メバル:「アカメバル」「クロメバル」「シロメバル」3種の総称。北海道南部から九州にかけての沿岸部に生息し、釣れるものは20cm前後が多く、最大で35cmを超えるものもいる。夜行性で、名前のとおり目が大きく、視力がよい
カサゴ:北海道南部以南の日本沿岸に生息。最大で30cm前後。周年釣ることができるが、冬場が旬とされる。日中はおもに物陰に隠れている。夜間になると活発に泳ぎ回って、大きな口で甲殻類や小魚などを丸呑みにする
シンプルな道具立てで楽しめる
例年2月に解禁を迎える東京湾のエビメバル。春告魚といわれるとおり、メバルは春を代表するターゲットである。
「今回で2回目。喰い込ませるまでが難しいですが、その駆け引きが面白いですよね!」と声を弾ませる阪本智子さん。今回は羽田に船宿をかまえる伝寿丸さんにやってきた。出船は7時半であり、電車釣行の人も余裕を持って来られる。
タックルの準備をして7時半に出船
メバル釣りのシーズンは解禁となる2月から6月ぐらいまで。メバルとカサゴの両天秤という船宿が多く、カサゴが優勢の時も見られる。とはいえ、カサゴはメバルに勝るとも劣らぬ食味であり、いいお土産になるのでうれしいターゲットだ。
サオは7:3~6:4の胴調子気味のサオがよい。スローな誘いをかけたり、張らず緩めずで待ったりするため、喰い込みを重視し、船の揺れが吸収できるような調子が好適だ。リールは小型の両軸受けタイプにPEライン0.8~1号を巻く。仕掛けはシンプルな3本バリ。ハリはメバル専用やヤマメバリ、チンタバリなど軽量細軸のものが向いている。迷った時は船宿オリジナルを使うのが確実だ。オモリは15~20号で、今回お世話にになった伝寿丸では15号を使用した。
メバル、カサゴねらいはシンプルなドウヅキ仕掛け。今回は船宿オリジナルを使用した。オモリは15号。根周りをねらうので、仕掛けやオモリは予備を多めに用意しておきたい
タックルはリールがシマノ『バルケッタ200HG』、ロッドがシマノ『ライトゲームBB Type73 M200』
エサはモエビを使用。尾羽根を切ったら、ハリを浅く入れて背中に抜くようにセットする。深く刺し過ぎるとモエビの動きが悪くなるので要注意。道具立ては非常にシンプルなので、ビギナーでも挑戦しやすいターゲットだ。
モエビの付け方
尾バネを切る
切り口からハリ先を入れる
ハリ先を少し入れたら背側から抜く
完成。ハリをあまり深く入れすぎると動きが悪くなるので注意
向こうアワセのスローな釣り
7時半、船は船着き場を離れ、多摩川を下っていく。45分ほどの航行でポイントになる本牧沖に到着。一流し目は岸壁近くの水深8mほどの浅場をまずはねらった。この日は春の嵐が吹き荒れた3月1日から2日後の3日。雨水がかなり入ったようで、ニゴリがきつかった。
阪本さん以外に2名の釣り人が乗船していたが、船中アタリはなし。二流し目は少し沖に向かい、水深30m前後をねらったが、ここでも反応はなく、エサも取られない状況が続いた。
少し船を走らせて、L字型になった岸壁の沖面に向かうと、潮が当たりやすいためか、水色はさきほどのポイントよりいい。じっくり流していくと左舷から「来たよ~」という元気のいい声が聞こえてきた。ファーストヒットは15cmほどの可愛いサイズのカサゴ。続いて、もう1人のお客さんにもカサゴがヒットした。
榎本船長が釣り方をレクチャー
着底後は張らず緩めずのゼロテンションでアタリを待つ
「水温が低いから誘いはゆっくり、というよりは動かさなくてもいいぐらいかな。仕掛けが着底したら張らず緩めずのゼロテンションで待つ。たまにイトをふかせて誘うのも有効です。ただ、底に仕掛けを着けっぱなしだと、根掛かりしてしまうのでゆっくり上げて、ゆっくり落とす。根掛かり回避だけではなく、誘いにもなります。魚の活性を考えながら釣っていくといいですよ」
「当たってもすぐに合わせずに、喰い込むのを待ちましょう。アワセは聞き上げるような感じでね」。榎本健司船長からアドバイスを受けると、阪本さんにもヒット。サオがきれいな弧を描いている。
聞き上げるようなゆっくりとしたアワセを入れる、魚の躍動が手もとに伝わってきた
水面を割ったのは良型カサゴ。一気に抜き上げる
ファーストヒットは尺に迫ろうかという大型カサゴ
「大きい!」という歓声ののち、抜き上げられたのは尺に届こうかというカサゴであった。 その後、本牧沖の根周りを転戦しながら、ポツポツとカサゴを追加したが、メバルは船中まだゼロ。
15cmほどの可愛いサイズはよく掛かった
メバルのアタリはお昼前に集中
お昼前に移動した本牧海づり施設近くのポイントで左舷のお客さんにメバルがヒット。すると阪本さんにもアタリが訪れ、これもまた良型の気配。今度は待望のメバルであった。干潮前の潮変わりの影響か、日差しが出て魚の活性が上がったのか、お昼前の1時間ほどにアタリは集中した。左舷のお客さんにも良型メバルがヒット。
20cm半ばの良型を手にした阪本さん。サイズ以上の引きを見せるメバルとのやり取りはスリリング
「アタリも増えましたし、エサも取られるようになりました」と阪本さん。時合を逃さず、メバルとカサゴの数を伸ばしていった。
最後に大黒海づり施設周りをねらって沖上がりの15時を迎え、納竿。春の嵐の影響も感じられ、喰いの渋い状況だったが、終わってみれば良型メバル&カサゴを釣りあげることができ、阪本さんも大満足のようすだった。
数は出なかったが、良型メバルとカサゴが揃った
メバル、カサゴはクセのない白身が絶品であり、煮付けや刺身でいただくと大変美味。カサゴは丸ごと空揚げにするのもおすすめである。
皆さんもぜひ挑戦していただきたい。