「見た感じが、いかにも釣れそうだよね」
JR八戸線に沿って走る県道からの眺めは、釣り場を見る目に肥えた堀田さんにも魅力的に映ったようだ。
「小規模なサーフに川が流れ込んで、根もあって、釣れる条件が揃ってますよね。そんな海岸が何カ所もある。魚がいるかいないかは、条件にもよると思うけど……」
地元アングラーの案内で、青森県八戸市から岩手県洋野町のサーフを数カ所見て回り、釣行初日の夕マヅメは八戸市の海岸で竿を出すことにした。堀田さんの大ファンという地元アングラーとはフェイスブックで交流があり、「八戸から洋野町の海岸に大量のベイトが入っていて、ヒラメをはじめ海アメや青物が釣れ盛っている」との情報提供があったのが7月の上旬。その翌週に今回の釣行を決定し、地元アングラーにも時間の許す範囲で同行してもらうことになったのである。
「海アメが先に喰ってくるので、ヒラメを狙って釣るのは難しいかもしれません」という地元アングラーの言葉に、海の中はどんなにすごいことになっているんだろうと、妄想を最大限に膨らませて釣り開始となったが、大きくなりすぎた期待に反して魚の反応は皆無。ベイトの姿も目視できない。これはよくある「ついこの前までは大爆釣だったんだけどねぇ」というパターンではなかろうかとの不安が、頭をよぎる。
いくつもの釣り場を見て回り、ようやく竿を出したのは午前10時過ぎ。出発からすでに4時間ほどが経過していた。そして、いよいよここから怒濤の進軍が始まるのである……。
釣りを始めてから2時間以上が経過した19時30分、ようやく堀田さんにヒットしたが、釣れた魚は写真の20数㎝のソゲクラス。以後はまた反応がなくなり、20時に竿を収めることにした。
まったくといってよいほど魚っ気のないなか、辛うじてヒラメを仕留めた堀田さんだったが、「さすがですね」「すごいですね」と感心する地元アングラーの言葉に複雑な笑顔。いかんせん、型が小さすぎる。
「もしかすると、一回入った魚が抜けてるかもしれないですね……」
大きな期待を抱いての東北入りだったが、そう易々とはいかないのがサーフのヒラメ釣り。初めてのフィールドで、しかもタフコンディション。あと2日で、答えは出るのか……。