へら竿の取扱い 心得集【トラブルを避けながら大切なへら竿と末長く付き合うための極意】
へら竿の取扱い 心得集【トラブルを避けながら大切なへら竿と末長く付き合うための極意】
萩野 孝之 TAKAYUKI HAGINO
「8~16.5が加わることで8~30のワイドラインナップになった『飛天弓 閃光LⅡ』最大の特徴が『軽さ』です。そしてレインボーチタンセラミックコート。かなり目立つ外観に仕上がっていますけれど、この竿を使って釣ると結構目立ちますよね。目立つだけでなく、この技術はシマノのロッドではハイクラスのロッドに使われている技術なので、高級感が自然と感じられます」
レインボーとブルーが存在感を放つカラーは、とかく伝統工芸的に表現される「へら竿」というジャンルにおいて、どこかSF的で近未来感を覚えます。しかも未来志向なのは、外観だけではありません。
「軽さで得られることは、予想以上に多いものなんです。まずは『飛天弓 閃光LⅡ』で、できることを考えると、管理釣り場におけるあらゆる数釣り、沖打ち、それから、最近ちょっと多いんだけれど手持ちでやるような釣りですね。そして寒い時のチョウチンの誘い釣りですね。そんな時でも手持ちで疲れない。まさに軽量ロッドの強みですね。自分は数釣り、競技を主体に釣行していますけれど、これならだいぶ楽ができるな、気を使わないでこなせるなと感じます。これは大事なことで、余計なことに気を使わなくなると、それだけ釣りに集中できるから、釣れている方法でもっと釣れるようになるという相乗効果が生まれてくるんです。『飛天弓 閃光 LⅡ』の長いアイテムはペレ宙とか、ああいう大型厳選放流釣り場の両ダンゴなんかでも早いアタリを狙っていけるんです。
自分の印象で話してしまいますが、この『飛天弓 閃光LⅡ』を競技会で多用したいなと考えています。短竿は浅ダナの両ダンゴ。この釣り方で釣り込む時に1番合っているんじゃないかという感触を得ています。もう今のへらぶな釣りは、多く釣って勝とうとしたらものすごく難しいんですよ。ごく一般的なアタリばかりを取っていたら勝てなくなりました。実際にナジんでドンなんてアタリじゃなくて、ウキが立って、すぐくらいのアタリ。みんながアワせないようなところで喰っているアタリって結構あるんですよ。寒い時なんか喰い渋って、アタリが小っちゃいじゃないですか。そういう所でアワせるためには、アワセ遅れしない竿が必要になります。反応のいい竿じゃないと喰いアタリをアワせきれないんです。『飛天弓 閃光LⅡ』の性能は、その目的にぴったりで短い所から10前後は、そういう釣りに合っています。大会になると、フィッシングプレッシャーが高まり周囲よりも長竿を出す傾向になります。こうなると1時間に何回も強くアタらなくなってしまい、細かいことですがアワセ遅れがないとか、見逃さないとか、そういう勝負になってきて軽さがとても大事になってくるんです。
そして竿が長くなるほど操作性だったり、エサの打ち込みだったりっていうのが難しくなってくるんですが、この『飛天弓 閃光LⅡ』は振ってみると、他より3尺軽い印象を受けるんです。『飛天弓 閃光LⅡ』の12は従来品の9感覚なんですね。それだけ打ち込みとか、振り込みとか、取り込みが楽なんですよ。
寒い時期に小ウキを飛ばせる強みって大きいですよ。厳寒期は大きな魚を相手に、小っちゃいウキでハリスを長くっていう設定を迫られるのですが『飛天弓 閃光LⅡ』だったら上手くいきます。自分的には『あっ、アタったという時にイケる竿』という感じですね」
と、萩野氏はへら竿が釣り方にもたらす新しい可能性をも語りました。
釣りが難しくなっている背景としては、放流に支えられている釣り場環境が様々な事情で影響を受けているため、競技が極めてシビアな世界に突入している現状はあるわけですが、こうした競技者を含めたへらぶな釣り愛好者全般の高齢化も、また、確実に進んでいるのが現実です。
「自分も最近、実感しているんですけれども、自分もやっぱり、そんなに若くないんですよ。そうなって分かったのですが、腕の力って衰えてきているんですよね。そういう時に『飛天弓 閃光LⅡ』の軽さによって、疲れにくかったりするのは助かるんですよね」
満足感や達成感と引き換えに、疲労してしまう趣味では続けたくても続かない。それを解消するために、今回握りにもこだわっています。
「『しっとり綾織握りⅡ』を採用しており、尻栓が小さい。綾織部分が長いことにより滑る部分がないから、軽く握って力みなく竿を扱えるので同じように釣っても疲れが半減するんですよね」
疲労軽減しつつ、軽さと強靱さを兼ね備えた『飛天弓 閃光LⅡ』はへらぶな釣りに関わるあらゆる釣技を輝かす製品であり、その源はスパイラルXコアとハイパワーXティップの同時採用によるものです。
「このスパイラルXコア、ハイパワーXティップの穂先という強化構造の効果により、竿がつぶれないからブレない。つぶれてネジれてブレる竿は、竿を上げた時に、前後左右へ動く範囲が広いんです。魚が抗う時に、竿がブレながら動くことが不快なのです。そのブレ幅が非常に少ないと、魚も暴れないし、釣りやすくなります。この時、ハイパワーXティップの穂先が安定した取り込みにひと役買っています。ここは、へら竿の弱かった部分で、ちょっとモタついたりすると魚に潜られる隙を与えてしまうんです。今、魚が大型化しているので穂先を繊細にすると釣り味はいいかも知れないけれど、取り込みに対してデメリットが生じてきやすかったんですが、開発に携わって、製法で両得となる性能が実現できないかなと考えていたら、魚が潜らなくて安定していて、力まないで取り込めるものができたんです。ちょっと専門的な話になりますが、スパインがほとんど出ないっていうのがすごいんですよ。スパインって何かっていうと(パーツを曲げながら)回してみて、ちょっと硬い所って必ずあるんですよ、普通に作ると。ただスパイラルXコアで作ると、ほとんど分からないんですよ。これはすごい。だからつぶれとかネジれに強くて竿もブレないっていうのが分かるっていうか、硬い所がない。これはね、非常にすごいと思います」
伊藤さとし SATOSHI ITO
「竿の長さによって『軽い』のニュアンスが違ってくると思うんですよね」
伊藤氏は『飛天弓 閃光LⅡ』が8~16.5の7アイテムを加えて全16アイテムになったことについて、それぞれの長さで、軽さとの関係性から得られる効果を語りました。
「18~30における長竿の軽さは、攻められなかった所『沖に深く』が届くようになるメリットがありますよね。私は、そこに魚がいると分かっていて竿の長さでためらいはしませんが、18、19.5、21に対して多くの人が『長いな…』と抵抗を感じているのは理解できます。『飛天弓 閃光LⅡ』の軽さは、この精神的なハードル(苦手意識)を低くする効果があり、挑戦しやすくなると思うんですよ」
たしかに、長竿を苦手としている人の意見をリサーチして問題点を挙げてみると「長竿で起こる問題の多くは、バランスのいい振り軽さで解決する」ように思えます。
「そうですね。21以上で22.5、24、25.5、27、28.5、30というアイテムがあるなか、所属会の舟例会などで24は出したとしても、27以上は一般的に未知の領域と思えるはずですよ。そこへ挑めることにより、くすぐられる冒険心、どんなのが釣れるのか、そういうドキドキは魚種を問わず魚釣りに必要な気持ちですよね。厳寒期、年末に戸面原ダムの底釣りで、同行者の若者に28.5の底釣りを体験してもらいましたが驚きの連続だったようで、私もうれしかったんです。新たなる、へらぶな釣りの可能性を感じてもらえたんですからね」
伊藤氏が言うように28.5、30という長さは、竿規定のある管理釣り場へ釣行してきた人にとって新境地になるのでしょうが、超長竿を使うことにより、へらぶな釣りの一連の所作に影響がないのかという不安を覚える人もいることでしょう。
「振り込みはチョウチン釣りなら、何の問題も起こらないでしょう。仮にショート(ウキの立つ位置より、かなり手前にエサが着水してしまうこと)したとしても水中落下に伴いエサはウキの下へ到達するでしょうから、竿先より手前にエサを打ってはいけないという管理釣り場的な規定でもない限り問題はありません。30の竿でタナ2~3本の釣りなんてないだろうし、印旛水系などの平場で30を出すにしたって送り込みはなく、上空を生かす回し振りをすることになります。片手で回して竿を前方へ出す時に、フォロースルーというかフィニッシュは片手をそえた双手のスタイルにはなりますけれどね。『飛天弓 閃光LⅡ』の30は、片手で扱えるから、普通のへらぶな釣りスタイルで釣ることができます」
アワせるときは、双手(もろて)アワセになるのではないかと思っている人もいることに関しては「へらぶな釣りの基本動作は片手で行われ、竿掛に竿を載せて、竿掛の力も借りて(竿掛にも調子があって、反動がアワセを助けている)アワせる動作をしています。『朱紋峰竿掛 二本半物』は3.09mあり『飛天弓 閃光LⅡ』の長竿使いでは、竿掛の長さも重要になってきます。私は通常、竿先を水へ入れる長さとして穂持ちが10cmほど入っている状態にしますが、3番まで水へ入れている人も珍しくありません。竿の先端部分を深く長く入れてしまえば、必然的に双手アワセ(もろてあわせ)になるでしょうね。つまり竿先を水へ入れる長さ、竿掛の長さ、万力の角度が、竿自体の軽さや強さと関わって、そのバランスが取れたら『片手でアワせられる』状態になるのだと思うんです」と解説しています。
「さて追加された8~16.5ですが、この短竿に軽さがどう生きるのかが、みなさん気になるわけですよね。この長さだと投餌は送り込みですし、軽いと風に押されてしまう懸念を否めないのでしょう。ここで発揮されるのが、スパイラルXコアとハイパワーXティップの効果的なバランスなのです。私は実際に強風下で実釣してきたのですが、未だかつてないほど中・短竿は絶妙なバランスに仕上がり、その高い操作性は特筆もので、降雨や強風下など悪天候をモノともしない全天候型で使える調子だと感動しました。風を気にすることなく底釣りでは的確に投餌点が決まり、奇想天外に思えるかも知れませんが、常識で感じる振り軽さから連想する弱さは『飛天弓 閃光LⅡ』に限って、まったく無関係な印象を受けています。私は、そういう意味を込めて『飛天弓 閃光LⅡ』を『軽快』と表現したいし、軽快さで可能になるリズミカルな釣りは、竿の短さで許された重厚感から得られる手応えを楽しむのとは、別次元の『新しい楽しさ』へ導かれるものじゃないかと感じています」
伊藤氏が期待している『飛天弓閃光 LⅡ』の新次元・釣趣は、これから釣り人のみなさんに『飛天弓閃光 LⅡ』を使い込んでいただきながら共に探していきたい分野ですが、おぼろげながら、軽快な楽しさは想像上にあります。
「楽しいことを分かち合いたいという気持ちもあって『飛天弓 閃光LⅡ』の軽さは、レディースやシニアといった非力な人にも長竿を気軽に振っていただける前向きな要素になると思ったんですよね」
8~30尺まで軽快に使えるへら竿の登場によって、老若男女が今まで以上に楽しいへらぶな釣りへ挑戦することに貢献できたなら、それは喜ばしいことです。
「斬新なデザインも、新しい時代を感じさせる要素になっています。戸面原ダムで20代の釣り人と舟を並べましたが、その若者が『飛天弓 閃光 LⅡ』をカッコいいと価値観の共感を得られたのは大きいです。しっとり綾織握りIIのグリップカラーもいいですよね。ハイパワーXティップの穂先も外観の仕上がりがレインボーで、こだわりを感じます。レインボーチタンセラミックコート仕上げは、2代目の飛天弓 閃光を彷彿させますが、懐古趣味ではなく明らかに新しいんですよね」
そんな近未来感を覚える『飛天弓 閃光LⅡ』ですが、伊藤氏の使い方は極めて明確でした。
「ひと言でいうなら『手返し優先の釣りスタイル』です。実釣撮影時、放流が行われたばかりの釣り場で、新べらがたまっていることが分かったので『速い釣りを狙ってみましょうか』と打診して、そういうアタリを取るような高回転の手返しをやってみたんですけれど、それなりの速さは出せました。8~12尺までは、競技志向の人が夏に150枚とか釣りたいとき、意識して使用したら疲労軽減につながる気もするんですよね」
ただし、そうした競技志向の釣り人から支持されている従来製品としては「飛天弓 皆空」があります。伊藤氏は、そこの使い分けについて説明を付け加えました。
「『飛天弓 閃光LⅡ』は中型、いわゆる3枚1kgくらいの新べらを含めたターゲットにジャストフィットしているのではないでしょうか。それに対して『飛天弓 皆空』は大型のフルパワーに耐えうる強引なやり取りが可能なので、型をひとつの目安にしてもいいでしょう」
そういう意味では『飛天弓 閃光LⅡ』の短竿と『飛天弓 皆空』を、同じ長さでそろえ、釣行先の型で選択するという手もあります。
「私は竿の軽さを、チャンスにしてもらいたいんです。使用竿が8~10.5で止まって、釣りの幅を広げられないでいる人に、1歩踏み出して12~16.5を振っていただきたい。竿の軽さにより、同じ振り感覚でワンステップ長い竿を振れるわけですから。へらぶな釣りは『振り込み・誘い・アワセ・取り込み』という4つの動作に大別できます。この点で、シマノへら竿は調子の良さと、バランスの高さを誇る仕上がりを実現しています。『取り込み』1つにしても、いなす、取り込むという違う力加減が高次元でこなせており、それはスパイラルXコアがもたらすものだと言えるでしょう」
そう説明する伊藤氏の「チャンスに強い、軽さという性能」について、実感できる具体例を挙げていただきました。
「軽さの何がいいかっていうと『おや、今のはアタリかな』という時に、躊躇なく反射的に手が動いているんですよね。『ミクロのアタリを逃さない』ともでもいいますか。厳寒期の戸面原ダムの舟釣りで25.5の底釣りもしましたが、小さく押さえるアタリにためらいなくアワせている自分に気づいたんですよね。些細なことのようで、アタリに反応できることで回転が上がり釣果もアップするのは想像に難くないでしょう。へらぶな釣りは、竿掛を用いてエサ付けしますが、それ以外の一連の動作は常に片手で竿を持っています。振り込んで投餌、道糸を沈める、アタリにアワせる、ためて取り込む…これは全て片手の作業です。軽量ロッドであることのメリット、恩恵がありますよね。私個人の思いですが、軽さがバリアフリーにつながるなら、あらゆる人に使って欲しいと強く望みます。それから桟橋や舟の釣りで、悪天候などによって激しく上下動する場合、手持ちして仕掛けを不用意に引っ張らないように対応することがあります。このとき13.5、15、16.5辺りから重さを意識するんですよね。この手持ちで使えるという軽さは、例会釣り師にとっては重要な性能になるのではないでしょうか」
あなたの釣りが変わるかも知れない『飛天弓 閃光LⅡ』を気軽に振って、新たな視野でチャンスをつかんでください。
西田一知 KAZUNORI NISHIDA
野釣り場で美しく輝くレインボーカラー
『飛天弓 閃光LⅡ』を初めて継いだ時、その輝きの美しさに息を飲みました。その美観は2代目閃光のレインボーカラーを意識したと言うけれど、2代目に比べて色味が強く、さらにグリップまで色が入っているから現代のデザインとしての圧倒的な存在感があります。
実際に山上湖の舟上で『飛天弓 閃光LⅡ』を振ると、夏空と緑に映えるブランクスがきらめいて本当に美しく、透明度の高い湖の湖面へ穂先を差し込んでアワせたら水切れの清々しさで、穂先が跳ね返した飛沫すら美しく感じました。
使いやすい長竿を追求
そして最終モデルでの実釣。私は合わせた直後のやり取りの時、特に魚を浮き上がらせる時に『スパイラルXコア』が働き、曲げれば曲げるほどパワーが湧き出てくることを感じました。また玉網入れの瞬間にはハイパワーXティップが働いて、魚に遊ばれるのを防いでくれました。またハイパワーXティップがネジレを防ぐことで振り込みの精度が上がったことも印象的でした。竿の曲がりを楽しみつつ、超長竿の釣趣をゆったりと楽しむのならば『飛天弓 閃光LⅡ』で間違いありません。バットの上、元上、元も強いせいか、魚が上がりやすくて力強さを感じました。
握りへのこだわり
「しっとり綾織握りⅡ」は長さごとに形状と大きさを検討し、こだわって作られています。その長さの竿を操作するためにしっかり握り込める握り部を追求して、人間工学に基づいたサイズにしていることが閃光Lのような長竿だとよくわかります。握った感覚も前のLと比べてよりしっとり度合いがアップされていると感じました。
軽くても風を切れるへら竿
野釣り会へ入会するとき高いハードルになってしまうのは漕舟と舟着け、そして長竿の扱いでしょうか。「長竿は1日振り続ける道具として重いのではないか」という不安のある人がいますが、果たしてシマノへら竿『普天元 獅子吼』9~10.5を1日振ることに抵抗のある人がいるでしょうか?それならば私の振ったLⅡと、重さは大して変わりません。では、なぜ重いと感じるのか?・・・それは竿のバランスや、風の抵抗を受ける竿の面積の問題だと思います。
実釣当日は、東風の吹く右利きには少し振り込みにくい風向きでした。振り込むためには、風に逆らうわけですが、こういうとき重量感のあるモデルの方が風を切りやすいというのがセオリーです。ところが『飛天弓 閃光LⅡ』は軽い竿でありながらもブレが抑えられているため難なくエサを打つことができたのです。つまり「風の抵抗を受けても重さではなく、竿の張りとバランスで風を切れる」という体験をしたのです。
LⅡの21は苦手意識のある人にこそ使ってほしい
長竿の苦手意識を克服するには練習による慣れが最も近道なのですが『飛天弓 閃光LⅡ』は、その道を加速させてくれるといえるでしょう。
チョウチン釣りはいいとして、沖打ちの振り込みが難しいと感じた人に『飛天弓 閃光LⅡ』を試してもらいたいですね。長竿か・・・と力まないで、気軽に振れる竿なのです。従来は、もう継ぐ前から「21、長い、重い」という先入観があり、さらに風の抵抗を受けると力んでしまうのでしょう。そこで21を振ったことない人に『飛天弓 閃光LⅡ 21』を振ってもらいたいのです。長尺デビューの竿として、21チョウチンからスタートできたら、きっと長竿の面白さに気づいてもらえるはずです。いつかどこかで、みなさんと一緒に『飛天弓 閃光』を並べたいですね。
西田の代名詞「30」の釣りとは
30の釣り(9m)は、まだまだ特殊な釣りです。その水深を狙うシチュエーションが限られていることも理由でしょう。9mの長さになると21(6.3m)との差は3m近いもので、こうなると21とは別世界。そうは言いながらも、ひと頃の30よりは竿の進化で釣りやすくなりました。
問題は、風の抵抗です。3m分の抵抗を受ける訳で、それを『スパイラルXコア』と『ハイパワーXティップ』によって緩和させ、かなり振り込み精度が上がったように思います。このX構造でもたらされる、水切れのよさ、持ち重りの緩和は相当なものです。
バットが太くなれば握りが太くなってギュッと握れ、さらにスパイラルXコア+ハイパワーXティップでエサの位置が分かりやすい。この相乗効果で『飛天弓 閃光LⅡ 30』は、9mという長さから生じるウエイト感を気にせず振り込める製品に仕上がっています。
長竿を持って舟に乗ろう
長竿への苦手意識は、面白いへらぶな釣りの世界を狭めてしまいます。管理釣り場の桟橋や、釣り堀の釣り座で8~9尺の釣りしかしたことがない人は、舟で漕ぎ出してポイントに着けて楽しむダイナミックさを知ることが難しいでしょう。
舟を漕ぐこと、ロープ着け、水棹着け、陸着けという「野釣り入門者にとっての高いハードル」に「長竿の扱いにくさ」も入るのかなと懸念していました。
そのうちの「長竿の扱いにくさ」問題だけは『飛天弓シリーズ』が解決したように思います。
伊藤さとし SATOSHI ITO
ソフトな感覚と軽さが印象的な竿
『飛天弓 閃光 LⅡ』をパッと振ってみた感じ、ウエイトが軽く感じたんですよね。まず、継いでみて前作の21尺よりソフトでバランスがよくなったなと。バランス次第で竿の印象って変わるもので、手持ちの感覚が実際の重量より、軽く感じてくる。釣り竿ってアングラーの感じるものが大事なんです。ソフトで軽く感じた、それが長竿にとってどれだけ重要なことかもアングラーは分かっているものです。
振り込み時、着水までの微調整がシビアに決まる
実際、エサを付けて振り込んでみると、ここで優れた振り込み性能を実感するのだけれど、スパイラルXコアとハイパワーXティップの効果によって、前作以上に操作性が高くなったことに気づくんですよ。送り込みでエサを打ちますよね、すると着水までの微調整がシビアに決まります。「あっ新しい」と思うのはこういう部分です。
『飛天弓 閃光LⅡ』の18、19.5、21、22.5までは、エサを送り込んだときの「抜く」「差す(押し)」が楽々と決まるから、これはハイパワーXティップの性能が発揮されているのだろうなと感じましたね。24以上の長さは基本としてチョウチン釣りで使うだろうから、落とし込むようなシーンが多くて実感しにくいだろうけれど、15~16感覚で22.5までを操作できるのは大変なメリットですよ。
やり取りではスパイラルXが利いてくる
アタってアワせると、穂先が水を切ってグッと胴へ力が入ってくる。
このバットがブレずにしっかりしているのはスパイラルXコアの性能が発揮されているからですよね。ブレとネジレが抑えられているから、ためていると素直に魚が玉網へ収まる。魚群から速やかに引き離し、一直線で手元まで引き寄せられるということを考えて下さい。エサを打って寄せた大事な魚群に対して、最小限の刺激で取り込めるというのは、次投にもチャンスを残すんです。
具体的な使用例
管理釣り場を含めた場合は『飛天弓 閃光LⅡ』18、19.5、21=放流物相手で、手返しが要求される両グルテンなど。山上湖や準山上湖の舟・桟橋はチョウチン。
軽い長竿だから、今まで長さで躊躇していたビギナーや女性、重さで諦めていたご年配にも振っていただきたいですね。15~16の感覚で21を振れるというのは、従来品で15までだったら問題ないという人が使えるということじゃないでしょうか。
この21が振れるっていうのは、いきなり世界が広がるんですよ。
富士山の見える山上湖や準山上湖における舟、桟橋のチョウチン等が視野に入ってくる。管理釣り場でも筑波流源湖や鬼東沼などで楽しめる長さです。魚の型を問わないで楽しめる竿に仕上がっているから、長竿を出せる場所ならば、出しちゃう気持ちになれますよね。
そして超長竿の世界へ
21が振れるようになると、しめたもので、さらに長い竿への抵抗がなくなるはずです。22.5、24、25.5、27、28.5、30という超長竿への道が開けてきます。房総の人気例会釣り場、三島・豊英湖で放流シーズンに例会上位目指して60~70枚を釣ろうとするなら軽い道具の方が合理的でしょう。これらの釣り場は深場の釣りも有名で、厳寒期には30の底釣りというのも侮れない釣り方となっています。
しっとり綾織握りIIでグローブ要らず
これまで長竿を振る人は、グローブが必須アイテムでした。握力を助けるアイテムが必要なくらい、手に負担があったということです。あくまでもボクの個人的な感想ですが、飛天弓 閃光LⅡ/PⅡシリーズは、しっかり握り込むとピタッと手のひらに密着してくる感覚があり、これだとグローブは要らないなと思いました。この感触により、朝から終日使用しても、グローブを使用して釣ったのと変わらず、しっとり綾織握りIIが疲労感の緩和に役立っていることを実感できました。
へらぶな釣りは「エサを付けるとき以外は、ずっと竿を持っている釣り」なのです。握りの大切さは推して知るべしでしょう。
品番
品番 | ||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
品番 |
全長(m) |
継ぎ方式 |
調子 |
継数(本) |
仕舞寸法(cm) |
自重(g) |
先径(mm) |
元径(mm) |
カーボン含有率(%) |
本体価格(円) |
商品コード |
JANコード |
品番 |
全長(m) |
継ぎ方式 |
調子 |
継数(本) |
仕舞寸法(cm) |
自重(g) |
先径(mm) |
元径(mm) |
カーボン含有率(%) |
本体価格(円) |
商品コード |
JANコード |
8 | 2.40 | 並継 | 本調子 | 3 | 86.5 | 37 | 1.1 | 7.7 | 99.2 |
65,600円 |
354624 | 4969363354624 |
9 | 2.70 | 並継 | 本調子 | 3 | 96.5 | 44 | 1.1 | 8.3 | 99.3 |
73,800円 |
354631 | 4969363354631 |
10.5 | 3.15 | 並継 | 本調子 | 3 | 111.6 | 48 | 1.1 | 9.0 | 99.4 |
74,600円 |
354648 | 4969363354648 |
12 | 3.60 | 並継 | 本調子 | 4 | 99 | 55 | 1.1 | 9.6 | 99 |
80,400円 |
354655 | 4969363354655 |
13.5 | 4.05 | 並継 | 本調子 | 4 | 110.2 | 61 | 1.1 | 10.1 | 99.2 |
87,800円 |
354662 | 4969363354662 |
15 | 4.50 | 並継 | 本調子 | 5 | 102 | 64 | 1.1 | 10.9 | 98.7 |
96,000円 |
354679 | 4969363354679 |
16.5 | 4.95 | 並継 | 本調子 | 5 | 111.6 | 75 | 1.1 | 11.3 | 98.8 |
104,000円 |
354686 | 4969363354686 |
18 | 5.40 | 並継 | 本調子 | 5 | 121 | 82 | 1.1 | 12.4 | 98.1 |
108,000円 |
354693 | 4969363354693 |
19.5 | 5.85 | 並継 | 本調子 | 6 | 112.5 | 93 | 1.1 | 12.9 | 97.9 |
119,000円 |
354709 | 4969363354709 |
21 | 6.30 | 並継 | 本調子 | 6 | 120 | 102 | 1.1 | 13.7 | 98.2 |
129,200円 |
354716 | 4969363354716 |
22.5 | 6.75 | 並継 | 本調子 | 6 | 123 | 113 | 1.1 | 14.2 | 98.5 |
139,500円 |
354723 | 4969363354723 |
24 | 7.20 | 並継 | 本調子 | 7 | 114.5 | 125 | 1.1 | 14.7 | 97.9 |
150,000円 |
354730 | 4969363354730 |
25.5 | 7.65 | 並継 | 本調子 | 7 | 121 | 139 | 1.1 | 15.8 | 98 |
160,700円 |
354747 | 4969363354747 |
27 | 8.10 | 並継 | 本調子 | 8 | 114.5 | 152 | 1.1 | 16.1 | 97.8 |
172,800円 |
354754 | 4969363354754 |
28.5 | 8.55 | 並継 | 本調子 | 8 | 120 | 165 | 1.1 | 16.5 | 98 |
183,800円 |
354761 | 4969363354761 |
30 | 9.00 | 並継 | 本調子 | 9 | 114 | 193 | 1.1 | 16.9 | 97.8 |
199,500円 |
354778 | 4969363354778 |
※元径の数字は握りの直上の外径を表示しています。