「竿の長さによって『軽い』のニュアンスが違ってくると思うんですよね」
伊藤氏は『飛天弓 閃光LⅡ』が8~16.5の7アイテムを加えて全16アイテムになったことについて、それぞれの長さで、軽さとの関係性から得られる効果を語りました。
「18~30における長竿の軽さは、攻められなかった所『沖に深く』が届くようになるメリットがありますよね。私は、そこに魚がいると分かっていて竿の長さでためらいはしませんが、18、19.5、21に対して多くの人が『長いな…』と抵抗を感じているのは理解できます。『飛天弓 閃光LⅡ』の軽さは、この精神的なハードル(苦手意識)を低くする効果があり、挑戦しやすくなると思うんですよ」
たしかに、長竿を苦手としている人の意見をリサーチして問題点を挙げてみると「長竿で起こる問題の多くは、バランスのいい振り軽さで解決する」ように思えます。
「そうですね。21以上で22.5、24、25.5、27、28.5、30というアイテムがあるなか、所属会の舟例会などで24は出したとしても、27以上は一般的に未知の領域と思えるはずですよ。そこへ挑めることにより、くすぐられる冒険心、どんなのが釣れるのか、そういうドキドキは魚種を問わず魚釣りに必要な気持ちですよね。厳寒期、年末に戸面原ダムの底釣りで、同行者の若者に28.5の底釣りを体験してもらいましたが驚きの連続だったようで、私もうれしかったんです。新たなる、へらぶな釣りの可能性を感じてもらえたんですからね」
伊藤氏が言うように28.5、30という長さは、竿規定のある管理釣り場へ釣行してきた人にとって新境地になるのでしょうが、超長竿を使うことにより、へらぶな釣りの一連の所作に影響がないのかという不安を覚える人もいることでしょう。
「振り込みはチョウチン釣りなら、何の問題も起こらないでしょう。仮にショート(ウキの立つ位置より、かなり手前にエサが着水してしまうこと)したとしても水中落下に伴いエサはウキの下へ到達するでしょうから、竿先より手前にエサを打ってはいけないという管理釣り場的な規定でもない限り問題はありません。30の竿でタナ2~3本の釣りなんてないだろうし、印旛水系などの平場で30を出すにしたって送り込みはなく、上空を生かす回し振りをすることになります。片手で回して竿を前方へ出す時に、フォロースルーというかフィニッシュは片手をそえた双手のスタイルにはなりますけれどね。『飛天弓 閃光LⅡ』の30は、片手で扱えるから、普通のへらぶな釣りスタイルで釣ることができます」
アワせるときは、双手(もろて)アワセになるのではないかと思っている人もいることに関しては「へらぶな釣りの基本動作は片手で行われ、竿掛に竿を載せて、竿掛の力も借りて(竿掛にも調子があって、反動がアワセを助けている)アワせる動作をしています。『朱紋峰竿掛 二本半物』は3.09mあり『飛天弓 閃光LⅡ』の長竿使いでは、竿掛の長さも重要になってきます。私は通常、竿先を水へ入れる長さとして穂持ちが10cmほど入っている状態にしますが、3番まで水へ入れている人も珍しくありません。竿の先端部分を深く長く入れてしまえば、必然的に双手アワセ(もろてあわせ)になるでしょうね。つまり竿先を水へ入れる長さ、竿掛の長さ、万力の角度が、竿自体の軽さや強さと関わって、そのバランスが取れたら『片手でアワせられる』状態になるのだと思うんです」と解説しています。
「さて追加された8~16.5ですが、この短竿に軽さがどう生きるのかが、みなさん気になるわけですよね。この長さだと投餌は送り込みですし、軽いと風に押されてしまう懸念を否めないのでしょう。ここで発揮されるのが、スパイラルXコアとハイパワーXティップの効果的なバランスなのです。私は実際に強風下で実釣してきたのですが、未だかつてないほど中・短竿は絶妙なバランスに仕上がり、その高い操作性は特筆もので、降雨や強風下など悪天候をモノともしない全天候型で使える調子だと感動しました。風を気にすることなく底釣りでは的確に投餌点が決まり、奇想天外に思えるかも知れませんが、常識で感じる振り軽さから連想する弱さは『飛天弓 閃光LⅡ』に限って、まったく無関係な印象を受けています。私は、そういう意味を込めて『飛天弓 閃光LⅡ』を『軽快』と表現したいし、軽快さで可能になるリズミカルな釣りは、竿の短さで許された重厚感から得られる手応えを楽しむのとは、別次元の『新しい楽しさ』へ導かれるものじゃないかと感じています」
伊藤氏が期待している『飛天弓閃光 LⅡ』の新次元・釣趣は、これから釣り人のみなさんに『飛天弓閃光 LⅡ』を使い込んでいただきながら共に探していきたい分野ですが、おぼろげながら、軽快な楽しさは想像上にあります。
「楽しいことを分かち合いたいという気持ちもあって『飛天弓 閃光LⅡ』の軽さは、レディースやシニアといった非力な人にも長竿を気軽に振っていただける前向きな要素になると思ったんですよね」
8~30尺まで軽快に使えるへら竿の登場によって、老若男女が今まで以上に楽しいへらぶな釣りへ挑戦することに貢献できたなら、それは喜ばしいことです。
「斬新なデザインも、新しい時代を感じさせる要素になっています。戸面原ダムで20代の釣り人と舟を並べましたが、その若者が『飛天弓 閃光 LⅡ』をカッコいいと価値観の共感を得られたのは大きいです。しっとり綾織握りIIのグリップカラーもいいですよね。ハイパワーXティップの穂先も外観の仕上がりがレインボーで、こだわりを感じます。レインボーチタンセラミックコート仕上げは、2代目の飛天弓 閃光を彷彿させますが、懐古趣味ではなく明らかに新しいんですよね」
そんな近未来感を覚える『飛天弓 閃光LⅡ』ですが、伊藤氏の使い方は極めて明確でした。
「ひと言でいうなら『手返し優先の釣りスタイル』です。実釣撮影時、放流が行われたばかりの釣り場で、新べらがたまっていることが分かったので『速い釣りを狙ってみましょうか』と打診して、そういうアタリを取るような高回転の手返しをやってみたんですけれど、それなりの速さは出せました。8~12尺までは、競技志向の人が夏に150枚とか釣りたいとき、意識して使用したら疲労軽減につながる気もするんですよね」
ただし、そうした競技志向の釣り人から支持されている従来製品としては「飛天弓 皆空」があります。伊藤氏は、そこの使い分けについて説明を付け加えました。
「『飛天弓 閃光LⅡ』は中型、いわゆる3枚1kgくらいの新べらを含めたターゲットにジャストフィットしているのではないでしょうか。それに対して『飛天弓 皆空』は大型のフルパワーに耐えうる強引なやり取りが可能なので、型をひとつの目安にしてもいいでしょう」
そういう意味では『飛天弓 閃光LⅡ』の短竿と『飛天弓 皆空』を、同じ長さでそろえ、釣行先の型で選択するという手もあります。
「私は竿の軽さを、チャンスにしてもらいたいんです。使用竿が8~10.5で止まって、釣りの幅を広げられないでいる人に、1歩踏み出して12~16.5を振っていただきたい。竿の軽さにより、同じ振り感覚でワンステップ長い竿を振れるわけですから。へらぶな釣りは『振り込み・誘い・アワセ・取り込み』という4つの動作に大別できます。この点で、シマノへら竿は調子の良さと、バランスの高さを誇る仕上がりを実現しています。『取り込み』1つにしても、いなす、取り込むという違う力加減が高次元でこなせており、それはスパイラルXコアがもたらすものだと言えるでしょう」
そう説明する伊藤氏の「チャンスに強い、軽さという性能」について、実感できる具体例を挙げていただきました。
「軽さの何がいいかっていうと『おや、今のはアタリかな』という時に、躊躇なく反射的に手が動いているんですよね。『ミクロのアタリを逃さない』ともでもいいますか。厳寒期の戸面原ダムの舟釣りで25.5の底釣りもしましたが、小さく押さえるアタリにためらいなくアワせている自分に気づいたんですよね。些細なことのようで、アタリに反応できることで回転が上がり釣果もアップするのは想像に難くないでしょう。へらぶな釣りは、竿掛を用いてエサ付けしますが、それ以外の一連の動作は常に片手で竿を持っています。振り込んで投餌、道糸を沈める、アタリにアワせる、ためて取り込む…これは全て片手の作業です。軽量ロッドであることのメリット、恩恵がありますよね。私個人の思いですが、軽さがバリアフリーにつながるなら、あらゆる人に使って欲しいと強く望みます。それから桟橋や舟の釣りで、悪天候などによって激しく上下動する場合、手持ちして仕掛けを不用意に引っ張らないように対応することがあります。このとき13.5、15、16.5辺りから重さを意識するんですよね。この手持ちで使えるという軽さは、例会釣り師にとっては重要な性能になるのではないでしょうか」
あなたの釣りが変わるかも知れない『飛天弓 閃光LⅡ』を気軽に振って、新たな視野でチャンスをつかんでください。