2024/12/26
コラム
名手の推し竿【My Favorite Rod】西田一知impression「年間出動回数最多」の相棒「飛天弓 閃光PII」
野釣り&長竿の名手として知られる西田一知。そんな西田が盛期のボートフィッシングで欠かすことの出来ない「相棒」として使用し続けている軽量パワーロッドの雄、「飛天弓 閃光PII」。西田が使い込んだ今、実感を込めて2024年の暖気の釣りを振り返る。
野釣りの名手、長竿の権化として知られる西田一知。
その西田が最も信頼を寄せ、「相棒」としてともにフィールドを駆け回っているのが「飛天弓 閃光P II」だ。
「とにかく最高の竿です。前作の『P』から大幅に進化して、より扱いやすい軽量パワーロッドに仕上がっています。暖季の自分の釣行は『ヤマ』と呼ばれる山上湖や準山上湖などの湖水でのボートフィッシングがメインになります。そして釣り方も大好きな長竿チョウチン両ダンゴが主力になってきます。そこで手離せない相棒になっているのが、この『PII』なんです。間違いなく出動回数は年間最多ですね」
西湖、精進湖、河口湖…といった富士方面の「ヤマ」、あるいは三名湖のような競技野釣りが盛んな魚影の濃い準山上湖が釣行のメインとなる初夏から晩秋にかけて、西田のロッドケースには間違いなく「飛天弓 閃光P II」がスタンバイしている。釣り方はもちろん、西田の十八番、超攻撃的なチョウチン両ダンゴだ。時に早いアタリも果敢に取りに行く西田の釣りにとって、まずは軽量で取り回しよく、かつパワー溢れる長竿は必須なのだ。
LIIとの使い分け
閃光シリーズといえば、現在、軽さを全面に押し出した「飛天弓 閃光LII」と、軽さを保持しながらも「パワー」に振った「飛天弓 閃光PII」の2系統がある。当然「どちらを選んだらいいのか?」というユーザーのみなさんの率直な悩みがあることだろう。まずはその点について西田に聞いてみた。
「選ぶ基準としては、自分はどのようなシチュエーションで使う場合が多いかと、あとは自分自身の腕力や、好む釣り方にも関係してくると思います。
まず自分の場合、釣行のメインがボートでの長竿チョウチンになるので、一見すると『軽さ』を重視するように思われるのですが、実はそうではないんです。釣り方が竿いっぱいのところにウキがあるチョウチンということもあるので、振り込みに関してはそこまで神経質にならなくて済むので、そこで『軽さ』という要素が薄まるんですよ。逆に多少重くてもいいので、魚を掛けた時のパワーや、またこれが大事なんですが、風が吹いた時に竿が『押されない』という要素が欲しいんです。軽すぎる竿は、エサの振り込みの時に風を切れず、風に負けちゃうんですよね。ですので、そういった意味でも『PII』がベストなんです。
ただ、絶対的に腕力に劣る方には『LII』をおすすめしています。釣り方とかなんとかより、特に長い竿は、まずは竿を『振れること』が大切ですからね。やはり『LII』の絶対的な軽さは魅力的です。それに今の『LII』はただ軽いだけでなく、長年にわたる閃光シリーズでのノウハウの蓄積によりバランスも整えられていますので、十二分にパワフルでもあるんですよ…って、こんなことを言ったらまた迷わせてしまいますね。
とにかく軽い竿がいいということであれば『LII』。例会使用が多かったり、さほど軽量性を重視しないのであれば『PII』…という感じでいいと思います。あとは実際に釣具店さん等で同じ長さの『LII』と『PII』を振り比べていただいて、その第一印象で決める…というのアリかと思います。案外、それって当たっていたりするので」
大幅に洗練された『P』の使い勝手
前シリーズで「L」(軽さ)と「P」(パワー)の2系統に分かれた閃光シリーズ。往年のレインボーカラーが復活した現作の「PII」では、前作の「P」に比べて大幅に洗練度が増しているのだという。
「前作の『P』は、正直ゴツ過ぎる感覚がありました。見た目も太かったですし、何より重量もなかなかで、『これなら閃光ではない他の竿でもいいかな…』と感じたのも事実です。特に長めのアイテムはそんな感じでした。しかし今回の『PII』は良い意味で普通になったというか、『LII』に寄った感じがあって、あらゆる釣り場ですんなり出せる竿に仕上がっていると思います。例えば管理釣り場などでも、ペレ宙や底釣りに使ってもらって何も違和感のないような竿になっています。まあその点においても前作より『LかPか』で悩ましくもなったのですが、実際、管理釣り場で『PII』を使っている方もたくさん見ますし、その釣り姿に違和感もない。選択肢が広がったという意味では、大変喜ばしいことだと思うんですよね」
主力はズバリ、19.5~22.5。24はダム湖での巨べら狙いのマッシュなどで
西田が強調するのは、「この『PII』のパワー感は、単純な硬さや太さで出しているのではない」という点だった。
「『スパイラルXコア』を軸とする技術の進歩によって、パワーを出すのに竿自体を硬くする必要がなくなった…とでも言いましょうか、むしろ逆に大きな弧を描いて『曲げる』ことで強さが発揮されるような設計になっているんです。だからこそ硬くしたり太くしたりする必要がなくなった、とも言えるんですよね。
振ってみてすぐ分かるのが、とにかく『ブレない』ということなんです。それは何も魚が掛かった時だけじゃなくて、エサを打つ時も、スーっと気持ちよくエサが空中で糸を引くように飛んでいってくれる。これはまさに『スパイラルXコア』によって竿がブレないことによる効果で、これは誰にでも感じてもらえる進化だと思うんですよ。
さらには『ハイパワーXティップ』の効果で穂先も非常に強くなっていますので、指先で感じる操作性…というか、振り込みも取り込みも、へらの動きが細部まで分かるような、そんな感触があるんです。これもまた前作からの大きな進化ですよね。
「飛天弓 閃光PII」には15、16.5、18、19.5、21、22.5、24というラインナップがあるが、西田がボートでチョウチンの釣りを行う場合、主力となるのはズバリ、19.5、21、22.5の3アイテムであるという。
「自分の場合、基本短めの竿でチョーチンはやらないので、やはり長めのところがメインになります。一番使うのは19.5で、22.5も出動回数が多いですかね。24も使わなくはないんですが、ここまで長くなるとやはり軽量性を重視しますので、『LII』にいくことが多いです。『PII』の24は、例えばダム湖の巨べら狙いで深宙のマッシュとか、そういう時に使うことが多いです。『LII』の24でもいいんですが、やはり狙うのが50cmクラスの巨べらとなれば、多少重くても『PII』のパワーが欲しくなります。振り込み回数もそこまで多くなくなるので、それも『PII』にする理由ですかね」
ボートフィッシングでの数釣りだけでなく、「一生に一枚」の巨べら釣りも嗜む西田。そんな「剛」の釣り師にとって、もはや「飛天弓 閃光P II」は欠かすことのできない「最高の相棒」となっている。
西田のお気に入り「握り」
あと個人的に非常に気に入っているのが『握り』です。基本構造は『しっとり綾織握りII』をベースに着実にブラッシュアップされていて、とにかく釣っていて快適なんですよ。実は自分は掌が普通の人よりかなり小さくて、まあ握力だけは強いんですが、へら竿の握り自体、ガッチリと握り込むことが出来ないんですよ。で、どうしているかというと、掌の上に載せるような感じでアタリを待って、アタった瞬間だけパっと力を入れる…という感じなんです。その時、掌に張り付いてくれるような感触がすごく大切で、少しでも滑る握りは絶対に使えないんです。その点、この閃光シリーズの『しっとり綾織握りII』は長い年月の間に細かな改良を重ねてきているので、掌に張り付くような感触がものすごく快適なんです。他にもエサがこびりつきにくいような表面加工も施されていて、この閃光シリーズの握りは本当にお気に入りですね。
プロフィール
西田 一知 (にしだ かずのり)
[インストラクター]
野釣り例会で知られる名門『関東へら鮒釣研究会』会長。
ためらいなく飛天弓閃光LⅡ30を操る猛者として知られ、同研究会では1997、2009、2010、2011年に年間優勝を決めて史上5人目の横綱に昇進した。
他『コンテンポラリー・リーダーズ』に所属し『KWC』会長も務める。
巨べら狙いにも熱心で、50上を仕留めている。
関連記事
RELATED COLUMN