阪本智子の船釣り探見!

阪本智子の船釣り探見!
北海道南部以南の日本沿岸に広く生息。大きさは最大で30cm前後。周年釣ることができ、水深数十cmの浅場から、200m前後までの岩礁域に広く生息している。体色は暗褐色や赤褐色などの入り混じったまだら模様で、生息環境によって個体差がある。海底の岩の隙間やテトラの間などに潜んでいる。日中はおもに物陰に隠れ、夜間になると活発に泳ぎ回って、大きな口で甲殻類や小魚などを丸呑みにする。

第7回 江奈湾・松輪沖のカサゴ釣り

目次
  • 1:シンプルなドウヅキ仕掛けで楽々エントリー
  • 2:まめな底ダチで根をタイトにねらう
  • 3:アワセはしっかり喰いこませてから

シンプルなドウヅキ仕掛けで楽々エントリー

今回のターゲットはカサゴ。ブッコミ釣りやルアーフィッシングで陸からもねらえるが、海の船釣りの魅力はなんといっても良型の数釣りが楽しめること。25~30cmのカサゴでクーラーが満杯というのも夢ではない。
ライトゲームタックルにシンプルなドウヅキ仕掛けという組み合わせでビギナーも扱いやすいが、挑戦してみると難しい面も多く、ベテランも熱中させてしまう奥深さを持つ。そして、食味のよさも魅力だ。新鮮な良型は刺身で食べるのがおすすめ。中型はさばくと食べるところが少ないので、煮付けやちり鍋、ブイヤベース。小型なら丸ごと空揚げにして食べると美味しい。
カサゴは最大30cmほどだが、体の大きさからは想像もつかないほどの強い引きで楽しませてくれる
仕掛けは2~3本バリのドウヅキタイプが主流である。エサはサバやサンマの短冊やイワシやキビナゴといった小魚を使う。
タックルは2m前後のオモリ負荷20~40号のライトゲームロッド。エサの喰い込みをよくするため、軟調子がおすすめ。これに小型両軸受けリールを組み合わせる。ラインはPEの1~2号。
今回使用したタックルはロッドがシマノ『ライトゲームSS タイプ73MH200』、リールがシマノ『バルケッタCI4+300HG』
仕掛けは2~3本バリのドウヅキタイプ。ハリはセイゴバリの12~15号、幹イトは3~4号1m前後、ハリスは3~4号で長さは20cm前後。オモリは25号を使用。受付で仕掛けとオモリを販売している船宿もある
カサゴ釣りでは毒魚やトゲのある魚が釣れることが多いのでフィッシュグリップがあると便利。写真はシマノ『ライトフィッシュグリップS』

まめな底ダチで根をタイトにねらう

6時10分、阪本さんのほか5名を乗せた船はポイントへ向けて出船。この日は南の風が強く、ウネリも入っていたため船は大きく揺れながら進んだ。ポイント近くになると吉田純一船長から釣り方のアナウンスが入る。
棒面丸船長の吉田純一さん。ポイントに着くまでにエサの付け方から誘いまで懇切丁寧に解説してくれるので、ビギナーでも安心だ
「まず使うエサはサバの短冊とイワシ。サバはチョン掛けでOK。イワシは大きな口が開かないように下アゴから上アゴに向かってハリを刺してください。両方のエサを試して、どちらが当たりエサか探っていくとよいでしょう。それから、イワシエサは大型が来ることが多いですよ。根回りをねらうので、根掛かりは避けられません。根掛かりした時は無理にサオをあおって穂先を折らないようにね」
船上で配られたエサがサバの短冊とイワシ。サバの短冊は端にチョン掛けでOK。イワシは下アゴから上アゴに向かってハリを通す。サバもイワシも中心にハリを通さないとエサが水中で回転し、ハリスのヨレに繋がるので注意する
「ねらい方はオモリが着底したらミチイトを張らず緩めずで静かにアタリを待ってください。“コツコツ”といったエサに噛みついているだけの小さなアタリの時は喰い込むまで待つことが大切です。早アワセは厳禁。サオを叩くような激しいアタリの時はすぐに合わせてもOKです。アタリがない時は誘いを入れるとよいでしょう。オモリを30~50cmゆっくりと上げ下げして誘ってみてください」
それでもアタリがない場合は5~6m巻き上げて、落とし込み直し。仕掛けが新しい根に入ってフレッシュな魚がねらえるとのこと。アタリが出始めたら根の上でじっくり待つ。
「最後に最も重要なのがこまめな底ダチ。これを常に行なうことで、根際をねらうことができます。根が荒い場所ほど良型のカサゴが潜んでいます。根掛かりを恐れずに底ダチを取り、カサゴのアタリに集中しましょう」
根の起伏に合わせてこまめな底ダチでねらっていく
根の起伏を読みながら釣れるので、シマノ『探見丸』は強力な武器だ

アワセはしっかり喰いこませてから

約15分の航行でポイントに到着し一流し目がスタート。「水深20m、根の中央からカケアガリに向かって流します。ウネリがあるから底ダチをしっかり取ってやってみて!」と船長。
まず2本バリともサバエサをセットし、仕掛けを投入。着底後、底ダチを取りながらアタリを待つ。カサゴは底の根周りでジッとして、エサが来るのを待ち、近くにエサが来たら俊敏に捕食する。そのため、仕掛けはゆっくりと静かに動かす。着底後すぐにサオ先が“コツコツ”と振れた。船長のアドバイスどおり、喰い込みを待ってアワセを入れたが、ハリ掛かりせず。この後も何回か似たようなアタリがあったが、フッキングまで持ち込めなかった。
早アワセは厳禁で、喰い込みを待ってから合わせる
「ウネリがきつくて底ダチが取りにくいです」
と阪本さん。ひと流し目では船中1尾も出なかった。いったん仕掛けを回収し次のポイントへ。
「根のてっぺん、水深8m。ヘリ伝いに流します」と船長のアナウンスで二流し目がスタート。仕掛け投入後すぐにアタリはあるが、上手く乗らない。そこでいったん仕掛けを回収。サバエサを短く切ってセット。喰い込みを重視した。船内ではポツポツとカサゴが釣れ始め、阪本さんの期待も高まる。
すると“コツコツ”という小さなアタリの後、喰い込みを待って合わせると今度はしっかりとフッキング。根魚特有の強い引きを見せ、水面を割ったのは赤い魚体。本命のカサゴだ。
「アワセのタイミングが難しい!そのぶん、釣った時の喜びは大きいですね」
と阪本さん。やっと来た本命にほっと胸をなでおろしていた。
中小型は抜き上げてしまおう
可愛いサイズのカサゴはリリース
この後、水深17~30mの根周りをねらいながら3尾のカサゴを追加した。途中から降り出した雨はお昼には上がり、午後からは青空が広がった。
そして、13時半に納竿を迎えた。この日は船中最大30cmほどで、2~10尾という釣果であった。船長によれば、連日のシケの影響でウネリが入ってしまい、海況がよくなかったとのこと。いい日並みに当たれば、25~30cmの良型の数釣りが楽しめるという。
仕掛けはシンプルでエサも扱いやすく、誘いも難しくない。そして何と言っても食味がよい。釣って持ち帰れば家族に喜ばれること間違いなし。カサゴは船釣り未経験の人も挑戦しやすいターゲットだ。
横須賀市在住の髙橋さんは尺クラスのメバルをゲット
この日竿頭だった今井さん。30cmクラスのカサゴも手にしていた