2025/03/26
コラム

フルモデルチェンジ! しなやかさをプラスした王道瀬竿 25アドバンフォースで大鮎を狙う×坂本禎

王道瀬竿『アドバンフォース』が2018年以来7年ぶりにリニューアル。今回のモデルは、穂先を中心にしなやかさを増し、操作性を向上させたのが特徴だ。これにより、オトリが浮いたり弱ったりしにくくなり、ゼロテンションの釣りも容易に。『エキサイトトップ』で小さなアタリも取りやすくなった。シマノパワーロッドのイメージカラーであるイエローをまとったニューロッドとともに、坂本禎さんが四国の大河川を釣る。
仁淀川・八天大橋上流を攻める

八天大橋上流の瀬。左岸上流側から釣り始めた。

当日の仕掛け。

釣りを開始してすぐに最初の鮎が掛かった。
最初に釣行したのは、高知県仁淀川。ポイントは八天大橋上流の堰の間にある瀬だ。ロッドはアドバンフォース急瀬90をセレクト。
瀬の上流に立ち、瀬肩にオトリを送り込む。
「瀬の緩い所から波立ちのほうへ入れていって、この辺でオトリを何匹か取って、流れの強い所へ行きたいですね」
だが、流れに入ったオトリの落ち着きが悪い。そこで、0.5号のオモリを付けて再度送り込むと瀬の中で最初の鮎が掛かった。
「口掛かりだったけどね。22~23センチくらいかな。オトリの後ろに来て顔掛かりした感じ。悪くないよね。ちょっと緩いところにいましたね。波と波の間のその白波の後ろ側」
泳がせと引き釣りでポイントを探る

コツコツという前アタリに続いて掛かった良型の鮎。
釣れた野鮎をオトリにして流れに放つ。オトリが元気なので、竿をやや立てて泳がせ気味で、釣れた所を攻めてみる。次に、下流に入れてから竿を寝かせて引き上げてオトリを通していく。さらに、少し前に出て手前から沖へと探る。
「海が近いのにこの透明度はすごいね」
流れの中を進み、沖へと探る。対岸近くの白波の中で反応があった。
「お、デカい。向こうの波の中で一発で来たね」
抜き上げたのは良型の鮎。
「コツコツという前アタリで、顔に掛かってたんでしょうね。瀬肩周りの石の大きい所にこのサイズが多い感じですね」
鮎の気配のなか26cmがヒット

右岸側でヒット。瀬肩の石が大きい所に良型が多かった。
引き続き瀬を攻める。波があり、石が大きく、流れのヨレも入っているため、竿を立て気味にして穂先を利かせる感じで探る。すると流れを渡って右岸側に来たところでヒット。
「黄色く色づいたオスです。どうも顔周りだね、掛かるのは」
すぐにオトリを交換して、同じ瀬に送り込む。
「ほら、乗れ、いるよ」
鮎の気配が強い。そしてすぐにヒット。
「今度も頭の後ろくらいか。このぐらいなら軽くポンと出ちゃうね」
やや下って瀬の中ほど、オトリが追われるが乗らない。その後ふたたびアタる。
「お、来た? 乗った。寄ってこないよ!」
引き抜いたのは26センチほどの大鮎だった。
坂本さんのアドバンフォース使いどころ解説

アドバンフォースは、H3.5パワーの急瀬3本、H4.0パワーの荒瀬1本の計4アイテム。
急瀬90は全国どこへ行っても使える調子です。短めの全長で小河川の大鮎から荒瀬でのやり取りまで安心してできます。
急瀬95は大河川のうち、9mでは短く10mでは長いところに。95は最近減ってきている長さでもあるので、その点でも選択肢になるでしょう。
急瀬100は鬼怒川、那賀川など大河川の大鮎狙いに。鬼怒川は魚が大きく、岩盤相の所で大型が掛かり、かつ滑りやすい川です。水位が高いとさらに取り込みにくくなるので、こういうときにおすすめです。また、届かないところが多く尺オーバーの出る四国吉野川にも。球磨川は普段ドラゴンフォースを使いますが、渇水や流れの弱い所、オトリを長持ちさせたいときに活用します。ドラゴンフォースが体力・腕力的に厳しい人にもおすすめです。
荒瀬90は、荒瀬に立ち込み大鮎を一歩も下らず抜き上げる大鮎・瀬釣り師のためのロッドです。
仁淀川・出来地の荒瀬を攻める

瀬肩から釣り始めると、いろいろな場所で釣れて、パターンを早くつかむことができる。
次にやってきたのは仁淀川の出来地。当日はダムの水量調整のせいかやや水位が下がっていた。人が少なかったため瀬肩に入る。瀬肩から入ると、流れの緩いところ、手前の浅い波立ち、その上のトロなど様々な場所で釣れて、その日のパターンがつかみやすい。さらに瀬釣りは下った方が楽だ。
オトリには背バリを付けた。
「仁淀川は他の河川より根掛かりが多いんです。瀬バリを付けてオトリの尾を持ち上げる感じのほうが、根掛かりが減る感じがします。なので背バリを付けたり瀬バリプラスオモリでやっています」
瀬頭でヒット。波気のない所にオトリを入れ、その下流の大石よって波が出てくるところに送り込んだときだった。
瀬釣りに不可欠なオモリの使い方

小さいオトリや流れの強い場所ではオモリをオトリに近づける。サイズ変更の前に距離を変えるとよい。
オトリが天然に変わったが、サイズが小さく、アドバンフォース急瀬に合わせた太めのラインでは抵抗が大きい。そこで0.5号のオモリを付けて抵抗を低減してやる。この仕掛けで22cmほどの鮎が掛かった。
この鮎に替えてオトリが大きくなったので、オモリを上にずらした。
「オトリとオモリとの距離は、オトリの元気さと仕掛けの太さで決めます。オモリを大きくする前に、オモリをオトリに近づけていって、それでも浮き気味なら大きくします」
遊泳力の弱い小さいオトリはオモリを近づけ、遊泳力の強い大きいオトリは離す。同じオトリでも、流れの強い所に入れるときは、オモリを近づける。
大河川や瀬釣りの盛んな川ではオモリは不可欠。オモリなしでは自分の友釣りは半分もできないだろうという。オモリを使うことでポイントが増え、強い流れにいる大型魚にも近づける。
流れに乗った鮎を征する「タメ」

底で掛かった鮎は、上層の流れに乗って一気に走る。鮎について流れを下る。
「うわあ、来たよ。いいサイズ」
瀬の中央で良型が掛かった。瀬は水面が波立っていても、その下の流れは弱くなっている。瀬バリとオモリによって、オトリはその層に入る。掛かった野鮎は上層の速い流れに乗って一気に走る。取り込んだのは24cmのオスだった。
続いてまたヒット。胸まで水に浸かりながら、流れに乗った鮎を追って瀬を下る。流れの弱くなる瀬尻まで下って、ようやく引き抜いた。
「肉厚で強度のあるアドバンフォースは、のされてもしっかりとタメが効き、戻ってくる。パワーがあるから、ついていきながらも距離を詰められる」
長竿で釣りを有利に展開

長竿のタメを生かして取り込む。仁淀川の鮎には、海産天然魚のパワーが残っているという。
次にロッドを急瀬90から急瀬100にチェンジした。長いぶんタメがより効き、立ち位置も有利な所に入れる。これでもう一度対岸側の深い所を攻める作戦だ。
「オトリの入る位置が全然違うね」
そしてすぐにヒット。対岸近くの水面が大きく波打っているところから一気に鮎を引き抜いた。
「楽だね、10mだと」
続いて掛かった良型も、岸寄りの立ち位置で、さほど下ることなく取り込んだ。
この後、良型が入れ掛かりになった。
長竿の長所は、深く立ち込むことなく遠くのポイントにオトリを入れられること。そして流れの荒い所でもオトリのなじみが良く、よりタメが効いてやりとりを有利に展開できることである。
マイルドになった新生アドバンフォース

新型は瀬でガンガン引くだけではない竿になったと語る坂本さん。
坂本さんが、今回のモデルの進化点を語る。
「従来のアドバンフォースは、瀬でオモリを使うために、先の部分が強くしてありました。しかし、近年の瀬釣りでは、ガンガン引くだけでは釣り残しが多くなります。養殖オトリからスタートしたときや、弱りが早いとき、流れの弱い所や、オトリが小さいときの操作にも難しいものがありました。これに対し、穂先を中心にマイルド化した25モデルは、遊泳力の弱い養殖オトリや小型のオトリ、流れの緩い所での操作が容易になります。オトリが弱りにくく元気な状態が長く続けば、追いが立ったタイミングを逃すことや、オトリが沈んで根掛かりすることも少なくなるでしょう」
吉野川・池田ダム下流の瀬を攻める

当日の仕掛け。

掛かった鮎をどう取り込むかを考え、立ち位置を決め、シュミレーションする。
翌日訪れたのは、徳島県の吉野川。大鮎で知られている川。このとき(2024年)もすでに尺鮎が多数出ているということだった。もちろん狙いは尺鮎だ。
入ったのは池田ダム下流の瀬のポイント。やや渇水気味だが、石の色は悪くない。いつものように瀬肩に入り、いい石にオトリを通しながら下っていく。
渇水気味の条件を考慮して、アドバンフォース急瀬90でスタートする。仕掛けはイラストのとおりだ。
釣り始めてすぐ、石裏のヨレでヒット。オトリより少し大きいメスの鮎が背掛かりで釣れた。オトリを野鮎に変更して、さあこれから。どこに尺鮎が潜んでいるかはわからない。
「瀬釣りや大鮎釣りで大事なことは、釣っているときから下流を見て、走られたらどこをどう下って取り込むか、どこに寄せるかを考えることです。獲れる確率が増えてきます」
泳ぎを出して追いを誘う

粘って掛けた28cmクラス。

大型が掛かり、竿でタメながら下る。
前アタリで逆バリが外され、再度同じところへオトリを送り込んだ。
「来た。デカいよ!」
竿を大きくしならせてタメ、浮いたところを抜き上げる。
「最初、全然反応がなかったけど、竿の角度と糸の角度を変えたらオトリがいい泳ぎをして、追われる感じが出てきました。そのまま我慢していたら掛かってくれました」
続いて、対岸に消波ブロックが積まれた、やや平坦な流れでヒット。強烈な引きに竿をタメながら下る。流れの穏やかな所に誘導して抜く。こちらは細身の鮎だった。同じところで続けてヒット。サイズの割に引くが、尺には届かない。
29cmクラスを連発

尺にわずかに及ばないものの29.5cmの大鮎。この後も同クラスをヒットさせた。
その後、やや下流の浅場で強烈な引き込み。大型と判断し、引き船を外してから岸を下る。下流の浅場に寄せて抜き上げたのは、29.5cmの大鮎。引き船を外すのは、岸を走って下るため。水深のない川の浅場を走ると滑るからだ。ハリは、9号、10号でケラレ・バラシが多く、11号の2本ヤナギにしていたのが正解だった。
この場所に大型がいるとみて続行。大型に備え、最初から引き船を外して釣る。すぐにヒット、川原を下流に走る。浅場に誘導して抜き上げたのは、体高のあるきれいなメス。尺には及ばなかったが29センチの大鮎だった。
坂本さんの語る瀬釣りの楽しさ

ポイントにオトリを入れるのが難しく、掛けてからも取り込みに技術を要する。しかし、全て揃った時に感動が得られる。
瀬釣りは、荒いポイントにオトリを入れていくことが難しさ一つになります。しかしそれができるようになると鮎が掛かります。そして、その掛けた鮎を取り込めるか? 掛けてもバラす、切れる、下手をすると竿が折れる……それを全部クリアして、いい鮎を手にしたときの感動が、瀬釣りの一番の楽しさだと思います。
一回体験してもらえば、アタリや引きが全然違うのが分かります。鮎釣りの幅や楽しさがもっともっと増えると思います。新しくなったアドバンフォースで、ぜひ瀬釣りを楽しんでください。
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