2022/09/27
コラム
吉田康雄impression「飛天弓閃光PII」軽量パワーロッドの新たなる高みへ
七代目となる、「飛天弓 閃光LⅡ」&「飛天弓 閃光PⅡ」。
伝説のレインボーカラーの復刻とともに早くも大いに話題を振りまいているが、吉田康雄が今、各地の釣り場で盛んに使い込んでいるのが「飛天弓 閃光PⅡ」である。
「もちろん超軽量の『LⅡ』も最高なんですが、ここのところパワー系の釣行が続いているので、もっぱら相棒は『PⅡ』となっています。最高ですよ。」
管理釣り場のパワー釣法から、大河川での豪快な野釣り、そして、ダム湖での巨べら釣りまで―――。
今、吉田康雄の「右腕」となっている「飛天弓 閃光PⅡ」の全貌に迫る。
「スパイラルXコア」&「ハイパワーXティップ」がもたらしたもの
先代六代目から超軽量を目指した「L」と、軽さは維持しつつもパワーに特化した「P」との2系統に分化させることで釣り人が自分に最適な長竿を選びやすくなった閃光シリーズが、レインボーチタンセラミックコートをまとって鮮やかな進化を遂げた。それが七代目「閃光」、「飛天弓 閃光LⅡ」&「飛天弓 閃光PⅡ」である。
そして今、吉田康雄が最もそのポテンシャルを体感しているのが、「パワー」の「PⅡ」だ。
「ちょうどパワー系のロケが重なったこともあって、僕の場合、今のところ『LⅡ』より『PⅡ』の方を使い込んでいます。すでに色々な釣り場に持ち込みましたが、控えめに言って『最高』の一言ですよ。」
メジャートーナメントの地区予選を初めて抜けた時の竿が二代目「閃光」、あの「レインボー」だったという吉田。閃光シリーズに寄せる信頼感、思い入れは並々ならぬものがあるという。
「やっぱりこのレインボーカラーは特別ですね。あ、これこれって感じです。ただ二代目のレインボーカラーをそのまま持ってきているだけじゃなくて、クオリティそのものもアップデートされていますし、先のほうはより鮮やかに、そして手元はキズから守るクリアー塗装を施した渋めの発色にして全体的な色のバランスがギンギラギンになり過ぎないように整えてあるのもニクいです。」
さて、そんな「レインボーカラー復刻」が話題さらっている7代目「閃光」シリーズだが、実は、その中身は長年のノウハウの蓄積に裏打ちされた、まさに「別物」と言える進化を遂げているのである。
その中心にあるのはもちろん、「スパイラルXコア」そして、「ハイパワーXティップ」という技術だ。
「この『スパイラルXコア』という竿の基本構造はすでに他の竿でも採用されて好評を得つつ熟成を重ねてきた技術ですが、ついに真打ちである『閃光』シリーズに投入されたな、という感じです。もう単純に、竿自体のパフォーマンスが一段も二段も上乗せされた感覚です。具体的には、『ネジレ』『ツブレ』といった、竿を操作している時に釣り人か感じる『違和感』が、まず徹底的に無くなっていること。そして釣り手が体感できる部分だけではなく、実際に大型のへらぶなも抵抗せずにスーっと勝手に浮き上がってくるかのような、そんな不思議なスムーズ感を存分に味わえます。特に軽量長尺ロッドというのはある種極限までカーボンは薄くしたいわけじゃないですか。ただ、薄くすればするほど、当然ネジれやすくなり、ツブれやすくなるわけです。それを肉厚にして解決するのではなく、軽さを維持しながら解決する技術、それが『スパイラルXコア』なんです。ですから、まさに閃光シリーズのためにあるような技術。それが長年の熟成を経て満を持して投入されたという感じです。
さらにもうひとつ、「ハイパワーXティップ』の搭載も非常に利いていると思います。これは主に竿の先端部分、細くなるところを強化する技術で、やはり細さ、軽さを維持したまま『強さ』を付加することに成功しています。釣り手の体感的には、振り込み時の竿先が垂れない感覚、エサの着水までの操作性、アワせた時の気持ちのいいシャープな水切れ感、そして何と言っても最大の利点は、魚が掛かって竿が立ち上がった時、特にタモですくう時の『力感』です。竿が完全に上方向に立ち上がり、タモですくう瞬間…、実はこの時って、穂先のパワーだけに頼るような感覚になってしまうんですね。軽量長尺ロッドというのは軽く仕上げたいので、結果として竿の先にいくに従って細く作らざるを得ない。実はここが今までの軽量長尺ロッドでは大きなウィークポイントになっていたんですが、これが『ハイパワーXティップ』の採用によって、矛盾点を一気に解決されてしまっているんです。細く軽く作って、かつパワーも失わない…。具体的な効果を簡単に言えば、取り込む寸前に潜られるようなことがかなりなくなっているんです。これは本当に気持ちいいですよ。」
「スパイラルXコア」&「ハイパワーXティップ」という二大テクノロジーを得て大幅に進化した「飛天弓 閃光LⅡ」&「飛天弓 閃光PⅡ」。今までの軽量長尺ロッドでは諦めざるを得なかった軽さと強さの両立が、高い次元で成立しているのだ。
大幅に洗練された、パワーの「PⅡ」。
さらに吉田は、パワー部門を受け持つ「PⅡ』こそ、「スパイラルXコア」&「ハイパワーXティップ」の恩恵が大きいという。
「軽さと強さの両立というと、『LⅡ』の方がその恩恵が大きいような気がします。確かにそれは合ってはいるんですが、今回に限っては『PⅡ」が得た恩恵の方が大きいのではないかと僕は感じています。どういうことかというと、パワーを受け持つ『P』ということで、多少の軽さは犠牲にしても竿自体を肉厚にしたり、径を太くしたり…というのが先代の『P』でした。実際、振り比べてみても、『P』の方にかなりの『ゴツさ』を感じていたのは事実です。それがいいという意見もありましたが、僕的にはやや「やり過ぎ』な感もありました。それが今回の『PⅡ」に関しては、そんな「やり過ぎ感』が完全に払拭されているんです。これは紛れもなく『スパイラルXコア』&『ハイパワーXティップ』の恩恵ですよ。振った感触に「ゴツい」という印象が全然なくて、良い意味で全然普通なんです。これなら変に気負うことなくあらゆる場面で振れると思います。
こうなると、前作より『LⅡ』にするか『PⅡ』にするかで悩む場面が出てくるのも事実。ただそれは贅沢な悩み、楽しい悩みとして受け止めてもらえれば幸いです。」
もちろん「スパイラルXコア」&「ハイパワーXティップ」だけではなく、握りには「しっとり綾織握りII」が採用されて「閃光LⅡ &PⅡ」専用にチューンが施される等、細部に渡るブラッシュアップに手抜かりはない。この握りの微妙な形状も、特に「PⅡ」においては実際に釣り手が感じ取る「竿の重量感」に大きく関わっているファクターで、徹底的に煮詰められている。
「おそらくみなさんが釣り具店等で初めて『PⅡ』を継いで振ってみた時、とても驚くと思います。とても軽く感じるからです。これは実際の竿の重量云々ではなく、握りも含め、『実際に継いで振った時に感じる重量感』を最も重視して竿が設計されている証です。もちろん、振り比べたら同じ尺数なら『LⅡ』の方が絶対的に軽やかです。ただ、ちょっとだけ腕力に自信がある人なら、むしろ『PⅡ』の方が軽く『感じられる』と思います。先調子的な感覚がある分、竿がシャンとしているので、そう感じられるんですよね。なので、とにかく購入の際は前作以上に『LⅡ』と『PⅡ』をじっくりと振り比べられることをおすすめします。単に軽さ、パワー…というイメージだけで決めるのではなく、自分にあった方を選んでもらった方が良いと思います。それくらい、今回の『PⅡ』は洗練度が大幅にアップしているんです。」
管理に、大河に、ダム湖の巨べらに…。活躍の場が無限に広がった「PⅡ」。
ついに完成した「飛天弓 閃光PⅡ」を手にして以降、吉田はあらゆるフィールドでその「完成度」を満喫しているという。
「まずは定番であり管理釣り場でのペレ宙&ペレ底ですよね。竿いっぱいではなく、ちょっと沖を狙うような釣りでは特に、大幅に向上した振り込み性能が生きて、とにかくノンストレスなんです。こういった釣りだとウキもエサも大きめのものを使いますから、竿が弱いと負けてしまって非常に振り込みづらくなってしまいます。その点、『PⅡ』なら何の不安もないですし、とにかくハンパダナでの落とし込みがビシバシ決まるというのは、とても気持ちのいいものなんです。結果的に釣りにリズムが生まれますし、気分的にもノっていけます。前述しましたが、かといってゴツ過ぎないのもいい。矛盾するかもしれませんが、やはりへら竿らしい細さ、軽さ、そしてしなやかさは使っていて楽しいんです。特に管理釣り場ではそう感じますよね。桟橋の上でも何の躊躇もなくスっとロッドケースから引き抜ける、そんなパワーロッドになっていると思います。」
さらに吉田康雄といえば、豪快な野釣りも信条。そして早くもさまざまなフィールドで「PⅡ」の出番が増えているという。
「先日取材で行った利根川本流みたいなワイルドな場所でも、『PⅡ』は最高でしたね。へらぶな以外にも…いや、へらぶなはほとんど釣れないので、主に相手にするのがマブナ、コイ、アメリカナマズ、そして大きなレンギョ…ということになるんですが、実際、それらの魚をたくさん釣りましたが、何の不安もありませんでした。確かにレンギョや巨ゴイが多く来るような釣り場ならば『ボーダレス』のような竿の方が安心感はあると思います。でも、そこまででなければ『PⅡ』で何の問題もないですね。竿が細身な分、風や流れにも強くて取り回しもいいですから。
あと、亀山湖のようなダム湖の巨べら釣りにも何度か使いましたが、最高でしたよ。こちらはとにかく仕掛けやエサが大きくなるのでパワー系ロッド必須なのですが、『PⅡ」はパワーがあるだけでなく、軽く、そして竿自体は『普通のへら竿』としての扱いやすさがあるので、1日中振っていてもとにかく疲労感が少ない。当然、へらぶなを釣るより振り込んで待っている時間の方が圧倒的に長いわけですが、それでも、振り込みが気持ちよくないと釣り自体が楽しくないんですよ。その点、『PⅡ」はやはりハンパダナでの振り込みも楽ですし、振っていて違和感がない。だから1日の釣りが圧倒的に楽しくなるんです。オデコは当たり前の釣りですので、これってけっこう重要ですよ。しかしもちろん、巨べらを掛けた時の力強さ、そしてバラシ知らずのしなやかさも最高でした…と話しているだけでもまたすぐに行きたくなっちゃうくらい、バッチリでした。やっぱり竿がいいと、釣りそのものが楽しなりますし、また行きたくなっちゃいますよね。」
「飛天弓 閃光PⅡ」を得て、ますますその釣り人生が充実している感のある吉田康雄。きっと今日もまた、「レインボー+オレンジ」の竿を煌めかせて、各地のフィールドを飛び回っていることだろう。
関連記事
RELATED COLUMN