2021/09/21

コラム

巧者たちの所感『朱紋峰 鉾』

管理釣り場で、ボートで、桟橋で釣竿の進化がいつもの釣りを変えていく。

それぞれのフィールドで活躍する『朱紋峰 鉾』に搭載された数々のシマノテクノロジーが、実際のフィールドでどのように名手たちの釣りを変えたのか? シマノと共に妥協なき開発に携わった名手たちだからこそ語れる『朱紋峰 鉾』が輝く瞬間の一つひとつをお伝えする。名手たちがそれぞれのフィールドで使い込んだ結果見えてきたこの竿の魅力、そして使い方とは? 多彩な可能性を備えたこの竿を手に、いつものフィールドでの釣りをさらに楽しいものにしてください。

低負荷では先調子、高負荷では胴調子。竿全体のトルクが生きる本調子設計。

萩野 孝之 TAKAYUKI HAGINO

『プロジェクトウィン』代表『ゴールデンクラブ』所属。
競技会の上位進出、優勝は枚挙にいとまがない。シマノジャパンカップへら釣り選手権大会に関しては、2003年優勝、2004年優勝等上位入賞多数のミスタージャパンカップ。
M-1CUPへら鮒釣り選手権大会4回優勝。
名門ゴールデンクラブ入会後、年間優勝を続けている。

今回の『朱紋峰 鉾』は、カーボンロッドだからこそ可能になった独自の調子設定で、軽い負荷のときはソリッド部分だけが曲がる先調子、荷重が高まると胴調子になっています。一般的に数を釣ることの多い短尺は腕への負担も少ない胴調子寄りに長尺は振り込みや仕掛けの操作性を求めて先調子寄りに設定することが多いのですが、今回は全体的な調子として負荷に応じて曲がっていく低負荷時先調子そして高負荷時胴調子の複合調子ともいえる設定にしてあります。特に数を釣る目的という短尺は、硬式寄りで竿先の水切れもいい印象。楽しむ目的の長尺は、軟式寄りで大きく曲がって長ハリスの釣りも充分に楽しめる調子に仕上がっています。私は『朱紋峰 鉾』をパワーロッドと言いません。あえていうならば「トルクのある竿」です。硬さを落として竿全体が曲がることや硬さランク6という設定からもわかりますが、硬さに頼らないで力を得ているところにトルクを感じます。釣り方としてチョウチン釣りは、すべてハイレベルにこなせて、浅ダナの両ダンゴや良型乗っ込みの釣りにも使えます。さらに中尺までなら竿が補助してくれるのでやり取りが楽だと思います。いくら釣ってもクセが出ず、火入れや調整がいらないメンテナンスフリーでこの釣り味を楽しめるのは贅沢なことだと思います。

すくう手前で潜られないから取り込みでモタつかない。舟釣り例会に活躍期待。

西田 一知 KAZUNORI NISHIDA

野釣りの老舗研究会『関東へら鮒釣研究会』会長。
同研究会で1997、2009、2010、2011年に年間優勝を決めて史上5人目の横綱に昇進。
ためらいなく30尺を操る猛者で『関べら』の他『コンテンポラリー・リーダーズ』に所属。
『KWC』会長。

私の所属する会は舟釣りが主体で舟釣りは桟橋釣りよりも水面が近くなので、手前で潜られない強さが求められます。今回、『朱紋峰 鉾』で実釣したのですが、手前に潜られるようなことはなく力強さを感じました。そして強さだけでなく振り込み時にはしなやかさを感じました。しなやかさを実現している「半無垢穂先」は魚の動きへの竿の追従性を高めており、急な魚の動きにもしっかりと竿先そして魚の強い引きに対しては胴までが働き、細いハリスでもハリス切れを防ぎながら大型との釣りを楽しめると感じました。それと個人的には「力節」の性能が発揮されていると感じました。パワーは「スパイラルXコア」だけに注目しがちですが「力節」という「斜め繊維のカーボン繊維でネジリ剛性を高めている」効果を数を釣るほど実感します。すでに「力節」は『普天元 獅子吼』や「特作シリーズ」に採用されていますが、ついに「立体竹節仕上げ」とセットで朱紋峰クラスの竿に使われるようになったのは嬉しいことです。「先に抜けてスッキリ感」がありながら竿の重量感もあるため、風に負けない振り込みも可能です。

チョウチン釣りは当然だけれど引きの強い元気な大型を狙う浅ダナも面白そう。

小山 圭造 KEIZO KOYAMA

へらぶな釣りの歴史に深くかかわる、老舗・野釣り研究会『浅草へら鮒会』常任相談役。
野釣り例会『山水へら鮒会』、管理釣り場例会『KEIZO CLUB』も主宰する。

自分が思うシマノ自慢の本調子というのは「その竿を通じて、魚と語り合える調子」だと思っているんです。喰わせて手元まで大きく弧を描く竿は雄弁に語りますよ。全体にきれいな曲がりをする竿は魚が暴れないでシットリ顔を見せて上がってくるものですが、まるで魚と対話をしている気持ちなんですね。そういう竿が、楽しい竿って言うんじゃないかなと思います。そういう意味で『朱紋峰 鉾』はシマノの本調子ですね。チョウチン釣りに向いたしっかりした竿なんだけれどガチガチの硬い竿なんかじゃない。『朱紋峰 鉾』は力を込めて無理しなくても曲がるし、大型や野べらみたいに引きの強い魚に対して無理をさせないから、魚をきれいに取り込めるんです。自分はチョウチン釣りをイメージする竿だとわかっていながら、あえて引きが強い元気な大型を浅ダナで釣るなら積極的に使いたいと思っています。釣り場も釣り方も問わないというのは、それだけバランスが取れている竿ってこと。誰でも使いやすくて操作がしやすい、よくできた仕上がりになっていると感じましたよ。

落とし込みやすさ、縦誘いを含め「竿いっぱいのタナにおけるスペシャル竿」

中澤 岳 TAKESHI NAKAZAWA

伝統ある野釣り研究会『関東へら鮒釣研究会(通称・関べら)』所属。
86年シマノジャパンカップへら釣り選手権大会準優勝、07年と11年にシマノへら釣り競技会 野釣りで一本勝負!!優勝。
大学時代に学釣連大会の連覇記録達成。管理釣り場例会の『クラブスリーワン』会長

『朱紋峰 鉾』はチョウチン釣りに必要な落とし込みのしやすさ、縦誘いなどに優れた性能を発揮します。長年、釣り場を問わずにどこでもチョウチン釣りをやり込んできた人にとって『朱紋峰 鉾』はかなり濃厚な楽しみ方ができる竿と言えます。共エサはもちろんセットでも性能を発揮するので、チョウチンによる深宙から竿いっぱいの底釣りまたは厳寒期の喰い渋り対策でもある段差の底釣りにも活躍します。特に最近暖期の流行になりつつあるセット釣り『ホタチョウ』は一層の釣り込みやすさを感じることでしょう。この理由から『朱紋峰 鉾』を単なるチョウチンに特化した竿と言ってしまうのは早計なことで「竿いっぱいのタナにおけるスペシャル竿」と言うべきだと考えます。私が『朱紋峰 鉾』を使用するならば、春は10.5〜13.5尺で 野田幸手園の底釣り。夏秋は9〜12尺または15尺で準山上湖・三名湖のチョウチン、または管理釣り場のホタチョウ。冬は段差の底釣りとダンゴの底釣り、両グルテンの底釣りなどに向くと思っています。四季を通じて『朱紋峰 鉾』の活躍に期待しています。

水切れいい半無垢穂先と、大きく曲がる胴からなる、自分好みの「乗せ調子」

伊藤 さとし SATOSHI ITO

各メディアで活躍するマルチへらアングラー。
好奇心旺盛で、釣れる方法の情報収集に余念がない。巨べらの夢を追いかけるロマンチストとして知られる。
「日研板橋支部」「アイファークラブ」「武蔵の池愛好会」所属。

私は「ホッとする安心感」「剛かつ軟の二面性」「釣りが面白くなる」という3点に着目していて、これらの点に釣り方を問わず可能性を見出しています。特に3番目の「竿によって単純に釣りが楽しくなる」のは大事なことだと思っていて、スムーズに魚を引き寄せて取り込め、疲れ知らずに釣っていけるというのは、強調してオススメしたいポイントです。安心感というのは『普天元 獅子吼』でも感じることで、重さのバランスですね。外観は伝統柄のようで現代風の解釈がされた斬新なデザイン。釣り場を問わず大型化が著しく、クオリティの高い魚を対象にして、こちらが曲げる意思を示さずとも喰わせて間もなく竿が働いて曲がり、味わいを感じさせながら楽しめました。引ける引けないではなく、竿が働けば人は疲れないんですよ。つまり『朱紋峰 鉾』は『普天元 獅子吼』のDNAを受け継ぎつつ、それをパワフルに進化させ、大型化した釣り場事情に合わせてチョウチン釣りならば、しっかり大型を沖へ顔を出させる竿なのです。大型をチョウチンで釣るのは満点、それ以外の条件であっても高得点の仕上がりです。

ヤワエサや小エサが打てる振り込みと、魚群を散らさない性能で数釣りも可能。

吉田 康雄 YASUO YOSHIDA

14年JC全国大会優勝などトーナメントにて数々の輝かしい成績を収めながら、平場の野釣りも好きだという一面を持つ。のっこみ期には、チャンスがある限り大型べらを求めて釣り場を渡り歩く。
ヘラウキ「吉田作」作者。

個人的には「しなやかなパワー調子」という印象です。『朱紋峰 鉾』はアワせるとまず大きく曲がり、曲がった分だけ引き上げる力となって、良型が水面へ顔を出しました。毎回、魚の顔を出す場所が同じなのです。魚に合わせて竿の力が引き出されるから、大型になるほど『朱紋峰 鉾』の威力は発揮されるでしょうね。「半無垢穂先」はエサの重さを感じやすく、思ったポイントへエサを打つことができます。力のある竿でありながら、繊細な半無垢穂先を搭載していることで多様性が表れているのです。そもそもチョウチン釣りは、タナに魚を貯め込んでいく釣り方です。ところが、魚は釣られると暴れて魚群を散らします。このとき「魚を散らさない」性能は、相当効果的です。大きく曲がるので冬の繊細な細仕掛けも安心して使えます。ご存知のように低活性期の冬こそ魚群が大事で底釣りも含めてひとたび魚を散らしたら時間をムダにします。大型にも対応しており、スレても曲がりながら力を漲らせるから疲れにくい竿です。アタリを選んでゆっくり楽しむチョウチン釣りに合った落ちついたデザインも好印象です。

へら師それぞれ胸に抱く理想、キレイな釣り、王道の釣りを楽しんで欲しい竿。

岡田 清 KIYOSHI OKADA

シマノジャパンカップへら釣り選手権大会は01年、02年と連覇し、03年は準優勝、09年に3回目の優勝をした。
ジャパンカップと同様に予選会のある全国大会で通算7度の優勝を記録。
「日本最強のトーナメンター」またの名を「鉄人」「トーナメント・モンスター」とも呼ばれる。

初めて『朱紋峰 鉾』を見たときデザインも含めて、上品な竿だと思いました。へら竿としての質感がよく、気品が漂う仕上がりにときめきました。それは「逆段塗り」「立体竹節仕上げ」「力節」という調和の取れた外観だけの話ではありません。使ってみてまず感じたのは、竿の素材選びや設計が目的に対して適切で隙がないということです。雑なところが無くて品格さえ感じます。たとえて言うなら『普天元 獅子吼』のチョウチン釣り強化バージョンという印象です。しなやかさがあって「半無垢穂先」のよさも感じましたし、竿を振るとブレが無いのでシャープな印象。掛けてからのやり取りに関しても安定していて竿作りの技術進化を感じられます。強いけれど硬くはないので、アワせた後に抵抗なく胴に乗ってくる印象でした。特に魚のパワーがある季節に舟からでも桟橋でも趣味のへらぶな釣りを楽しみたい方にもいい竿だと思いますよ。自分の理想通りの振り込みから取り込みまでの「一連の釣り姿」がキレイな釣り。それができる竿として捉えています。是非、それぞれの価値観で、自分の思う理想をこの竿を通じて探してもらいたいと思います。

「竿に仕事をさせる」べく大きく絞る。しっかり曲げてこそ価値のわかる竿。

矢野 満 MITSURU YANO

トーナメント創成期から全国で活躍。輝かしい成績は枚挙にいとまがなく、JC全国大会は08年(於・富里乃堰)、11年(於・へら学の森泉園)、12年(於・友部湯崎湖)、18年(於・友部湯崎湖)の4回出場。老若男女問わずへら釣りの交友が広い。

強く扱える竿というと「重くて硬い」印象を与えますが、それを払拭したのが『朱紋峰 鉾』です。「スパイラルXコア」「力節」などシマノテクノロジーの効果によって、いい仕事をする竿に仕上がっています。竿に仕事をさせるというのは、釣り人が意識して「曲げる」ことで可能になります。曲げやすさ、それは仕事の早さに繋がるものです。『朱紋峰 鉾』は曲げやすく「タフテック∞(インフィニティ)」のソリッド穂先を採用した「半無垢穂先」の効果もあって浅ダナで喰わせた魚の走りも速やかに受け止めます。チョウチンで魚を喰わせたら初動から胴で受けるため、ちょっとタメていたら竿は大きく曲がりますが、そのまま無理に引かずとも魚は水面に顔を出します。大きく曲がったら大きく戻す復元を、効率的にしたものが『朱紋峰 鉾』だと思います。竿がいい仕事をするのだから釣り人は疲れません。「半無垢穂先」ですが、これは誘って喰わせる釣りにも効果的です。胴が軟らかくドヨーンとしている竿でキビキビした誘いを掛けるのは難しいですが、『朱紋峰 鉾』は軽い操作で誘えるので、釣りにおけるメリットが大きいと思いますよ。

シマノテクノロジーが可能にした曲がるパワーロッド。

濱嶋 勇 ISAMU HAMAJIMA

中学3年で有名全国大会へ出場したり、日研『ジュニア大会』3連覇などを経験。
『HERA-1』8回出場(準優勝2回)。他、優勝を含めて好成績多数。
JC全国大会は05年初出場で準優勝して、06年、08年、09年、14年、15年の6回出場。

魚を上げてくる力に驚愕しました。8尺チョウチンの人と並んで10.5尺チョウチンの釣りをしたら余裕を持って10.5尺『朱紋峰 鉾』の方が速く取り込めました。前年に発売された『普天元 獅子吼』のテクノロジーが下地になっているのは紛れもないこと。テクノロジーの近さから『朱紋峰 鉾』が『普天元 獅子吼』に似ている点があるのは当然で、ボクは「硬さだけでは解決できないことをシマノテクノロジーで解決したから曲がるパワーロッドが誕生した」と解釈しています。力があるので、むしろ大型の方が絞り込まれる分だけコントロールしやすい印象も受けました。逆段塗りは日射しで明るい色に主張します。シックですが飽きのこないデザインです。理想を語ると、ボクらはストレスなく釣りたいと思っています。魚が暴れる引きと、ナイスファイトのいい引きは違うんですよ。たとえば、疲れて腕がダルくなったら集中できないでしょう。楽ができるというのは、釣りに対する集中に繋がることで、結果的には楽しい竿である条件になっています。つまり文字どおり「楽」が「楽しい」に繋がるのです。

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朱紋峰 鉾(しゅもんほう ほこ)

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