2023/07/28
コラム
素潜りの経験から魚の付き場を考える。正者勇人が「カーディフXR」と共にシビアな晩春の長良川を歩く。
2月に解禁を迎える岐阜県の長良川は、エサ釣りからルアーマンまで多くのトラウティストが訪れる有名な河川の一つ。そんな河川のトラウト達がルアーに対してセンシティブになっている状況で釣果を伸ばしていくには、いったいどのような工夫が効果的なのだろうか。そこで今回は、このエリアを中心に毎日のように釣行を重ねているという、モニターの正者勇人(しょうしゃ はやと)の実釣に同行した。喰いが渋いと予想される状況でもコンスタントに釣果を伸ばしていく背景とその思考には、一体どのような意識が隠れているのだろうか。
毎日釣行を重ねるアングラー。素潜りは実釣にどう役立つ?
最初に、今回の主役である正者勇人(しょうしゃ はやと)のことを紹介しておきたい。この正者さんは、シマノのモニターで、岐阜県を中心に様々なエリアでトラウトを狙うアングラーだ。「数投でもいいので、ほぼ毎日釣りをします」という正者さん。もともとは本流でサツキマスを狙う釣りをメインに楽しんでいたが、渓流の釣りは、また違った楽しみや趣があることを知ってから、本格的にこの釣りも楽しむようになったという。また郡上漁協の組合員でもあるため「川での漁が解禁になれば素潜りもしています」とのことで、釣りも楽しむ傍ら、川へ潜って鮎などを獲っていることもあると教えてくれた。「魚の付き場や、その年の魚種ごとの傾向など細かいこともよくわかるようになります」と実際の魚釣りに活かせることはたくさんあるとのことだ。「夜は魚の寝る姿も見られて興味深いですよ」と釣り人でもなかなか見られない夜の魚の様子も観察しているとのこと。今回は、そんな正者さんが晩春の長良川で釣行する様子を深掘りしていく。
テンポよく探って魚の反応を確かめる。狙い所となるピンスポットとは?
今回の舞台となるのは、岐阜県にある長良川。それも上流域の支流でイワナを中心に狙っていく。この時期の長良川は連日多くのアングラーが訪れており、魚達もルアーに対して日々センシティブになっていく。そのため反応が得られても簡単に喰わせられなかったり、フックが掛かっても簡単に外れたりしてしまうことが多いのが特徴だ。さらに「今回の釣り場は、岩の起伏の激しい渓相です」と正者さんが言うように、大きな岩達を乗り越えながら激しくアップダウンを繰り返して登り進んでいくような場所だった。その中でも大きな岩の下はえぐれて魚が隠れるところがあり、深場となって白泡が立っているポイントが見て取れる。「そんなピンスポットをできるだけ正確にテンポよく狙い撃ちしていくことが大切です」と正者さんが教えてくれた。
短い距離での魚との駆け引き。反応した魚をヒットさせるために。
さらに、狙う場所がピンスポットになるため、ルアーに興味を持った魚と駆け引きができる間隔も短くなる。そうなると、キャストの正確性はもちろん、川の流れを繊細に感じ取りながら、ルアーを思い描いたトレースコースで泳がせることも重要だ。そんなシビアな渓流で使ったタックルのひとつとして、リールの「カーディフXR C2000SHG」がある。ダークグリーンを貴重とした落ち着いたデザインが特徴で、155gという軽さを誇る頼れる相棒だ。「コルクグリップが指でつかみやすいです」と正者さんが言うように、この部分も大きな特徴のひとつ。特に今回の渓流では勝負できる距離も長くは取れないので、ピンスポットに着水させた後はできるだけ早くリトリーブを開始したい。その際、ハンドルノブへ指をかける動作がスムーズであることは、釣行の快適さにつながるはずだ。リールが目の前のポイントに自然と集中させてくれるような使い心地であるとも言えるだろう。
テンポは速くともアプローチは繊細に。見落としがちなポイントこそ丁寧に探る。
そんな「カーディフXR」を手に、テンポよくキャストしては移動を繰り返していく正者さん。開始して間もなく、足早に歩いていると見落としてしまいそうな小さな深場から幸先よくヒットさせた。すかさずネットインしたのはオレンジの斑点が美しいニッコウイワナだ。「気になったので確かめて正解でした」と正者さん。さらに「白泡の中に隠れていた感じでしたが、足元まで追わせてうまく喰わせられました」とヒットさせたときの状況を解説してくれた。人が見落としがちなポイントに気がつけるのも、素潜りの経験があるからだろう。さらに「イワナにはフラッシング効果の高いルアーがよく効く印象です」とのことで、使用していたのはカーディフの「リフレイン50HS」。フラッシング効果への期待はもちろんであるが、短い距離でもしっかりとアクションさせられるため、喰いが渋い状況でも活躍してくれる。こうして狙い所を大きな岩場や白泡の立つイワナが隠れやすそうなポイントに絞って、テンポよくキャストを繰り返していく正者さん。「隠れた場所から誘い出して、短い駆け引きの中でいかに喰わせられるかが腕の見せどころです」と、この状況ならではの難しくも面白い部分を「カーディフXR」とともに楽しんでいるようだった。
日々の積み重ねで感性を磨く。研究を重ねるほど深みが増すトラウトの世界。
こうして要所でうまく魚を引き出していくことに成功し、ヒットを繰り返した正者さん。「思った以上に活性が高くてよかったです」と謙遜した様子であるが、コンスタントに釣果を重ねていく様子から、その奥底にはまだ明らかになっていない確かな実力を秘めていることが伺えた。「本流から源流まで、どんな状況でも釣果を出せるアングラーを目指したいです」とこれからの目標についても語ってくれた。「短時間でも毎日釣りに行きます」と語る通り、その言葉の背景には、簡単には釣れない状況だからこそ、魚はどんなところにいて、どうすれば釣れるのかを熱心に研究していることが伺えた。そんな研究熱心な正者さん。今後のトラウトフィッシングを盛り上げる一人のトラウティストとして、ぜひ注目していただきたい。
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