リフレイン 50HS

CARDIFF / カーディフ

【水中映像】カーディフ リフレイン50HS

「自然に溶け込むための理由」　――辺見哲也が考える"トラウトフィッシング"とは

ひとつとして同じ流れが存在しない美しくも複雑な流れの中で、心にひらめいたその瞬間のイメージをミノーで意のままに表現することこそ、我々渓流・源流アングラーの大きな喜び。「REFRAIN」が目指したのは、クイックでかつ派手なきらめきから浮遊感のある静かなゆらめきまで、そうした現場で求められるさまざまなニュアンスを以心伝心で水中に投影できるハイレスポンスな操作性だ。アングラーそれぞれが駆使する多種多様なロッドワークに対して軽やかに反応するオリジナル設計だから、入渓から退渓までの時間をこれひとつでカバー可能。「繰り返し」を意味するその「REFRAIN」の名の通り、お気に入りの渓の流れに繰り返し投げ入れて、心に浮かんだ旋律を刻むが如く何度でもトゥイッチやシェイクを加えたくなるシンキングミノーである。

誕生、ハイレスポンス・シンキングミノー

「REFRAIN」の自重はテクニカルな渓流・源流フィールドで、キャスト時に飛距離とアキュラシーの両面においてストレスを感じさせない4.1g。しかし、ひとたび流れに打ち込めばその使用感に重さ由来のダルさはなく、ハイピッチの明滅ロールアクションを自在に繰り出せるレスポンスの良さが特徴だ。このバルサミノーに肉薄するレベルの軽やかなレスポンスは、ボディ設計、ウェイト、オリジナルリップの緻密な融合によって実現されており、コンパクトでナチュラルなシルエットながらたっぷりの空気室が確保されているため、ソフトなタッチの入力でもしっかりヒラを打ち、なおかつ「起き上がりこぼし」のようにニュートラルポジションへと即座に復元。アクションに切れ目が生じにくく、短かい距離で手数の多い連続ヒラウチを余裕でこなす設計になっている。十分なキャスタビリティーと軽快極まる操作性を高いレベルで両立させた、従来のシンキングタイプやヘビーシンキングタイプの枠に収まり切らない「ハイレスポンス・シンキングミノー」だ。

こだわりの浮遊感とフォール姿勢

ハイレスポンスな操作性を活かした軽快なヒラウチを得意とする「REFRAIN」だが、自重4.1gでも決してヘビーになりすぎない独特な浮遊感もこだわった要素。落ち込みわきの反転流や流れの中に見つけたスイートスポットで、流れを利用して留まらせながら点で誘う釣りでバイトタイミングが作り出しやすく、なおかつテンションフォール時にはシミーフォールする絶妙なバランスが突き詰められている。この独特の浮遊感とフォール姿勢によって低活性の１尾を想定したドリフトの釣りでも見切られにくく、それでいてテンションを緩めればテールから沈む若干の後方重心になっているため、任意のレンジまで送り込む釣りだってお手のものだ。

アップもダウンも泳ぎ切るウェイトバランス

ボディの最下部にはコンパクトで高比重のタングステンウェイトを配置。流れの中での安定性に優れており、アップ〜アップクロスで小刻みにヒラウチさせる釣りはもちろんのこと、ダウンの逆引きでじっくりバイトを誘いたい状況でも足下まで破綻なく泳ぎ切る。基本のアクションはローリング主体のウォブンロール。シンプルなリーリングでも充分に魚にバイトさせる力があり、スプーンを使う要領で流れを横切らせる誘いでも抜群の存在感を発揮する。

バルサ材のハンドカービングから開発が始まった「REFRAIN」は、ハンプバックさせた背中の前後の長さ配分や、顔全体における目玉の位置といった各所を人間が最も美しいと感じる黄金比「1：1.6」で構成。それと同時に、理想のパフォーマンスを追い求めて約２年の歳月をかけてプロト製作とフィールドテストを繰り返す中で、無駄な贅肉が削ぎ落とされて道具としての機能美も備わった。本物の美しさは時代が移り変わっても劣化しない。渓魚とアングラーをいつだって刺激してやまない普遍的なアウトラインとフェイスがここにある。

開発当初からシングルフックでの使用を前提にすべてのバランスが煮詰められており、フロントとリアにそれぞれ#8シングルフックを装着した仕様を採用。これまでシングルフック派のアングラーに欠かせなかった、トリプルフック純正のミノーを使用する際の煩わしいウエイト調整はここでは不要だ。また、軽い入力に反応するハイレスポンスアクションが、シンプルなリトリーブ時の確実なボディーの明滅にも貢献。トゥイッチやシェイクで誘い出した渓魚をタダ引きで食わせ、アタックポイントをはっきりさせてフックアップ確率を高めるシングルフック・ミノーイングならではのテクニックにも対応する。感動を与えてくれるトラウトだから、最小限のダメージでリリースしたい。そんな渓魚とフィールドを愛するアングラーのよき相棒となるだろう。ちなみに、アクションの振り幅が若干抑制されるもののトリプルフックでも快適な使用感が味わえる。