2024/05/24
コラム
2024年のサクラマスの傾向とは。今年1尾目の出会いとともに考察する。
こんにちは。モニターの佐藤文紀です。
春の訪れを告げる桜前線が北国も駆け巡り、東北を通過した現在は日本の最終到達地・北海道の道北に向けて駆け巡っている。
そう、春は川も海もサクラマス釣り最盛期だ。
4月。聖地とされる秋田県の河川も解禁。
2024年は正月の1月1日・元旦より全国最速でサクラマスの河川釣りが解禁された宮城県の北上川水系「新北上川(追波川)」および「旧北上川」にはじまり、2月にはブランドリバー・福井県九頭竜川、3月には日本三大急流として知られる山形県最上川や近郊の赤川、北東北の清流・岩手県閉伊川など全国にその名が轟くサクラマス有名河川が相次いで解禁を迎えていった。
そして4月は、サクラマス(川)釣りの聖地と称される秋田県が全面解禁。
4月1日の秋田県サクラマス釣り解禁日には全国から多くのサクラマスアングラーが秋田県に集結するなど、秋田県下におけるサクラマス釣り文化は全国へと波及している。
秋田県といえば、次にあげる“秋田三大河川”が古くから有名で北から順に米代川・雄物川・子吉川はサクラマスアングラーにとってはいつの時代も注目の的。
また、同時に雄物川水系の支流である玉川や米代川水系の支流である阿仁川も抜群に渓相がいいサクラマス河川だ。
今年は日本海側での釣果が目立つ傾向に。原因は太平洋川の高水温か。
今年2024年は型・数ともに日本海側のサクラマス河川での釣果がひときわ目立っている。
特に70cmオーバー、中には5キロを超える大型サクラマスの釣果も聞かれる一方、太平洋側サクラマス河川での釣果がいまひとつ…という状況にある。
というのも、太平洋側の東北以南では例年にないほどこの冬は海の海水温が高かった。
それが原因で母川に戻ろうと沖合から沿岸部にサクラマスの群れが近づいても煙幕上に張られた高水温の壁を突破できず、母川への遡上をあきらめたような群れも多くなっているようで、そういった個体群のなかには早くに事態を察知し津軽海峡を西側に走り、日本海側ルートに多く抜けているのでは?という話も多々聞かれる。
事実、太平洋側に少なく日本海側に偏って遡上が多い今年の場合にはサクラマスの行動変化は現実的なものとなっていよう。
暖冬が報じられたこの冬の動向、そして東北太平洋側の異例の海水温の高さがサクラマスの帰還期に「水温」という形で大きな影響を及ぼしたのは確か、だ。
尚、サクラマスの適正水温だが最も活動的になるとされる水温はおおよそ8~12度。
低温に強い魚なので水温は5度あればルアーは追うが、むしろ低温よりも高温がサクラマスにとっては悪影響が出る。
というのもこの魚は元が渓流にすむヤマメであるから、ヤマメとて水温15度を超えるような環境では釣果は望めないに等しい。
具体的にはサクラマスも水温15度が境界線で15度を超えてくると魚がいてもルアーへの反応は著しく低下し、それ以上の水温に差し掛かるとサクラマスの生命に危険が及ぶ高水温帯だ。
この春は黒潮の分流が流れ込んで停滞し続けた東北太平洋側、特に三陸沿岸部の海水温が1月~3月も13~15度を維持し続けていた異例の事態だったことも、日本海側・太平洋側それぞれの母川に帰還するサクラマスたちの行動にも劇的変化をもたらしている…、そうとも考えられるだろう。
現在、今年の自身のサクラマス釣果のほとんどは日本海側河川に集中しているが2024年今季1尾目に関しては太平洋側の追波川(新北上川)で刺激的な出逢いが果たせた。
サクラマスシーズンも後半が迫った今回のトラウトミーティングでは、今年最初のサクラマスとの思い出を語っていこう。
厳しいと言われる太平洋側の河川で。今年1尾目との刺激的な出会い。
3月下旬に北上川水系はまとまった雨量となり3月末~4月初旬に水系最下流部ではまとまったサクラマスの遡上タイミングが訪れた。
暖冬で山に積雪が極めて少なく2月から雪代は出始めたが、3月には雪代は出きってしまったかのではないか?と心配されるほど、今季の北上川水系は慢性的な渇水に陥っていた。
水量が少なすぎて雨量もまとまらないため、常時、水がクリアアップした状態でサクラマス狙いとしては条件が厳しい日が長期で続いていたのだ。
幸いこの日は先の雨による川の濁りが回復しきらない「程よい感じの濁り」で、下流から差してくる新規遡上の群れを狙い撃とうと朝から北上川水系における追波川の釣り場に入った。
ひとくちに北上川水系といっても中上流部である岩手県側と下流部である宮城県側とては川の雰囲気はだいぶ異なる。
こと、後者の宮城県側の北上川の下流域では川全体がトロ場であり、瀬やヒラキといったものもほぼないに等しい。
1本の太く、深い流れがドーンと続く典型的な大河だ。
サクラマスの2大ジャンル。ミノーかスプーンか。
サクラマス釣りではミノーとスプーンは欠かせない2大ジャンルであり、ミノーイング・スプーニングそれぞれが活きる環境がある。
ここでは瀬のない環境なのでミノー河川というよりかは、飛距離に優れるスプーンの釣りに向いたスプーンリバーの釣り場。
20gのスプーンで遠投し流芯を通過したところでU時ターンさせ、同時にその箇所にブレイクライン等なんらかの地形変化や流木などの障害物の存在が伴っていれば尚のことベストだ。
スプーンを鼻先でじゃれつくように突く感触が伝わってきて中層でコツコツコツ…と前アタリがあった。
魚がルアーについたことを感知しそのまま丁寧に巻き続けると、ドーン!という引き込みの強いアタリを感じ、すかさずフッキングを入れた。
シリーズ全体にハリを持たせたモンスターリミテッドながら、バラシ対策として今回セレクトしたのはややパラボリック調に曲がるモンスターリミテッドTW83ML。
流れに乗ったサクラマスの走りでバットまで弧を描き、今年初の大鱒とのやり取りを楽しむ。
TW83MLはミノーイング、特にシャローミノーに重きを置いたロッドではあるが、実釣上20gスプーンまで扱える懐の深いロッドである。
不用意にロッドを立て過ぎず、最初にハリが掛かった角度をなるべく維持しロッドが曲がり続けている限りはサクラマスに暴れられてのバラシは最小限で低減できるということもランディング率をあげるために知っておきたい要素。
2本向かい合わせでセットしたスイミングフックのうち、1本だけがサクラマスの口に掛かりしかも皮一枚すくうような浅い掛かりではあったが無事にランディングに持ち込むことが出来た。
59cm、海から遡上して間もない証である寄生虫シーライスが体表に1匹ついていた見事なフレッシュランの魚だった。
このようにサクラマスの口へのハリへの掛かり方はそれぞれ千差万別であり、どのようなアタリが来てどのような掛かり方をしても最後までランディングに持ち込める竿が本当の意味で「サクラマスの釣れる竿」だと長年の経験で実感している。
このあたりはトータルでのタックルバランスがものいう世界だ。
その後も再び同水系では釣果は停滞してしまったようなので、この日はちょうどタイミングが良かったのだと思う。
その後、4月以降は主たる釣行先を日本海側河川に移したところで太平洋側河川よりもサクラマスのヒット数は各段に増えてきた。
全体的に、今年の日本海側河川の好調は目に見えて実感する。
近頃は気温があたたかい日が多く、春だというのに夏日になることも…。
サクラマス釣りの舞台も下流域から中上流域や支流へと徐々に移り変わっていくがサクラマスシーズンは6月の初旬~中旬まで続く。
そして6月1日には北海道洞爺湖や青森県/秋田県にまたがる十和田湖などランドロック(湖に陸封された)のサクラマス釣りも夏季解禁として今後は釣りシーズンが控えている。
海でも、川でも、湖でも出逢えるサクラマス。
シーズン中のいまだからこそ、1尾との出逢いに想いを馳せ、次なる1尾とどう関わるか?を熟考してはいかがだろうか。
釣果も満開のサクラマス。
自身も、引き続きサクラマスを追っていく日々が続きそうだ。
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