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2022/10/31

コラム

西田一知 in 三名湖 長竿チョウチンの極意

伝説の“レインボーカラー”、7代目閃光。

どんよりとした空の下、三名湖・金市田ワンドの奥で、ひと際鮮やかなカラーの長竿を振る男がいた。長竿の権化・西田一知その人である。
どこかで見覚えのあるレインボーカラーで彩られたその長竿は…
「飛天弓 閃光LⅡ」! 「飛天弓 閃光PⅡ」!
あの2代目閃光の「レインボーカラーが最新技術をその身にまとって現代に蘇る。

レインボー、復活

もう今から25年以上前、2代目「飛天弓 閃光」が発売された。レインボーカラーに彩られたその超軽量ロッドは、まさにその時代を一世風靡していた。どこまでも軽く、しかしその竿は思った以上に強靭で、当時、抜群の操作性と引き味を誇っていたのだ。
その後「閃光」シリーズは「G」、「R」、「X」…と進化していったが、レインボーカラーは2代目のみ。今回の7代目であのレインボーカラーが復活する。

「たぶん、凄く気にいると思うよ。」
取材の場となった三名湖に現れた西田一知は開口一番そう言って、なんとも言えない笑顔を見せた。
そしてロッドケースから「それ」を引き抜く。
「飛天弓 閃光LII」
「飛天弓 閃光PII」

前作を踏襲する、軽さをイメージしたブルー系の『LⅡ」と、パワーをイメージしたオレンジ系の「PⅡ」。 しかし、そのブランクスは、紛れもないあのカラーリング…
レインボーカラーだ!

ヒラリと舞い、スムーズに引ける

雨上がりの三名湖。 釣り人で賑わう桟橋、そして中央ロープを横目に、西田は出舟時刻を過ぎた6時半、ゆっくりとボートを漕ぎ始めた。そして誰もいない金市田ワンドの奥寄りに着舟。手際よく釣りの準備を整える。

● 竿  シマノ【飛天弓 閃光LII】21尺

● タナ  チョウチン

● 道糸  1.0号

● ハリス  上下0・5号 55―70cm

● ハリ  7号

● ウキ
忠相【ツアースペックF】13番(パイプT18cm 羽根B13・5cm 竹足6cm エサ落ち目盛は全11目盛中2目盛沈め)

● エサ(両ダンゴ)
カクシン ・・・ 400cc
コウテン ・・・ 400cc
水 ・・・ 200cc ※手水とBBフラッシュで調整

相変わらず活性は高いが、このどんよりとした空のせいか、打ち始めてすぐに「タナは上だね。でもどうにもできない感じでもないよ」と西田。「LⅡ」の感触を確かめるように軽やかに打ち込んでいくと、わずか20分ほどで強いアタリをアワせ始めた。三名湖としてはスロースタートだ。
「長竿を扱うコツは、とにかく『脱力』。竿の長さを意識し過ぎてギュっと握りしめてしまうと、疲れるだけなんです。振り込みからアタリを待つ間は、とにかく軽く手のひらを添えるだけっていう感覚が大切。ギュっと力を入れるのはアワセの一瞬だけ。
それにしても、この『LⅡ』はいいね。『スパイラルXコア』が入ったおかげで、特段硬くなったわけではないのに、振り込み時のダランとした感触が払拭されている。穂先も『ハイパワーXティップ』のおかげで先までピンっと抜けるような強さがあって、飛んでいくエサの位置を手のひらで感じられるようになった。この感覚って、軟らかいエサでもハリ抜けさせずに落とし込んでいく時に凄く重要になるんです。『LⅡ』はこの感覚がきわめてクリアに伝わってきますよ。」

見た目のレインボーチタンセラミックコートにばかり目がいってしまうが、その中身はまさに「超正常進化」と表現したくなるもの。「スパイラルXコア」、「ハイパワーXティップ」、「しっとり綾織握りⅡ」…といった最新技術が惜しげもなく投入されており、竿としての基本性能が一段も二段も底上げされている印象だ。

これぞ、「本物の軽快感」。

「実際、カタログ数値を軽くするだけなら、まだまだできるんですよ。超高弾性カーボンだけを使って、超極薄に仕上げる…とかね。でもそれは違うでしょ、と。あくまでへら竿としてのバランス、使い心地を考えた時、軽いのはもう『当たり前』として、それ以上に竿としての基本性能の充実を目指したのが、今回の『LⅡ&『PⅡ』なんです」
「へらのタナは高い」と言った西田だったが、30分も経過すると強いアタリが出て、豪快なアワセが決まり始めた。
「ちょっとまだエサが合ってないかな。でもさすが三名湖、釣れますね」 肩付近で揉まれたトップがそのまま「チャチャッ!」と刻むような早いアタリで、元気な2枚キロクラスが竿を水中に引き込む。
竿が立ち上がっても決してブレることなく、スムーズにへらがタモまで導かれていく。 レインボーカラーは竿の先に行くにつれて鮮やかになり、手元は渋め。「全身ギラギラ」ではなく、三名湖の濃緑にも品良く映える―――。

長竿使いの極意はズバリ「脱力」だと力説する西田。常に握りを握りしめているのではなく、「軽く添えるだけ」。ギュっと握るのはアワセの瞬間だけで、あとはリラックスして包み込むように握るのがコツだという。「自分は普通の人より手のひらがずいぶん小さいので、そもそも握り込めないんですよ。それで自然にそういうスタイルになったんですが、この方が竿の性能自体を引き出せるし、何より疲れないんです」と西田。30尺もボートであぐらをかいたまま1日振り続けるコツが、意外なところに潜んでいた。

エサの振り込みはとにかく「軽やか」の一言。これはカタログ重量が軽くなった…というのではなく、「スパイラルXコア」、「ハイパワーXティップ」(穂先部)、「しっとり綾織握りⅡ」等による相乗効果で、竿の操作時のネジレやツブレ等が大幅に軽減されている点が大きいという。「レインボー+ブルー」という見た目の軽快感も相当なもので、見る者だけでなく、釣り手自身が感じる見た目の「軽快感」も相当なものだ。

レインボーカラーは竿先にいくにしたがって鮮やかになり、「全身ギラギラ」ではないため、非常に品のある目立ち方をする。

西田の左指先に注目。曇天のせいか、この日のへらぶなのタナは明らかに高め。21尺いっぱいのタナではナジんでしまうと無反応、といった状況だった。そこで西田は、軽ネバ系のタッチを基本としながらも、「マッハ」をこまめに追い足してボソっ気を加えていく。タナより上にいるへらに興味を持たせて1枚1枚丁寧に反応させ、早いアタリを出して釣り込んでいく。

軽やかに「LⅡ」21尺を振り、豪快なアワセを決めていく西田。レインボーカラーは先の方がより鮮やかで、元にいくにしたがって暗めになっており、「全身ギラギラ」といった感じは皆無。非常に品良くまとめられているのが嬉しい。また口巻き部は「LⅡ」がブルー、「PⅡ」がオレンジ系のメタリックカラーとなっており、こちらはかなり派手。単に2代目の焼き直しではない、「最新版」をはっきりとアピールしてくる。とにかく釣り場で目立ち、所有感は最高!

竿自体の基本性能の充実に重点を置いて開発されたという「飛天弓 閃光LⅡ」。なかでも「スパイラルXコア」、「ハイパワーXティップ』採用の効果は絶大で、竿が最も「力」を失う瞬間でもある取り込み時でも、余裕を持って大型をタモに導くことができる。まさに「超正常進化」という言葉が似合う「LⅡ」の仕上がりだった。

洗練度大、パワーの「PII」

● カクシン ・・・ 400cc

● コウテン ・・・ 200cc

● 浅ダナ一本 ・・・ 200cc

● 水 ・・・ 200cc

● BBフラッシュ ・・・ 100cc

※手水とバラケマッハで調整

「今日は15前後のチョウチンがベスト」と言いながら、コンスタントに21を曲げていく西田。いったんナジんでしまうと反応が薄いことから、狙うタナより「ちょい上」に濃いへらを丁寧に反応させながら…という釣りになっていた。
そして、前記のエサにチェンジすると、そのペースは一気に加速していく。

「まず、エサ自体を軽くして追わせるようなイメージにしました。さらに『バラケマッハ』の生麩をこまめに振りかけるようにして、それで上にいるへらを強引に反応させています。ベストな対応ではないかもしれませんが、今日、長竿で釣るにはこれしかないでしょう。」

小分けしたエサに「マッハ」の生麩をこまめに振り、ボソっとした感触を常に供給しながら反応させていく。西田の得意なパターンだ。
さらに西田はハリスを55―70cmから60―70cmに整えると、付け根付近の早いアタリを狙い撃って一気にハイペースへと持ち込んでいった。

「このあたりが長竿チョウチンで釣り込んでいくコツですよね。へらが上に濃いからってエサを硬くしたり重くしたりすると、ただ通過するだけ。逆に軽くして、ちょい上から追わせてくるようにするのがいい。ただし、雑にいってはダメ。アタリはよりしっかりと選別しないと、本当にウワズって収拾がつかなくなります。」

…とここで西田は納得したのか、「ちょっと竿を替えてみましょうか」と言って仕掛けを外し、ロッドケースから取り出した竿に付け直した。長さは同じ21で…
“飛天弓 閃光PⅡ”

「重量的にはこっちの方が重いんですが、ある程度腕力のある方なら、こっちの方がむしろ(『LⅡ』より)軽く感じられるかもしれません。またゴツ過ぎた感もあった前作の『P』に比べ、より洗練された印象があります。これも『スパイラルXコア』を始めとする最新技術の恩恵でしょう。」

三名湖ならではの元気な2枚キロクラスが次々と竿を大きく曲げ、オレンジレインボーの虹が架かる…。
まったくブレずに竿掛けの先で浮いたへらは、ピンと張ったラインを保ったまま、静かにタモへと吸い込まれて行く―――。

「やっぱり野釣り、それも長竿チョウチン両ダンゴは楽しいですね!」
真っ黒に日焼けした西田の笑顔が弾けた。

より洗練された、パワーの「P Ⅱ」。

前作より枝分かれした閃光シリーズ。その「パワー」を担当するのが「P」だ。そして今回の「PⅡ」は大幅に洗練された印象で、前作にあったいかにも「ゴツい」といった感触が和らぎ、より広いシチュエーションをカバーできそうな印象。もちろん『LⅡ」よりは重いが、竿自体がしっかりしているため、ある程度腕力のある釣り人ならこちらの方が軽く感じるかも…というのが西田の見解だった。

プロフィール

西田 一知 (にしだ かずのり)

[インストラクター]

関東へら鮒釣り研究会で97年、09年、10年、11年に年間優勝して史上5人目の横綱位に就く。09年シマノへら釣り競技会 野釣りで一本勝負!! 第3位。30尺の使い手で長尺の釣技に長ける。「関東へら鮒釣り研究会」「コンテンポラリー・リーダーズ」所属、「KWC」会長。

※記事内で紹介されている製品は、旧モデルの可能性がございます。

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