなく竿を振り続けた。

食わない時間が続いたが、日置さんは休むことなく竿を振り続けた。

4匹目となるとファイトもよりスムーズ。玉網に収めて本命をキャッチ。

4匹目となるとファイトもよりスムーズ。玉網に収めて本命をキャッチ。

「未知の釣りなので、ボウズも覚悟していました。投げ釣りの新しい対象魚が増えましたね!」

「未知の釣りなので、ボウズも覚悟していました。投げ釣りの新しい対象魚が増えましたね!」

60cmオーバーを導き出した名手の読み

最終日は初日の磯へ再びアタック。大物を意識してロッドを『プロセレクト』425AX-Tに、ラインはナイロン20号にアップして挑む。

最終日は初日の磯へ再びアタック。大物を意識してロッドを『プロセレクト』425AX-Tに、ラインはナイロン20号にアップして挑む。

3日目は早朝から昼までの短時間勝負。どこへ行こうか船長を含めて相談した結果、初日の磯へ再度アタックすることとなった。

「船長にはいろいろな磯を提案いただいたのですが、初日に上がった磯を選びました。北向きにある離れ磯の右側を狙っていなくて、どうしても気になっていたんですよ。あと、今日は釣りをする時間が短いですし、ある程度釣り場の状況がつかめているほうがいい釣りができるかなと」

くわえて時間と潮のタイミングが真逆というのも日置さんがこの磯を選んだ理由。初日は昼過ぎから夕方までの釣り、潮は満潮から下げ潮の時間だった。この日は早朝から昼前の釣りで、潮は干潮を挟んでの満ち上げがメインとなる。

5時半に磯上がりして、準備を整えて釣りを開始したのは6時過ぎ。離れ磯の左側に仕掛けを2本、本命と読んだ右側へ1本投入。この1本は『プロセレクト』425AX-T、『パワーエアロTD』の「GOKUFUTO」モデルにナイロン20号を巻いたパワーアップバージョンである。

「425AX-T でも釣ってみたいなと。ただ425BX-T よりは穂先の張りが強くなるので、食い込ませやすくするために『パワーエアロTD』のドラグを少し緩めておきます。緩めすぎるとイシダイに余分に走られてハリスの根ズレにつながるし、主導権を渡してしまいます。エサをくわえて走ったらドラグを効かせてラインが少し出るようにしておくと、口の横にハリが掛かりやすくなるんです。そのあとでドラグをフルロックしてアワせるとしっかり硬い口を貫けると思います。朝マズメの一発に期待しましょう」

日置さんは仕掛けを投げたあと『パワーエアロTD』の「ドラグノブ」を緩めて「プリセットノブ」を回して食い込ませやすいドラグ設定にした。これを「アタリ待ち状態」という。アワせるときは、ドラグノブをさっと締め込めばドラグは瞬時にロックされる。しかしプリセットノブのドラグ設定はそのままキープされるので、その後も同じ設定で使い続けられる。これが「ツインドラグ」の特徴である。

3本の竿を眺めながらアタリを待つ。そして6時10分にアタリをとらえたのは読みどおり離れ磯の右側へ仕掛けを投じた425AX-T。少しだけ緩めておいたドラグが音を立ててラインがスプールからじわじわと引き出される。ドラグ設定がベストだったようで、ラインを引き出しながら竿尻が浮いた。日置さんはドラグノブで瞬時にドラグをフルロック! そして慎重かつ渾身の力でアワせる。

「読みが当たりましたね! そして今回の釣行で一番大きいかも!」

危なげないやり取りでスムーズにイシダイを引き寄せて浮かせにかかる。『パワーエアロTD』の剛性と巻き上げ力だからできる安心感のある力強いファイト。上がってきたのは60cmオーバーのきれいな縞の入ったメスのイシダイだった。

狙いどおりに朝マズメにヒット!

狙いどおりに朝マズメにヒット!

「投げ釣りでこのサイズを釣り上げることができました。船長、釣友に感謝ですね!」

「投げ釣りでこのサイズを釣り上げることができました。船長、釣友に感謝ですね!」

感謝とともにリリース。

感謝とともにリリース。

玉網に収まったのは60cmオーバー! ハリも口の横を貫いていた。すべてがイメージどおりの完璧な1匹にこの笑顔。

玉網に収まったのは60cmオーバー! ハリも口の横を貫いていた。すべてがイメージどおりの完璧な1匹にこの笑顔。

釣り場選び、タックルバランス、投げる方向、ドラグ設定と使い方、アワセからファイトに至るまで、日置さんの読みと所作がすべて噛み合ったからこそ手にできた1匹といえる。

「読みが当たったのがうれしいですね! ドラグを少し緩めて食わせやすくしたのもよかったと思います」

この1匹のあとは潮が止まってアタリがなくなってしまった。そこで残りの時間は初日と同じく、左側をメインに狙っていくことに。初日とは真逆の潮でイシダイが食うのかを日置さんは確かめたいという。

しかし潮の動きがいまいちでアタリが出ないまま時間は過ぎていって10時過ぎとなった。タイムリミットは11時半なので時間はあまり残されていない。日置さんはエサをこまめに付け替えて仕掛けを投げ直す。

「ん? 潮が一気に右へ動きはじめましたね」

今度は初日に釣った磯の左側を狙う。

今度は初日に釣った磯の左側を狙う。

ドラグを緩めて食い込みやすくして狙ってみる。

ドラグを緩めて食い込みやすくして狙ってみる。

日置さんが変化に気づいた10時40分、ついにアタリが出た。こちらも『パワーエアロTD』のプリセットドラグを調整して「アタリ待ち状態」にしておいた。しかしスプールからラインをジリジリ引き出すものの、しっかり食い込まず、なかなか竿尻を浮かせてはくれない。もどかしい時間だが、もっともワクワクして緊張感が高まる時間でもある。

日置さんは慌てることなくアタリの変化を待つ。するとドラグがいきなり大きな音を立てて竿尻が浮いた。すばやくドラグノブを回してフルロックしてアワセを入れる。下へ下へと突っ込もうとするイシダイを『パワーエアロTD』のゴリ巻きで浮かせる。冷静なやり取りで仕留めたのは、今回のアベレージといえる45cmクラスの良型のイシダイだった。

「ツインドラグが釣らせてくれた1匹ですね!」

この1匹でタイムアップ。3日間の釣りで45〜60cm超のイシダイを6匹という好釣果で日置さんのチャレンジが終わった。

「イシダイは投げ釣りで狙って釣れることに確信が持てました。これまで投げ釣りでは縁遠い魚だと思っていたんですが、ぐっと身近に感じられるようになりました。それがうれしいし、今後が楽しみですね。対馬というフィールドも素晴らしい魚影でした。アドバイスをくださった船長、釣友にも感謝です。私がふだん釣行しているフィールドでもイシダイ釣り場があるので、そこでも試してみようと考えています。でも、その前に対馬にもう一度釣行してさらに大きなイシダイを手にしたいですね」

今回の釣行の最大のテーマである、新しい投げ釣りターゲットの確立とその可能性を探るという目標は見事達成された。釣りの可能性は無限大。気になるなら挑戦してみる。そんな釣りの奥深さと魅力を日置さんが見せてくれた熱い熱い3日間となった。

しっかり食わせてから力強くアワせる! ロッドが美しい弧を描いた!!

しっかり食わせてから力強くアワせる! ロッドが美しい弧を描いた!!

『パワーエアロTD』をゴリ巻き! 「リジッドキャスト、インフィニティドライブ、サイレントドライブがこのファイトを可能にします」

『パワーエアロTD』をゴリ巻き! 「リジッドキャスト、インフィニティドライブ、サイレントドライブがこのファイトを可能にします」

水面にスムーズにイシダイを浮かせた。

水面にスムーズにイシダイを浮かせた。

この釣行のラストを飾った1匹。

この釣行のラストを飾った1匹。

アベレージサイズの45cmオーバー。6匹とも読み通りの釣りで手にした。

アベレージサイズの45cmオーバー。6匹とも読み通りの釣りで手にした。

日置さんの熱い3日釣りは新しい投げ釣りターゲットの確立につながるものとなった。

日置さんの熱い3日釣りは新しい投げ釣りターゲットの確立につながるものとなった。

プロフィール

日置 淳 (ひおき じゅん)

インストラクター

投げ釣りのスペシャリストであり、キスの引き釣りから磯投げ大物釣りまでこなすマルチアングラー。 四季の魚を求めて全国各地を釣り歩き、投げ釣りの楽しみを全国各地のキャスターに伝えている。 各種キャスティング大会では輝かしい好成績を残し、トップキャスターでもある。

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