2024/04/26
コラム
トーナメント色を消したスタイリッシュな快適ウェアで楽しむ 爽快なる鮎GAME
「今までにない爽快な着心地」と話すのは島啓悟さん。
ルアーフィッシングに親しんできた湯川マサタカさんも「シンプルで格好いい」と絶賛。
アユの友釣りウェアに新風を吹き込む、鮎GAMEのコンセプトとは?
馬瀬川初体験のエギング名手
馬瀬川上流の透き通った流れに立ち込む島啓悟さんと湯川マサタカさん。山を下りれば40℃ちかい猛暑だが、この清流は別天地だ。爽やかな川風がそよそよと吹き抜け、耳心地のよい瀬音に浸りながらオトリを無心になって操作するふたり。
湯川さんはアユ釣り好きのエギング名手として知られる。和歌県串本で生まれ育った湯川さんは6年前に故郷の古座川で友釣りを始めた。懇意にしている「田上オトリ店」との出会いがきっかけという。近年は瀬釣りに魅せられて九頭竜川や神通川にも足を延ばし、盛夏は仕事のエギング以外は友釣りしかやりたくないと話す。
島さんは愛竿のプロセレクトVSの角度を変え、イトの張り加減を調整してオトリの泳ぎ変化をうながして野アユを誘う。反応のある筋を見極めて前アタリがあれば粘り、淡々と掛ける。一方、湯川さんは苦戦気味の様相である。なかなかオトリの替わらない湯川さんの側に島さんがやってきた。
湯川「馬瀬川はほんまにきれいな川ですね。こんな透明度の高い川でアユを釣るのは初めて。ただ難しい。なかなか追ってくれません」
島「オトリの泳ぎを上手く引き出さんと掛かってくれん状況です。テンションを強くしすぎないように注意して、明るく見える川底をねらってください。馬瀬は黒い石はアカが腐っとる。明るい茶色や白っぽく見える石にアユが付いています」
そう言うと島さんは湯川さんを上流の釣り場に案内した。大石が織り成す瀬で湯川さんは小さなオモリを付けてオトリを沈めた。石裏の流れが揉み合わさってできるヨレの中でふわふわ泳がせるような操作をすると目印が弾け飛んだ。
「掛かりましたよ!」
とプロセレクトVS85を気持ちよさそうに曲げる。やがて光の滴をまき散らした2尾のアユが舞い上がりズバッとタモに収まった。体高のあるいい魚だ。
「ほんま気持ちいい!アユ釣りほど爽やかでゲーム性に満ちた夏の釣りはありませんよ」
と湯川さんは満面の笑みを浮かべ、新しいオトリに替えるとさらにアクティブに動きながら変化に富んだ流れの筋を探っていった。
新コンセプトウェア
ふたりが身にまとうのは「鮎GAME」と名付けた新コンセプトのウェアである。トーナメント色を消したシンプルなデザインが特徴で、長年アユ釣りに親しむトーナメンターやベテランからも「このウェアなら着たい」と支持される機能性を追及している。涼しくて爽快な真夏の釣りを後押しする通気性のよい「パンチング」採用のタイツやベタつかない「撥水」素材のシャツと従来にない新たな機構を施したラインナップである。島さんは言う。
「いつもはリミテッドプロに代表されるフィット性の高いタイツやベストを身に着けていますが、この鮎GAMEウェアのサマータイツは脱ぎ履きがしやすくて涼しい。腿より上に施されたパンチングは通気性と水抜けがよく、蒸れずにとても快適です。陸に上がって釣ることの多い釣り場や競技会で長い距離を歩くようなポイントに向かう道中も暑くなりにくい。ずり落ち防止の太いサスペンダーが付いているのも秀逸です。通常のアユベストに比べ、ゆったりしたベストはポケットが大きくて便利。流れの中でバタバタするようなこともないですし違和感はありません。これまでにない撥水性の高いシャツも思いのほか着心地がいい。ざぶんと浸かっても全然水が入らないし、すぐに乾く。肌に貼り付くようなベタツキ感も全くありません」
川に馴染む清々しい青のラインが象徴的な「ストーンブルー」がコンセプトカラー。引き舟やオトリ缶も含めたトータルデザインがスタイリッシュである。湯川さんは友釣りを始めるにあたって「ピタッとした派手なデザインの専用ウェアを着ることに抵抗があった」と話す。この率直な意見はおそらく30代以下の多くの友釣りファンが最初に抱く感想かもしれない。特にルアーフィッシングをメインに釣りと親しんできた方はそう思うのだろう。
鮎GAMEのコンセプトの中には、とりわけウェア類に抱く「敷居の高さ」を取っ払うことが掲げられている。ずばりルアーフィッシングに傾倒するアングラーに「違和感」を覚えさせないトータルデザインを念頭に置いて、アユ釣りだけでなくソルト、フレッシュと多彩なルアーフィッシングにも取り回せる汎用性の高いウェアに仕立てた。
ライトスタイルより安全
湯川さんが友釣りに魅せられた理由は、生きたアユを扱うことがひとつある。
「弱ってしまえば続かない。このハラハラ感はルアーでは味わえません。僕の中で生きたオトリを操作するのは楽しい要素のひとつです。ルアーフィッシングに似ているところもあって、たとえばテンションの管理の仕方。潮の中でエギやルアーを馴染ます感覚と、オトリを川底に馴染ませる感覚は案外似ているんです。あとはポイントをねらい定めて探っていく感じ。流れに浸かってポンポン撃っていくのが面白い」
友釣りはアユのナワバリ本能に訴えて成立する。この原理は変わらないが、道具のニーズは進化していく。こと友釣り用ウェアは流れの中で長いサオと繊細な仕掛けを扱うため、細部の機能性が求められてきた。その結果、他の釣りにはない独自の進化を遂げたともいえる。しかしそれがアユ釣りを始めたいという人の障壁であれば、もったいない話である。一度でもアユの釣趣を味わえば湯川さんのようにどっぷりのめり込む可能性も高いのだから。
「鮎GAMEウェアはいい意味でラフな印象もあるし、アユ釣りだけでなく、いろんな釣りに汎用できそうなのも魅力です。軽装で楽しむライトスタイルよりも安全で機能的で僕みたいに子供の頃からアユ釣りを楽しんできた人も新たな快適さに驚くはずですよ」
最初は見慣れない格好の島さんに違和感を覚えた記者も、軽快にアユを掛ける姿をカメラで撮り続けるうち、よく川に馴染んでいると思い始めた。今夏は全国各地の川で、爽快なる鮎GAMEスタイルが拡大していくことだろう。
関連記事
RELATED COLUMN