サーフのルアーゲームと言えば、ヒラメやシーバスといった大型フィッシュイーターを連想するだろう。ヒットした瞬間に伝わる大きな衝撃と、大物ならではのパワフルな引きが多くの釣り人を虜にする。しかし、サーフの主役は大物に限らない。小さくとも力強く、そして美しい容姿が魅力の“シロギス”も好敵手だ。
「エサ釣りじゃなくて、ルアーでシロギス?」と思うかもしれないが、近年人工エサの開発が進み、イソメなどの虫エサそっくりな疑似餌“ルアー”として使われるシーンが多くなった。もちろんシロギスの投げ釣りでも活躍しており、活きエサを購入・維持する手間が省けるだけでなく、動く虫エサが苦手な人でも扱えるアイテムとして関心が高まっている。
そんなルアーを使ったシロギス釣りを楽しんでいるのが、駿河湾から伊豆半島をホームグラウンドとしている新保明弘さん。シロギスがエサを求めて浅場まで入ってくる夏~初秋は、近所のサーフへふらりと出かけて楽しんでいるという。
「シロギスって平均10~20cmの小型魚ですけど、ライトなタックルで遊ぶとコレがおもしろいんです。“ビビビッ”と手元に明確なアタリを感じますし、20cm級なら引きもなかなか! PEラインの進化で飛距離も出ますので、2m前後のショートロッドでのチョイ投げでも十分釣れますよ。そしてなにより、食べるとおいしい!」
そう魅力を語っていただき、実際に釣行したのは8月下旬。フィールドに選んだのは、新保さんの自宅からほど近い島郷海岸。穏やかな沼津の湾内に位置しているためか、シロギスの着きも安定しており地元の投げ釣りファンも多く訪れる。
日の出とともに入釣したのは、海岸中央にあるヘッドランド周辺。流れに変化が生じるこのあたりはシロギスの実績場なのだが、すでに先釣者がいたため少し離れてキャストを開始。
波は比較的穏やかだが、数日前に低気圧が通過したため若干の濁りが確認できる。「あまり良い条件ではないな~」と不安を隠せなかった新保さんだったが、この予感が的中。シロギスの気配は薄く、唯一竿先を揺らしたのはフグだった。長居をしても好転しそうにないので、もう少し海岸の北側へ移動してみることに。