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2022/07/29

コラム

【My Favorite Rod】中澤 岳「朱紋峰 本式」

“My Favorite Rod”。

釣り人には誰しも、流行にとらわれない、愛し続ける「お気に入りのロッド」がある――――――。

 

中澤 岳が長年にわたって愛し続け、使い続けているロッドがある。

それが、「朱紋峰 本式」だ。

「味わい重視」のオールラウンダーにして、朱のデザインを纏った唯一無二の存在。

カーボンロッドの礎を築いたと言っても過言ではない名作「朱紋峰」。そのポリシーを脈々と受け継ぐ体躯には、へらぶな釣りの本道を行く「本式」と名乗るに相応しい極上の味わいと万能性能が、確かにある。

トータルバランス

「朱紋峰 本式」が好きだ、と公言する中澤。

今でこそ浅ダナでは「風切」の出番が増えてはいるというが、それ以外の釣り方では、無意識のうちに「本式」をロッドケースから引き抜いてしまうことが多いという。

 

「いい竿だよね。そもそも初代『朱紋峰』が大好きな竿だったし、その血統をしっかり受け継いでいる『本式』も、本当に大好きな竿なんだ。その前の『朱紋峰 凌』もいい竿だったんだけど、その感触を確実に進化させているよね。」

 

そもそも「本式」というのはいったいどういうキャラクターの竿なのか。中澤にストレートに聞いてみる。

 

「一言で言えばトータルバランスに優れたオールラウンダー。それも、方向性的には『味わい方向』だよね。『朱紋峰 嵐月』がシャキっとした硬式先調子系ならば、『本式』はその名のとおり、ズバリど真ん中の本調子。硬さ的にも、軟らかめの方向だ。『特作 伊吹』に比べれば硬めだけど『普天元 獅子吼』に比べれば軟らかい。そんな感じだよね。」

 

「本式」の性質をして、「トータルバランスに優れる」と表現した中澤。その心は?

 

「まずは、エサを振り込んだ時のしなやかな感触。しなやかなんだけど竿が垂れ過ぎないというか、絶妙なところでバランスが取れているんだ。次に、魚を掛けた時のあの元に入ってくる独特の感触。これは『凌』に近いんだけど、それよりワンランクたくましさがあるというか、現代の大型にも負けない感じがある。このさじ加減がまた絶妙なんだよね。元にグンと入ってくるんだけど、入り過ぎない。だから、竿が大きく元から曲がってはいても心に余裕があるんだ。余裕があるから『楽しい』んだよね。僕にとってはあらゆるへら竿の『基本形」が、この『本式』に集約されているんだ。」

朱紋峰シリーズ伝統の「朱」をテーマカラーに、独特の風格を見せる「朱紋峰 本式」。その名の通りど真ん中の本調子を体現するオールラウンダーであるが、硬さや強さで引く竿…ではなく、独特のまろやかな円弧で大きく曲がり、しなやかに浮かせる味わい重視の竿。時代は変われど初代「朱紋峰」の根幹は、微塵も揺るがず。

「トータルバランスが最高なんだよね」と「本式」を溺愛する中澤。最近は浅ダナこそ「風切」の出番が多いというが、その他の釣り方では、例会等の勝負が賭かった時でも「本式」を出してしまうのだという。「特作 伊吹」よりは硬めだが、「普天元 獅子吼」よりは軟らかい…そんな絶妙な設定も、「本式」の出動回数が思わず増えてしまう所以なのだとか。

心地良いバランス感覚、これぞへら竿の基本形

「朱紋峰」を象徴する「朱」の段巻を基調としたデザインも、中澤のお気に入りだという。

 

「そもそもずっと以前から僕は朱色の竿が好きでね。朱段巻の竹竿とかね。だから初めて『本式』のデザインを見た時、『これしかない!』って思っちゃったんだ。それからずっと飽きもせずに惚れ込んでいるよね。『本式』は鮮やかな朱もいいんだけど、間の竹地の色も渋くていいんだよね。この色のおかげで竿全体が派手過ぎず、品良くまとめられている。でももちろん段巻の『朱』はものすごく水面や青空に映えるから、振っていてとても心地が良いんだ。」

 

「本式」を語る時、中澤は「心地良い」というワードを連発する。

 

「そう、まさに『心地良い』んだよね、全てが。この唯一無二のデザインもそうだし、振り心地も掛け心地も全てが心地良いところでバランスされている。だから使いたくなっちゃうんだよ。へら竿の基本形とでもいうのかなぁ。僕的にはそれこそが『本式』なんだよね。」

 

連綿と続く伝統の朱紋峰シリーズの「柱」となっている「朱紋峰」。

初代が登場した時は、まさに競技へらぶな釣りの熱狂的なブームの時代であり、こぞってビンビンに硬い先調子の竿が「競技用ロッド」としてもてはやされていた時代だった。

そんな狂乱の時代に突如、一石を投じるかのように登場したのが、初代「朱紋峰」だった。

 

「衝撃だったよね。僕も当時は『人よりたくさん釣ること』しか考えていなかった頃で、最初は『こんな軟らかい竿じゃぁ勝負できないよ』と思ったもの。でも、使ってみたら全ての常識が覆されちゃった。遊び心のある朱の外観だけじゃなく、『嗚呼、へら竿って元来こういうものだったよなぁ』というか、そんな原点を多くの釣り人に思い起こさせてくれた竿だったんだよね。だからあの競技の時代に、空前の大ヒットになったんだと思う。競技も何も、全てのへらぶな釣りはまず楽しむことでしょって、そんなことを教えてくれた竿だったんだね。」

 

若かりし頃、卓越した技術を持った名手としてその名を馳せていた中澤の「へらぶな釣り観」を根底から覆すかのような、そんな竿が初代「朱紋峰」だったという。

 

「あの竿に出会ってなければ、あのまま競技の世界を突き進み、もしかしたら釣りが味気なく、つまらなくなって、今頃やめていたかもしれないよね。そういう意味では、僕が今でもこんなに夢中になってへらぶな釣りを続け、探求し続けているのは、あの『朱紋峰』との出会いのおかげでもあるんだよね。ちょっと大袈裟かな。でも本当にそうなんだ。で、今もちゃんと進化した『本式』がある。妙に硬くなったり強くなったりすることもなく、ちゃんとしなやかな『朱紋峰』なのもいい。だからかな、ついつい使っちゃうんだよね。」

 

管理釣り場、野釣りを問わず、実にさまざまな場面で「本式」を使うという中澤。

チョウチン、半端ダナの宙、そして底釣り…そして時には浅ダナでも――――――。

 

「朱紋峰 本式」でしか味わえない、なんとも言えない心地良いバランス感覚。

「これぞへら竿の基本形」と言いたくなるような、たくさん釣る、勝つためだけではない、「楽しさ」の体現。

 

まさに「朱紋峰 本式」は、へら竿の「原点」を綿々と引き継いでたどり着いた一つの作品なのである。

湖面に映える「朱」の段巻が、「朱紋峰」であることを主張する。しかし、間に挟まれる竹地の色をあえて渋めにしてあることで、派手過ぎない、へら竿ならではの伝統的な美しさを表現することに成功している。

思わず見惚れてしまう、曲がりの美しさ。それこそが「本式」最大の魅力だろう。他の竿より明らかに元に入ってくる感触で、大きな円弧全体を使って魚を浮かせてくる感触が病みつきになる。

連綿と続く「朱紋峰」シリーズの進化を象徴するシーン。このようにチョーチンや底釣りで大型に一気に潜られても、余裕を持って対応することができる。この「曲がるけれど、持ちこたえる」という基本性能は、その後の「獅子吼」等のへら竿にも確実に受け継がれている。

これも進化した「本式」を象徴するシーン。キロクラスの大型は竿を大きく曲げて長い時間をかけて浮上してくるが、最後はご覧のようにボートの下に潜られることもなくヒラリと浮上した。これは元がタレずにしっかりと機能している証拠。味わい系の竿ではあるが、完全にはへらに主導権を渡すわけではない。だからこそやりとりを存分に楽しめるのだ。

楽しそうに「本式」を振りながら、「心地良い」というワードを連発する中澤。まさにこの「心地良い」が「本式」の楽しさだけにとどまらず、へらぶな釣りそのものの楽しさを全て言い当てている。そんなへらぶな釣りを心から愛し続ける中澤が「好きだ」と公言する竿であるのも大いにうなづける。

プロフィール

中澤 岳 (なかざわ たけし)

アドバイザー

86年シマノジャパンカップへら釣り選手権大会準優勝、マルキユーゴールデンカップ優勝。06年と12年JC全国進出。07年と11年にシマノへら釣り競技会 野釣りで一本勝負!! 優勝。大学時代に学釣連大会の連覇記録達成。「関東へら鮒釣り研究会」所属、「クラブスリーワン」会長。

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朱紋峰 本式(しゅもんほう ほんしき)

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