2025/03/13
コラム

軽量胴調子に秘められたポテンシャル スペシャル エアロドライバー×小澤剛・猿渡俊昭・坂本禎

オトリの繊細な動きを伝えるしなやかなアクションと相反する曲げるほどにパワーを発揮するHランクのブランクス、替え穂先にソリッドが標準付属されたシマノの鮎竿では初となる軽量胴調子ロッド、スペシャル エアロドライバーが2025年に登場。2年に渡るテストを繰り返したテスター3人、小澤剛さんが90、猿渡俊昭さんが85で長良川、坂本禎さんがH90で九頭竜川をそれぞれ実釣し、込められた思いや圧倒的なポテンシャルを語り尽くす。
小澤剛が釣る、スペシャル エアロドライバー90と渇水傾向の長良川

小澤さんがエントリーしたのは岐阜県長良川・郡上漁協管内 大和地区、ウィンドパークの上流エリア、石組み堰堤の下だった。

今回の仕掛け。スペシャル エアロドライバー90(H2.4)をメインに構えた。

いい背がかりで早速の1匹。渇水で減少した引き釣りのポイントから見事に抜いた。

ここと読んだベストな筋に送り込んで、良型を連続キャッチ。

小型サイズでもオトリにすることで、釣れる循環がキープできる。

ブランクスの弾性を利用し、流れの中でベストポジションをキープ。全身で引き、指先で微調整する。オトリは穂先の方向に動く。

待ちでの1匹。イメージしてオトリを引いて釣る楽しさ。その太さに笑みがこぼれる。
小澤さんがテストを繰り返し、待ち望んでいた軽量胴調子ロッドは、早くも自らの腕となっている。
「どんな人が使っても、だいぶオトリが引きやすいんじゃないかなと思います」
渇水によるアカ腐れの傾向だが、テンションを駆使する十八番の引き釣りであえて挑む。
寝かせ、立て、スロー、早引き、動、待ちと、シチュエーションに合わせて次々とキャッチを繰り返す。スペシャルエアロドライバーのしなやかなブランクスの特徴を活かした引き釣りが、ネガティブなイメージの渇水時でもしっかりと釣果を出していく。
「しなやかでよく曲がる竿が1本欲しいなぁと思ってたものですから、『ついに出た』みたいな感じでね、釣っていて楽しいですね」
小澤剛の本質 引き釣りとスペシャル エアロドライバー

オトリに動いてもらうのではなくオトリを動かす。引き釣りの『掛けにいく』醍醐味を味わえるロッドだ。

長良川中央、板取川との合流点の下にある、いかの瀬に移動。フラットな川底の瀬肩でサイズを狙う。

オトリのサイズやテンションで引き方を変え、目印をたっぷり上げる。しなやかなブランクスで引き釣りのテクニックを駆使し、良型を手中に収めた。
伸び悩んでいた時期に、職漁師に魅せられた古くても圧倒的な釣果に影響され引き釣りを始めたという小澤さん。
オトリを自由にさせるのが至上という泳がせ釣りの対極にあるスタイルが衝撃的な釣果をもたらした。操作する引き釣りを覚えることで自らの殻を破った小澤さん。そんな釣りを体感して欲しいという思いがスペシャル エアロドライバーには込められている。
「思い切り竿を曲げてあげる。竿全体のパワーがあるので。曲がって力を発揮する竿なので、しっかり曲げてやる」
流れ不問 不変の操作性 スペシャル エアロドライバー85×長良川×猿渡俊昭

猿渡さんは、長良川本流、長良川中央漁協管内 鮎之瀬にエントリー。瀬肩、早瀬、荒瀬、瀬尻、トロ場と変化に富んだエリアだ。

スペシャル エアロドライバー85(H2.5)をメインに組んだ猿渡さんの仕掛け。


早速キャッチした天然の小型の鮎をオトリに使いサイズアップを狙う。するとすぐに答えが返ってきた。


「疲れが吹き飛ぶね、アタリを感じると」。狙い通りの釣果の連続に楽しさを隠せない。

強い流れでもしっかりオトリが馴染むのはブランクスのなせるワザ。オモリとの相性も抜群だ(0.8号をセット)。



テトラ沿いを大胆かつ狙い通り攻めて連続キャッチ。操作して獲る楽しさを体現する。
広く緩い瀬からスタート。
バリエーション豊富な瀬をテンションを掛けた釣りで広範囲に素早く探る。
スペシャル エアロドライバー85ならではのレングス設定としなやかなブランクスで、繊細に操作し、次々と良型を手にしていく猿渡さん。
「今日はコケの色が濃い方が反応がいい感じですね」
通い慣れた長良川だからこそ、ロッド1本で見える景色が変わっていく。
ダイレクトな前アタリと本アタリ。
「鮎が掛かった瞬間の手応えが楽しめるので、最高です」
スペック表記では測れない力


付属の替穂ソリッド(標準はチューブラー穂先)に替え、竿を立てた『上方テンション』で緩い流れを泳がせ釣りで攻める。


ソリッドならではの繊細さで尻尾を振らせてアプローチしてキャッチ。繊細すぎる操作でサイズを問わずきっちりと釣っていく。
Hの表記はあくまでブランクスの硬さの目安。曲げる反発によるパワーは別物だ。猿渡さんが操るスペシャル エアロドライバー85も表記こそH2.5だが、パワーはそこには納まらない。
「自分の感覚だとH2.75ぐらいの感覚でブチ抜けるんで」
大会でもプロトロッドを使い、好成績を残した。竿への信頼度は群を抜く。
かんじの瀬(長良川・郡上漁協管内 大和地区)に移動すると、ソリッドの替え穂先にチェンジし、泳がせ釣りを展開するが、釣果が止むことはなかった。
「ぜひソリッド穂先を使って初期の群れ鮎とか、ちょっと追いの悪い鮎、小さい鮎に使ってみてください」
坂本禎が惚れ込んだタメ性能と反発力 スペシャルエアロドライバー90×九頭竜川

福井県九頭竜川、勝山漁協管内の西妙金島下流の瀬にエントリー。狙うはもちろん良型だ。

スペシャル エアロドライバー90(H2.6)をベースにした坂本さんの仕掛け。

軽量胴調子のしなやかなブランクスだからこそ、オトリがしっかり川底を這い、強い流れに出ても浮かず、自然に動く。


タメ性能を存分に活かし「幅広のいい魚」を連発。スローなオトリの動きに反応がいいようだが、微調整も問題ない。
通い慣れた河川ではないが、渇水と濁り、薄い石アカが気になる九頭竜川の勝山地区。
「胴調子でね、いい感じに曲がるでしょう? これで曲がってて、我慢していれば(鮎が)飛んでくる」
スペシャル エアロドライバーのブランクス特性でもある『タメ性能』を、実際にキャッチすることで解説。心配が杞憂に終わると、連発劇を展開した。
あらゆる瀬を楽しめる軽量胴調子という選択肢


橋の下流にある三本瀬の一番強い流れに入ると、ファーストキャッチからナイスサイズ。替穂ソリッドによる微細なテンションがもたらした1本だった。

チューブラーとはまた違った動きになるという替穂ソリッド。急流でオモリを付けなくてもキレのある泳ぎになる。


止まらない連発釣果に笑いが止まらない。強い流れの中でもナチュラルに操作して獲る楽しみを存分に味わえる。



最後は一転してチャラ瀬。替穂ソリッドを立て竿で誘い、またもや連発を楽しんだ。
しなやかさの秘密は、ブランクスそのものの性能に加え、継ぎ数が7本と少ないこと。これにより竿全体がきれいに曲がる。
そんなスペシャル エアロドライバー90の次なる舞台は九頭竜川の中部漁協管内 北島鮎大橋下流の三本瀬。ソリッドの穂先に入れ替えての実釣だったが、その勢いはとどまらず。
チューブラーティップの攻めの釣りもありだが、ソリッドティップであえて繊細に釣るのも、瀬の川で数を獲るためのテクニックのひとつだという。
「きつい瀬、そして浅いチャラ瀬。瀬の中ではグイグイ引く引き釣りから、立て竿にしたり、穂先をソリッドとチューブラーを使い分けたり、いろんなシチュエーションで使えるってことを見てもらえたんじゃないかと思います。本当にいい竿に仕上がりました。自信を持ってオススメします」
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