2023/02/17
コラム
瀬戸内海西部松山出船のタチウオ
瀬戸内海は西日本を代表するタチウオ釣り場で好ポイントには多くの船が集結……していたのは数年前の話。
「この2年間はタチウオがいなくなりました。ゼロと言っていいですよ」と語るのは松山のニライカナイ・大林真弘船長。その原因は分からないそうだ。
瀬戸内海を東部、中部、西部と大別すると、松山出船で狙う西部は11~2月、つまり冬が好期となる。
その松山出船でこの冬、実に3年ぶりにタチウオが釣れている。
INDEX
当地を訪れた富所潤さんは船長と相談、同船者の同意も得て、この日は数が望める小型ではなく、良型を探索することとなった。
大小700におよぶ島々が浮かぶ瀬戸内海は潮流と海底形状が非常に複雑。航路で水深100~150m、少しずれれば80m、島が目の前にあるのに100mを超えているような場所が随所にある。
船長は入念に反応を探し、ピンポイントで船を止めて投入合図を出す。水深は概ね100m台、反応は底から7~8m、あるいはベタ底が多いようだ。
船長のアナウンスと探見丸で情報を得ながら、フォースマスター200をセットしたサーベルマスターXRテンヤ91HH170と、サーベルマスター船テンヤ40号グローの組み合わせによる省エネバイブレーションで探る富所さんは、タチウオはいるもののエサの追いが今ひとつと判断すると、竿を食い込み重視のサーベルマスターXRテンヤ73M190に交換。すぐに1本目を掛ける。
その後も数本のタチウオが上がるものの、さらに良型を目指して船長は探索を続ける。富所さんも竿を91HH170に戻し、ポイントごとに入念なリサーチを繰り返す。
「底から10mぐらいに潮の変わり目があります。喰ってきますよ」
電動微速巻きのバイブレーションで海底から誘い上げていくと、テンヤが抜けるように軽くなる場所がある。これは底潮と上潮の境、いわば縦の潮目で、タチウオのタナになることが多い。
富所さんの言葉どおり、縦の潮目を探るとアタリが出る。しかし、バイブレーションで掛かりにくいのは先ほどと同じ。ここで富所さんは竿は91HHのまま、誘いを強めのワンピッチジャーク&ロングステイに変更する。
「動かし続けていると追いきれないようなので、大きくドンと誘い、ピタリと止めてアタリを出させてみます。91HHは深場でもしっかり動かせますからね」
狙いは的中、止めたときのアタリで連釣する。さらに小型がじゃれつくような細かいアタリを送っていくと指4本を超える良型も出始め、瀬戸内海のタチウオ復活を予感させる一幕で当日の釣りは沖揚がりを迎えた。
本格的とまでいかなくても、その後もタチウオは釣れている。これが瀬戸内海のタチウオ復活の兆しであることに期待したい。
【この日の決まり手】
FISHING TACKLE
【取材協力】愛媛県松山市三津浜港・ニライカナイ
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