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2022/05/10

コラム

【水面勝負】逃げないカッツケセット 岡田 清×熊の池 “柳”だからこそ撃てる! スーパーライトタックルゲーム!!

日曜日、喰い渋り、減っていくアタリ…。

思わず意味もなくタナを取りたくなるそんなシチュエーションでも、岡田 清は頑として水面勝負に徹する。

「水面で勝負できるなら、とことん水面にこだわる。そこで逃げないことで結果的にバラケも楽になるし、釣りを『決める』ことができるからね。」

その右手には、「飛天弓 柳」――――――。

細身、しなやか、しかし独特の「芯」。

その体躯、まるで岡田の釣りそのもの。


日曜日の熊の池。カッツケセット、水面勝負。

「熊の池は自宅からも近いし、カッツケができるから大好きな釣り場なんだ。今年も年明けから一番来ている釣り場なんじゃないかな。」

ようやく春の気配が色濃くなってきていた3月13日(日)。岡田は貴重な休日に、神奈川県横浜市郊外にある「熊の池」を訪れていた。

この日はやや雲が多めながら風も穏やかな予報で、そのせいか早朝から駐車場は満車状態。7時前に開門(4月からは6時半)されると、岡田は例会組を含めた釣り人たちがあらかた席に着いたのを確認してから、かろうじて空きがあった小池にバッグを置く。

「ここが空いていたのはラッキーだけど、今日は日曜日だし、これだけの混雑だから楽には釣らせてもらえないだろうね。」

岡田はそう言うと、さっそく釣りの準備に取り掛かった。

神奈川に住み、釣行のほとんどが埼玉、千葉方面への「小遠征」となってしまう岡田にとって、横浜市郊外にある「熊の池」は貴重な存在。タナ規定自由でカッツケ釣りができるのも魅力で、この釣りが大好きな岡田にとってはまさにホーム的なフィールドとなっている。森に囲まれた好環境で風にも強く、尺級の元気べらの魚影も濃い。取材日は穏やかな日並の日曜日とあって、朝から池は満席状態。混雑による喰い渋りは必至だが、岡田は水面勝負に徹する、と力強く宣言する。

● 竿  【飛天弓 柳】10.5

  

● ミチイト  0.6号
   

● ハリス  上0.5号 下0.3号 8―30cm
  

● ハリ  上4号 下1号
  

● ウキ
一志【アスリート】3番(パイプT6cm 一本取り羽根B4.5cm カーボン足4.5cm ※エサ落ち目盛は全6目盛中、クワセを付けて水面上に2目盛出し)

 
● タナ  ウキ〜オモリ間15cm(ウキ1本分)

  

● バラケ

粒戦 ・・・ 50cc

粒戦 細粒 ・・・ 50cc

浅ダナ一本 ・・・ 200cc

水 ・・・ 180cc

セット専用バラケ ・・・ 100cc

GTS ・・・ 100cc

  

● クワセ

感嘆 ・・・ 10cc

水 ・・・ 12cc

   

「熊の池に来ると、四季を通してカッツケを楽しむことが多いかな。今年ももうずいぶん来ているけど、全部カッツケ。タナ自由の貴重な池だし、魚のコンディションもいいし、何より大好きな釣り方だからね。で、竿は『柳』で決まり。昔ほどではないけどかなりライトなタックルだし、日曜日ともなれば竿もやや長めになるので、この軽い仕掛けをフワリと沖に飛ばせる『柳』のしなやかな振り込み性能は絶対なんだ。」

平日なら8尺でも十分という熊の池だが、さすがにこの日は満席状態。混雑によるフィッシングプレッシャーは必至なため、岡田は迷わず「飛天弓 柳」の10.5尺を継いだ。

そして「タナ」にも迷いはない。

「もちろん水面勝負。ウキの破損等を考えて1本分は空けているけど、気持ち的にはハリスカッツケだよ(笑)。そして今日はここから深くする気は全くない。必ず何とかしてみせるし、これがまた面白いんだ。」

いきなり『タナは水面狙いで固定』と宣言する岡田。おそらく喰い渋りは必至で、多くの釣り人がややタナを取ったところから釣りを始めている。果たして、大丈夫なのか…。

「湧くような感じにはならないけど、魚は水面にいる。僕の感覚だと、変にタナを取った方がギリギリのバラケを打てなくなるし、『持たせる』ことにも気を遣わなくちゃいけなくなるから、逆に釣りが難しくなる。他の釣り場でもそうだけど、水面で勝負できるなら、迷わず水面を撃ち抜く。これはセットだけでなく、ダンゴやトロロでもそうだよ。」

7時30分、全ての準備が整いエサを打ち始める岡田。小さなウキとバラケ&クワセがシャッと沖へと糸を引くように振り込まれると、慣れた手つきでロッドを操作し、極力ウキにショックを与えないようにしながらサっとラインを沈めた。

さすがに日曜日。いきなりウキが踊ることはなく、15分ほどの打ち込みでようやくサワリ。思わずタナを取りたくなってしまうシチュエーションだが、かまうことなく次々とエサを打ち続ける。

ウキは一志「アスリート」3番をチョイス。この釣りをやるのに特別小さいわけではないが、それでもライトタックルであることに変わりはない。

タナは「水面」固定で、アマめのボソを打ち抜くゼロナジミの釣り。しかしエサのサイズは小さめで、必要最小限のサイズで水面直下でのクワセとの「シンクロ」を意識していく繊細な釣りだ。

「水面ゼロ」を打ち抜く

熊の池でのカッツケセット、岡田は迷わずロッドケースから「飛天弓 柳」を引き抜いた。その理由を尋ねると、明快な答えが帰ってきた。

「もちろん、その『操作性』だよね。『柳』はご存知のとおり細身でしなやかな本調子だけど、ただのヤワな竿ではないのが自分的には最高に気に入っている点。上手く言えないんだけれど、『柳』って独特な芯みたいなものがあって、細くて軟らかいんだけど、不思議と軟弱な感じがしない。もう『柳』にしか出せない感触がある。それがこの時期のライトタックル系のカッツケセットに抜群に合うんだよ。」

見ていても全くストレスを感じさせない打ち込みで、岡田はリズミカルに沖へとエサを打ち続ける。そしてよく見てみると、ただ振り切っているのではなく、コンパクトに折り畳むように微妙な『落とし込み』的なテクニックも織り交ぜているのが分かる。

「今日は『水面ゼロ』の釣り。冬の延長で、バラケのナジミ幅はほぼゼロで、時折軽くトップに荷が掛かる…という感じだね。で、ゼロだからって乱暴にエサを打つのではなく、その逆なんだよ。振り込みのちょっとしたショックや落とし方で、ハリへの持ち方が微妙に変わってしまう釣り。そんな時、この『柳』だと最高に振り込みやすいんだ。しなやかでいて、ちゃんと『芯』があるから、着水時の微妙な操作がとてもやりやすいんだよね。」

開始から30分が経過した時、一瞬だけ軽くかかったバラケの重さが即座に抜け、やや間があってから「チャッ!」と落として第1号。この1枚を皮切りに、岡田の「水面勝負」がゆっくりと前進を始めた。

熱狂的なファンを生み出し続けている個性派、「飛天弓 柳」。細身かつしなやかな本調子で、そのデザインも独特。シマノへら竿のラインナップの中でも異彩を放つ存在だ。そして、ただしなやかなだけでなく、独特の「芯」を持つのも「柳」の特長。この不思議な「芯」が、「柳」の存在を「単に細身で軟らかい竿」から違う次元へと引き上げているのだ。

「水面」だからこそ

「釣果を左右するのは、実は『ちょっとしたこと』」…という岡田の持論がある。

例えばパっと見ではほとんど同じように見えるウドンセットでも、何人かで並んでやれば、その釣果には歴然とした差が出るのが現実。その一番の要因となるのが、言うまでもなく「エサ付け」だ。

ある程度の魚が寄り、ポツポツとカウントが進み始めた岡田。しかしもちろん、まだまったくもって納得はしていない。

「まだまだだね。今はまだ寄り始めのラッキーで釣れちゃってる感じ。そのうち止まるよ。」

岡田の予言どおり、釣れ始めてから約30分後、5枚目を取り込んだあたりから雲行きが怪しくなり始める。

「釣れているアタリがヤバいよね。待ってからの突然気味にアタる感じ。冬みたいなアタリ方。これだと続かないよ。もう少し連動するような動きを出していきたい。もう3月だしね。」

ここで岡田はバラケではなく、まずはセッティングを整える方向に進む。

「アタリが突然気味…ということは、ちょっと下ハリスが短いかな。もう少し長くしてみる。」

岡田はそう言うと30cmだった下ハリスを35cmに。この変更で、アタリまでの「間」が少し詰まったように見えた。

「もの足りないかもしれないけど、(セッティングをいじるのは)これくらいにしておいた方がいいかもね。これ以上長くするとアタってもカラになりそう。」

岡田はそう呟いた後、「試しに」とさらに長い40cmに。するとフワフワとしたサワリからそのまま「ダッ!」といく動きが明らかに増えたが、それがことごとく空振りかスレとなった。

「ほらね。これだとやり過ぎなんだよ(苦笑)。でも水面って面白いでしょ。こういう反応が、メーターの時よりはっきりとダイレクトに表れるから読みやすいんだよ。」

前述のとおりタナは「ウキ1本分」と完全固定のまま釣り進んでいく岡田。そして下ハリスはとりあえず35cmで固定して釣り進んでいく。そのペースはなかなか上向かないが、それでも周囲では明らかに抜きん出たペース。1枚1枚、確実に仕留めていく…といった様相だ。

いわゆる冬っぽい「抜き」の釣りでカウントを進めていく岡田。バラケの持たせ方はゼロか、一瞬だけ半目盛ほど重さが乗るくらいのアマめで、気配が感じられる時だけやや待ち、確実なアタリを拾っていくといった感じだ。そして岡田が全神経を集中させているのが、もちろん「エサ付け」である。

「タナが水面だからバラケを『持たせる』ことに苦労することはない。逆に軽く付けただけでも『持っちゃう』から、そこは気を付ける。そして、アマめのエサ付けの中でも、着水と同時に破裂しちゃうくらいの激アマなのか、タナに届くまでは上バリに付いているくらいなのか、その短い幅の中で探っていく。とはいえ、そこは目盛に表れない部分だから、完璧にコントロールすることは不可能だよね。でもメーターよりはかなり範囲が狭いわけだから、イメージはしやすいと思う。それが自分の『水面』にこだわる理由のひとつ。狭い範囲でのバラケとクワセのシンクロを1投ごとに魚に聞いていく。

振り込みも重要で、ボチャンと振り切れば意図的に水面で炸裂させられるし、スっと静かに落とし込めば持たせられる。これがまた『柳』だととてもやりやすいんだよね。」

日曜日の厳しい状況下で、次々と尺級を掛けていく岡田。「水面の利」を生かし、激アマから「ちょい掛け」まで、バラケの持たせ方を繊細にコントロールしていった。

「渋いから深く」ではなく、渋いからこそタナは水面に固定し、バラケの自由度を上げていくという思考の岡田。指圧による微妙なバラケのコントロールに加え、折り畳むような「落とし込み」等、振り込みによってもバラケの持たせ方を変化させた。芯のない、ただダランと軟らかいだけの竿ではできない芸当だ。

しなやかに大きく曲がるが、ギリギリのところでへらに主導権を完全には与えない「芯の強さ」も併せ持つ「飛天弓 柳」。岡田のフェイバリットロッドのひとつであり、特に最盛期以外のカッツケ釣りでの出番が圧倒的に多いという。

午後、春めくウキの動き…

10時30分、やや早めの昼食休憩とする。ここまで岡田の釣果は19枚。

「悪くはないけど、3月の釣りとしては何か物足りないよね。まあ日曜日で、しかも今日は特に混んでいるから仕方がないんだけど…。午後はもう少し違った釣りになるよう仕掛けてみるよ。」

11時、釣り座に戻った岡田は釣りを再開する。

そして――――――、

岡田は午前中とは明らかに意図が異なるエサ打ちを繰り返していた。

ナジミを入れているのだ!

「だいぶ暖かくなってきたし、魚も朝よりは動いている気がする。であるならば、もう少し春っぽい釣りで、サワリとアタリをさらに連動させて釣り込んでみたいよね。」

どちらかと言えば午前中は「魚任せ」の拾い釣りだった、と岡田。それでも周囲では圧倒的に釣っていたのだが、3月の取材で岡田が狙っていたのは「こちら」だったのだ。

「熊の池は水面に喰い気のあるへらが多いし、変にタナを取るより型も良かったりする。絶対決まると思うんだよね。」

信念のエサ打ち。

午前中のゼロナジミから一変、ドップリと沈没させるくらいの深ナジミで打ち込んでいく。

「さすがにこれ(ドップリ)だとキツいかな(苦笑)。」

岡田はジワジワと圧を弱め、1目盛がナジむくらいに調整。

そこで、上がり始めたへらの活性との帳尻が合った。

  

“1目盛がナジんで、即座に抜けて、スパッ!”

  

完全な「ナジませ」ではないが、明らかに午前中とは異なる、ナジミを入れての釣りがジワジワと決まり始めるのだ。

「いいねぇ、そうこなくっちゃ。さすが熊(の池)。春っぽい動きでしょう!?」

浅めとはいえ、ナジミを入れてアタらせることで、サワリからアタリへの「連動」が生まれていたのだ。だから、裏を返せば、この「連動」が見られない時は早々に切って次を打てる。これがまた岡田の釣りに良いリズムを生み出していく。また岡田はすかさず下ハリスを30㎝に詰めていた。持たせ気味のバラケにクワセを近付けることで、さらにヒット率を上げていくことに成功していたのだ。

16時10分には駐車場から退場しなければならない熊の池。ギリギリの15時50分まで釣り続けた岡田の釣果は、38枚まで伸びていた。

春の日曜日。逃げずに水面を撃ち抜いた、岡田 清らしい釣りだった。

午前中は冬っぽい「抜き」の釣りで拾っていった岡田。しかし午後は徐々にウキの動きが「春」を感じさせるものになっていく。すなわち、バラケを持たせ気味にしての、「ナジんで、抜けて、スパッ!」。小気味良いアタリが連発し、「柳」の大きく綺麗な曲がりが、元気べらの強引を全身で受け止める。

尺級の良型が揃ったこの日の熊の池。釣り座がほぼ埋まる混雑の中、新べらも混じって元気にウキを動かしてくれた。特に暖かくなった午後は活性も上がり、バラケを持たせる方向でもアタリを出してくれるように。これを待っていた岡田は、ここぞとばかりに釣り込んで「春到来」を満喫した。

プロフィール

岡田 清 (おかだ きよし)

フィールドテスター

シマノジャパンカップへら釣り選手権大会は01年、02年と連覇し、03年は準優勝、09年に3回目の優勝をした。ジャパンカップと同様に予選会のある全国大会で通算7度の優勝を記録。「日本最強のトーナメンター」またの名を「鉄人」「トーナメント・モンスター」とも呼ばれる。

※記事内で紹介されている製品は、旧モデルの可能性がございます。

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ロッド

飛天弓 柳(ひてんきゅう やなぎ)

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