阪本智子の船釣り探見!

東京湾のシロギス釣り
シロギス:北海道南部以南の全国沿岸の内湾や沿岸部の砂地底に生息。岩礁の周辺や、海底に変化のある場所に多い。投げ釣り、沖釣りの人気ターゲット。釣れるものは20cm前後が大半だが、尺クラスも掛かる。繁殖期は梅雨時で、この前後には産卵のために浅場に近づいてくる(乗っ込み)。冬場はやや深い場所に移動する。

東京湾のシロギス釣り

目次
  • 1:25cm超の良型も連日釣れている東京湾
  • 2:スピニングタックルにドウヅキ仕掛けでチャレンジ
  • 3:活性が低いときはスローな誘いが有効

25cm超の良型も連日釣れている東京湾

今回、阪本智子さんが訪れたのは神奈川県横浜市本牧にある長崎屋だ。スズキ、マゴチ、マダコ、メバル、シロギス、アジなど東京湾を代表するターゲットを季節に合わせて追いかけている船宿である。今回ねらう魚は旬を迎えたシロギス。この魚は活性が高い時であれば、仕掛けを下ろせば簡単に口を使ってくれるため、ビギナーにも優しい魚。沖釣り入門にぴったりだが、突き詰めれば奥が深い釣りものでもある。トップ釣果100尾の時に30尾ほどの人がいることも珍しくなく、腕の差が付きやすい釣りものだ。
受付に顔を出すと長崎恵夫船長が明るく出迎えてくれた。「昨日はトップ50尾で、27cmも出て好調ですよ」。壁に飾られた29.5cmのシロギスの魚拓を見て、阪本さんは「ここまで大きくなると、シロギスじゃなくてアジみたいですね」と驚いたようす。この魚は今年の6月に釣られたというから、阪本さんのやる気もがぜん高まる。
「昨日は最大27cm も出ました。今年は型も数もねらえますよ」とは長崎恵夫船長
今年(2019年)の6月7日釣られた29.5cmのシロギス。体高があってアジのようだ
パールの美しい魚体は“渚の女王”という言葉がぴったり

スピニングタックルにドウヅキ仕掛けでチャレンジ

受付から5分ほど車を走らせて、船が停泊している本牧漁港へ移動。船内で準備をしながら出船時間の8時15分まで待った。シロギス釣りで使用するタックルだが、ロッドは長さ1.8m前後のシロギス専用ロッド。8:2の先調子からやや胴に入る7:3調子が使われる。シロギスの喰いが立って順調に釣れる時は、積極的に掛けて行く釣りを展開したいので操作性を重視して8:2調子で、喰いが渋い時は穂先の反発力を抑え、追従性がよい7:3調子がよいだろう。リールは2000番クラスの小型スピニングリールを合わせる。ラインはPEライン0.8号前後を巻いておこう。
阪本さんが使用したタックルはサオがシマノ『BAY GAME X KISU M180』にリールがシマノ『ストラディックC2000S』
仕掛けは大きくテンビンとドウヅキに分けられる。テンビン仕掛けは魚の活性が高い時に有効で、ドウヅキ仕掛けはオモリを底に着けた状態でもハリスが漂ってアピールするため低活性の魚にも効果的だ。また、扱いが楽であり、トラブルも少ないので、ビギナーでも釣りやすい。両者にこういった特徴はあるが、初めて行く船宿であれば事前に問い合わせて、どちらがいいか聞いてみよう。また、船宿にはオリジナル仕掛けが用意されていることが多いので、それを使うと確実だ。今回は長崎屋のオリジナルドウヅキ仕掛けを使用した。2本バリと1本バリを用意。合わせるオモリは15号でエサはアオイソメ。
長崎屋のオリジナル仕掛け。幹イトがフロロカーボン1.5 号でハリスが1号のドウヅキ仕掛け。1本バリと2本バリがあり、赤クラゲが多い時は1本バリを使ったほうが、赤クラゲが引っ掛かりにくい。オモリは15号
エサはアオイソメを使用。朝一の大型ねらいではタラシを長めにして誘った。喰いが渋い時は頭を取って胴部分を使ってタラシを短くするとよい

活性が低いときはスローな誘いが有効

乗船メンバーが全員揃ったところで、8時すぎに河岸払い。15分ほど船を走らせて、向かったのは本牧沖の中ノ瀬。まずは中ノ瀬のなかでも大型が出る実績場所を船長が流してくれた。そのチャンスを逃さなかった阪本さん。開始早々、1尾目に掛かったのが23.3cmの良型だ。「たぶんこの魚が今日イチだと思いますよ!」と阪本さんも興奮気味。
20cmオーバーになると大きさからは想像できないような強い引きをみせる
吸い込むように捕食するシロギスはハリが飲み込まれることも多く、一度掛かればバレは少ない。一気に抜き上げてしまおう
この日阪本さんが釣りあげた最大魚は23.3cm。身が厚くて刺身にしたら美味しそうだ
良型をねらってサオをだすが、この1尾で終わってしまった。アタリはあるが、うまくハリ掛かりせず、乗らないというから、魚の活性は低い。直下に仕掛けを投入して、張らず緩めずのゼロテンションといったスローな誘いでシロギスにアプローチしていく。その後、こまめに移動を繰り返し、中小型の拾い釣りになっていった。直下よりもやや沖目に振り込んで、喰い気のある個体を捜していく釣り方のほうがアタリは多かった。
直下をねらう時は張らず緩めずのゼロテンションや時おり、大きくシャクってやるとよい。ハリスが30cmほどと長いので、大きめにアクションさせないとハリス部は動かず、魚にアピールしにくい
アンダーキャストで広範囲を探っていく
着水後はフェザリングで余計なイトを出さないようにしてオモリを着底させる
ときおり、赤クラゲが多いポイントに当たるとハリやミチイトには赤クラゲが付着し、本命のアタリがぴたっとなくなってしまう。「赤クラゲが多い時は1本バリ仕掛けにして、赤クラゲを拾わないようにしたほうがいいですよ」とは船長。船長のアドバイスにしたがって1本バリにしたところ、アタリがすぐに出た。
赤クラゲがハリやイトに付いてしまった時は直接触れずにタオルで取り除こう
その後も中ノ瀬周辺を流しながら、中型主体にときおり20cmクラスの良型を織り交ぜながら釣果を伸ばしていった。14時の沖上がりを迎えて40尾でフィニッシュ。
「朝一はアタリが少なかったですが、幸先よく23cmオーバーが釣れてよかったです。潮止まりの時間帯はアタリがぴたっとなくなってしまいましたが、全体を通してみたらアタリがコンスタントにあって楽しめました」
「最初は止めて待ったり、ゼロテンションといったゆっくりな誘いが有効でしたが、潮止まり以降はキャストしてしゃくったり、サビいてねらうパターンが効果的でしたね。シロギスは料理して食べるのも好き。刺身、天ぷら、昆布締め、しゃぶしゃぶなど、どれも絶品です。釣った後の楽しみも大きいですね」とは阪本さん。
「今シーズンは小ぶりな魚も多いので、先の見通しが明るいです。秋口までロングランで楽しめそうですよ。シロギス釣りの道具立てはシンプルですし、数釣りが楽しめるのでビギナーにもおすすめです」とは船長。旬を迎えたシロギス釣りに行ってみてはいかがだろうか?
潮止まりの前後はアタリが少し遠くなったが、全体を通じて17~18cmの数釣りが楽しめた