2023/11/15
コラム
大阪府泉佐野出船のタチウオ。関西トーナメンターの作法。
大阪湾の遊漁船を舞台に開催される「タチウオキングバトル」にて、昨年優勝したのが樋口輝(ひぐちひかる)さん。5年前、その樋口さんを船釣りに誘ったのが2018年優勝、昨年も決勝まで勝ち進んだ吉田昇平さんだ。
同大会は予選では数のみを競うが、準決勝と決勝は一定の大きさ(肛門全長26cm以上)からカウント対象となるため、型を意識しながら釣らなくてはならない。
タチウオの大きさを意識して釣り分ける……。そんなことができるのかと思うが、吉田さんと樋口さんは「できる」と言う。
大型を狙って釣る作法
紛うことなきタチウオの最先端。
取材の舞台はキングバトルの決勝戦が行われる泉佐野の上丸。村上利行船長の操船で洲本沖水深100m前後を狙っていく。
「型を入れ替える」
吉田さんと樋口さんは、型をそろえる方法をそう呼ぶ。
手順はこうだ。
まず、小型が最初にアタってくる。それを掛けることなく(ハリに掛かったとしても)上へ誘い続ける。小さなタチウオが群れの中で断続的に行う捕食行動で、周囲にいるであろう警戒心の強い大型の関心を引く。そして捕食スイッチの入った大型が、小さなタチウオを蹴散らすようにテンヤにアタックしてくる。
まさに、小型のアタリを起点に、大型に「入れ替える」のだ。
驚くことに、この技は、開始直後から見ることができた。
「この釣り方はアタリはもちろん、周りに魚がいる気配まで分かる感度の良い竿を使っていると圧倒的に有利です」
吉田さんが使う竿はシマノ最高峰のフラッグシップモデル・サーベルマスターリミテッド82MH180。
「竿先が一瞬で止まらないと分からない変化が、竿がピタッと止まるからよく分かる。これは、Xシートテクニカルガングリップの効果が大きいと思います」
一方、樋口さんはサーベルマスターリミテッド91HH170。
「非常に硬い竿ですが、その特性を活かして、竿先で弾くようにして小さなタチウオを外し、大型に追わせる釣りをしています。感度がとても良いので、変化がよく分かります」
超ハイレスポンスな91HH170で小型のアタリを避ける樋口さんは、潮が変わった一瞬、大型ならではのモタレを察知。聞き上げからのアワセで掛け、全長131cmのドラゴンを釣り上げた。
小型の濃密な魚影はアタリの多さに結びつく。その中にいるであろう大型を狙って釣る、そのテクニックとタックルは、面白さ、技巧において、明らかに全国のタチウオシーンの一歩先を行っている。
トーナメントの作法、それは、紛うことなきタチウオの最先端であった。
【型を入れ替える】
【モタレを察知しドラゴンを釣る】
タックルの作法
ドラゴンの気配を捉える感度とブレない操作性。
食の作法
タチウオのフリット
~ビールのあてに最高の一品~
【取材協力】大阪府泉佐野・上丸
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