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2022/12/02

コラム

3日間投げ続けた果てに。 辿り着いた1匹が与えてくれた大きな感動。

ロックショアという青物がターゲットとなるこの釣りにおいて、事前の釣果情報はその日の状況を左右する重要な情報のひとつ。しかしこの情報が良いからといって、当日も簡単に釣れてくれないのが、この釣りの難しくも面白いところだ。今回は赤木光広さんが長崎県の対馬で青物を約3日間に渡って追いかけた時の様子をご紹介したい。

県外からのアングラーも多い対馬。サイズも大きく魚影も濃厚な場所。

まず今回の舞台となる長崎県の対馬という場所について解説しておこう。この対馬は、九州の日本海側に浮かぶ離島で、長崎県と韓国の間に位置する。アクセスする際は、福岡県や長崎県から飛行機かフェリーで移動するのが一般的だ。そしてこの対馬の魅力といえば、その魚影の濃さである。青物はもちろん、ヒラスズキやロックフィッシュなど幅広い魚種が生息しており、釣れるサイズも一際大きい物が狙いやすい。県外から訪れる方も多く、当日は大阪から来られたという方もいた。そんな期待膨らむ対馬で、赤木さんは10月上旬に実釣。そこで3日間のうち2日間は沖磯で。最後の1日は時間が許す限り地磯で釣行するというスケジュールで動いた。

いざ沖磯へ。景観に圧倒されつつ期待も膨らむ。

1日目は沖磯への釣行だ。夜明け前に漁港へ集合し、渡船で瀬渡しをしてもらう。移動中、しだいに周囲が明るくなり始めると、海の様子とともに、対馬の岩肌もはっきりと見えるようになった。風化によって荒々しく侵食された様子はまさに壮観。厳しい環境で堂々とそびえ立つ断崖に、自然の力が作り出すものの美しさと歴史を感じずにはいられなかった。そんな思いに浸るのもつかの間。磯へ降り立ったらすぐに実釣開始だ。貴重な朝マズメ。しだいにそのポイントは、激流と化していく。

太陽で釣り場の状況がハッキリと見えるように。期待が膨らまないはずがない。

まるで川でも見ているかのような流れ方。反応が得られずもどかしい時間を過ごした。

激流ポイントを攻める。そこには何かが居るはずなのに。

釣り場は対馬でも南エリアに位置する場所で、その中でも最南端といっても過言ではないポイントだ。「かなりいい流れが効いていますね。きっと青物もいるはずです」と赤木さんの期待も自ずと膨らんでくる。そうしてまずはダイビングペンシルを使って表層から探っていくのだが、良さそうに見える状況とは裏腹に魚の反応がない。しばらくして今度はメタルジグを投入したが、残念なことにこちらも反応が得られなかった。「もしかすると流れが早すぎるかもしれません。これだけ流れが早いとベイトフィッシュも定位できないのかもしれませんね」。と赤木さんは状況を分析した。そうしてひたすら投げ続けたのだが、残念ながら1日目はノーフィッシュで終わってしまった。

磯の足元に群れる魚達。魚の気配は周辺に色濃く漂っていた。

ひたすら投げ続けて1日目は終了。赤木さんの表情にも悔しさがにじみ出る。

天候がガラリと変化した2日目。信じて投げ続ける。

悔しさを抱えて挑んだ2日目。この日も対馬の南エリアにある沖磯で実釣する。この2日目は天候が快晴から曇天へと変わり、磯の周囲にいる小魚の様子から、どこか警戒心が和らいでいるように感じられた。「青物はこのような天候のほうが釣れるイメージが強いです」と赤木さんも、この変化に対して悪い印象はない様子。しかし、いくらキャストを繰り返してもチェイスすらないのだ。それでも時折休憩をはさみつつ、投げ続ける赤木さん。その体力にはこちらも目を瞠るものがあるが、「コルトスナイパーリミテッド」の軽さと高いトラブルレス性能がそれを支えているようにも感じられた。そして午後には雨も強まり、結局2日目もノーフィッシュで終了。まる2日間投げ続けてもアタリすらなし。なんとも悔しい展開だが、釣果は最終日の地磯での釣行に賭けることになった。

天候は雨になり魚の活性はさらに高まっている様子。違うポイントであったがこちらも反応が得られなかった。

ジグとプラグを色々と変えながら反応を探る。投げ続ける赤木さんの体力にも驚きである。

思い切った決断の行方とは。その瞬間はついに訪れた。

「明日の地磯での釣行は北へ移動します」。最終日の予定を話している際に赤木さんからその言葉が出た。この対馬は離島であるが、島の規模感としてはとても大きく、南から北へ移動するにしても車で2時間近く走る必要がある。しかし現状の海の様子から赤木さんは、大きくエリアを変えたほうが釣れると予想した。こうして迎えた最終日。魚は思わぬ形でヒットすることになる。ポイントへは、山道を30分ほど歩いて見つけた地磯。ワンドのような地形になっており、水深も1〜2m前後でそこまで深くないポイントだ。風が強い状況で海面は荒れ模様であり、ベイトの気配も特に色濃いわけではなかった。こうして状況を確かめつつダイビングペンシルをキャストしていた時、ガボッと下から予想外の激しいバイトがあった。「喰った!」その一言で一気に緊張感が高まった。浅い岩場なので潜られてラインブレイクしないよう、パワフルなファイトで釣り上げたのは、サイズこそ大きくはないが、それは紛れもなくヒラマサだった。

エリアを南から北へ大きく変更。ワンド状の開けたポイントに入った。

わずか数投での出来事。思わぬ展開に一気に緊張が走る。

釣れない時にどう動くか。信じて投げ続けることの難しさ。

まさに感無量とはこのことだろう。あっさりとしたヒットであったが、2日間の長かった苦労がようやく報われた瞬間だった。この1匹のおかげで、赤木さんはこれまでの疲れもどこかへ吹き飛んでしまったかのような感動を味わっていた。「この瞬間を待っていました。」赤木さんの表情にもホッとした笑顔が浮かぶ。これまでひたすら投げ続けても反応がなかったのに、釣れる時はあっという間。魚釣りの不思議な所で、このような予想を覆す出来事があるから、期待して投げ続けられたのだと思う。「思い切ってエリアを変えてよかったです。」と赤木さんも言っていたように、釣れない時は大幅にエリアを変えるのも一つの手段だ。
もし仮に自分が同じような状況に遭遇した時に、予想外な展開に期待するか、現実に即してエリアを変えてみるか。迷うところではあると思うが、自然という人には到底コントロールできないものと向き合っている以上、釣れれば幸運。釣れなくともそれはひとつの経験。長い目で見れば、その経験はどちらも正解になり得ると思いたい。赤木さんの苦労の表情が笑顔へと変わった瞬間に、自分を信じて投げ続けることの難しさと、その大切さを改めて認識させられた。

この1匹でこれまでの苦労が報われた。疲れが吹き飛ぶほどの感動だった。

濃密な時間が刻まれた様子がフックサークルから伝わってくる。自宅でこのルアーを見つめ直すのもまた特別な時間になるだろう。

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ロッド

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リール

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ライン

オシア 8 PE 3号

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ライン

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