2021/01/21
コラム
吉田康雄impression ハイコストパフォーマンスを誇る、鮮烈なるパワーロッド「紅月」!
新たなパワー系ロッドが現れた。
その名も、「紅月(あかつき)」。
揺らぐ炎を連想させる鮮烈なメタリックレッドが強烈なこの竿は、風切と同じ中価格帯に位置する硬式先調子を追求したパワフルオールラウンダー。
今回、「紅月」を吉田康雄によるインプレッションをお届けする。
鮮烈な外観。これを見ただけで「欲しくなる」。
「いやぁ、正直驚きました。『風切』、『朱紋峰 鉾』ときて、まさかこのタイミングで新しい竿がくるとは思っていなかったので。それもここまでインパクトのある製品だとは…。やられたって感じです(笑)。」
手元に届いた「紅月」を見た時、吉田は思わず驚きの声をあげてしまったという。
その理由は単純明快。その「外観」だ。
「『風切』も驚きましたが、これはまた強烈ですね。まさかこうくるか、と。シマノとしては珍しいメタリックレッド基調で、手元には『風切』に似たワンポイントデザインが施されていて…。見た瞬間に驚いたと同時に、単純に『これはカッコいい!』と感じましたね。全体の深みのある赤とあいまって、まるでメラメラと燃える炎のようなイメージが斬新です。」
「浅ダナスペシャル」的な立ち位置だった「風切」のパールホワイトに引き続き、そのパワーバージョンたる「紅月」に持ってきたメタリックレッド。「普天元 獅子吼」、そして「朱紋峰 鉾」のようにへら竿のトラディショナルなデザインを追求し続ける一方で、また違った角度からのチャレンジとなる。
「僕は『閃光』シリーズも大好きですし、あの斬新な『柳』のデザインも大好きなんです。なので、今回の『紅月』にも何の抵抗もないばかりか、見た瞬間、一目惚れです(笑)。確かに好き嫌いが別れるデザインかもしれませんが、ひとつのデザインとして非常に完成度が高いですし、僕は大好きですね。」
決して奇をてらったわけではない。
早く釣り場で振ってみたい!…と思わせる、純粋に「カッコいい」と思えるデザイン。それが「風切」であり、「紅月」なのだ。
「手元には『風切』にも似た炎を思わせるワンポイントがあり、明るいメタリックレッドになっています。しかしその先は深みのあるレッドに繋がっていて、これがまた『高級感』を感じさせる要因になっていると思いますね。全部がこの明るい赤だったら、さすがに僕も尻込みしていたかもしれません。そのあたりのさじ加減というのが『分かってるな〜』という感じなんですよね。これなら全ての年代の方達に抵抗なく使っていただけると思います。まずこの外観だけでも欲しくなりますよ。」
驚異のコストパフォーマンス
「紅月」の特長は、その鮮烈なデザインだけではない。
そのひとつが価格帯。この性能と仕上がりで、「風切」と同じくシマノのへら竿の中では中価格帯に入る。
「本来これは、この価格帯の仕上がりではないですよね。塗りのクオリティはもちろん、握りも上位機種と同等の『しっとり綾織握りⅡ』が採用されていますし、はっきり言って機能的にも完全に高い竿と同等クラスですよ。この価格帯なら揃えやすいですし、例えば浅ダナは『風切』、チョーチンやペレ宙には『紅月』…というふうに、対で揃えていっても楽しいですよね。趣味ですから、そういうのって凄く大切な要素だと思うんですよ。」
「スパイラルX」、「しっとり綾織握りⅡ」、「タフテックインフィニティ半無垢穂先」…と、上位機種に搭載されるシマノ最新技術が目白押しの紅月。
吉田はまた、呆れたように語る。
「ほんと、この価格帯で付けちゃっていいの!?…っていうくらい機能が満載ですし、出し惜しみは一切なしですね。またパワー系の竿ということで、春の乗っ込みにも使用できるよう、6尺からのラインナップも嬉しいですよね。手軽に野釣りを体感していただけますし、この赤も野にも映えると思いますよ。もちろん夏の湖のボートフィッシングにも最高でしょう。」
「パワーの紅」。新時代の硬式先調子
シャープかつしなやかな「風切」に対し、「パワー」を謳う「紅月」は、言葉で表現するならシマノでは「硬式先調子」という調子の竿となる。
しかし吉田は、この表現に少し違和感があるという。
「振った感じ、そして釣り場で実際に良型のへらぶなを掛けてみた素直な感触ですが、僕には『硬い』という印象はあまりなかったんですよね。それはポジティブな意味で、です。『硬式先調子』というと硬くてピンピンした竿を思い起こしてしまいますが、それとは真逆の印象だったんです。凄くよく曲がる竿だなぁと。
確かに、振った感じは『風切』よりは明らかに張り感があり、強めの竿だなぁという印象はありました。ただ、昔の硬式先調子の竿のように、棒のような感触は一切なかったんですよね。」
「紅月」の調子的なファーストインプレッションは、意外にも「よく曲がる竿」…だったという吉田。カタログ上は「硬式先調子」と謳われているが、実際は思った以上にしなやかに曲がる本調子的な印象が強く、すなわち、『誰にでも使いやすいオールラウンダー』であったと、吉田は言う。
「これって『朱紋峰 鉾』の時も感じましたが、技術の進歩なんだと思うんですよね。パワーを硬さに求めるんじゃなく、磨き上げてきた『スパイラルX』等の技術の進歩が、安易に素材を硬くしなくても竿にパワーを加えることができていると思うんです。その恩恵は、主に振り込みにも表れますよね。竿自体はしなやかなので、仕掛けの重さを感じながら、きっちりと飛ばすことが可能になっているんです。管理釣り場の浅ダナ等ではもちろんですが、チョウチンや底釣り時の落とし込みも非常にやりやすいですし、野釣りで真正面の向かい風でも、タスキや回し振りでなく普通の送り込みで仕掛けが飛んでいきました。これはただ硬い棒のような竿では絶対に無理ですから。」
吉田が硬式先調子の竿でありながら、技術革新によって竿としての「しなやかさ」もきっちり同居しているという「紅月」。そのポテンシャルは相当に高いようだ。
また吉田は、「紅月」に搭載された穂先についても驚きを隠さない。
「これ、『鉾』と同じく『半無垢穂先』なんですよね! 驚きました。まさに、技術の出し惜しみ無し。ここまでやっちゃっていいの、という感じです。デザインや価格も含めて、この竿は相当な『買い』ですよ。」
最新技術満載で、現代風の「パワー」を手にいれた「紅月」。その仕上がりに、一切の妥協はない。
ラインナップは6尺から18尺まで。 あらゆる状況をカバーする新時代パワーロッド!
釣りの最中、キロクラスの大型やダブルでも竿掛の先で「ボコッ」と浮き上がり、そのままタモへと一直線に収まるパワーに何度も驚いたという吉田。それも単に硬さや太さでねじ伏せるのではなく、技術革新による「曲がるパワーロッド」であるということで、腕への負担も少なく、釣り終わった時の疲労もまったくなかったという。
「先日も清遊湖で1日、底釣りで大型の釣りを堪能したんですが、終わった後にまだまだ元気だったんで、そのまま手賀川に第二ラウンドに行っちゃいました(笑)。でも冗談抜きで、腕の疲労感が全然ないんですよね。清遊湖ではけっこうダブルなんかもあったんですが、竿がクッションのようにしなやかに曲がってくれるので、体への衝撃が少ないんだと思います。その上、竿にちゃんと張りがあるので、風が吹いてきても振り込みが非常に楽だったのもよかったのかもしれません。それに、手賀川では真正面からの暴風でしたが、それでも送り込みで釣りができたのはとても驚きました。これはあらゆる状況をカバーできる、新時代のパワーロッドという感じですよね。」
新登場の「紅月」を大いに気に入った様子の吉田康雄。
乗っ込みの6尺から、管理釣り場、湖水釣りの18尺まで――――――。
2022年の吉田も、斬新なデザインの「紅月」をかついで忙しくなりそうだ。
関連記事
RELATED COLUMN