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2020ステファーノ新製品登場

例年、8月1日に三浦半島剣崎沖が解禁となるころと歩調を合わせ、その年のカワハギ戦線が始動します。昨年は全般にやや低調だっただけに船宿、カワハギファンとも今シーズンへの期待感は大きいはず。さらにシマノから発売されるステファーノの新製品2本は、期待に応える仕上がりを持ってカワハギシーズンを迎え撃ちます。

▲ 爆風となる前の午前中はステファーノリミテッド MH175Aを使用。ベタ底のタナを揺さぶりとゼロテンションで攻略

▲ 当日は新製品2本を持参。上がHHH、下がリミテッド

 8月、シマノのカワハギブランド「ステファーノ」から2本の竿が発売されました。

「ステファーノリミテッド MH175A」と「ステファーノ 攻 HHH173」です。

 言うまでもなく前者はカワハギ竿の最高峰、次元を超えた軽さ、感度、操作性を確立。リミテッドの名称にふさわしい現代カワハギ竿の頂点に君臨する製品です。従来は「175」のワンアイテムでしたが、それに「MH175A」が追加されたのです。

▲ 新製品2本が加わって、カワハギ釣りにステファーノのロッドシリーズは盤石

 一方、カワハギ竿の中でも個性派とも言われる「ステファーノ 攻」シリーズに新たに追加されたのが「HHH173」です。製品名を聞いてピンときた方もいると思います。異端児とも言われたあの伝説の「トリプルH」が、大きくリニューアルされて再登場したのです。

 まずリミテッド MH175Aは、リミテッド175に比べて穂持から元部をやや硬くした調子。オールマイティの175より硬めの設定として速い釣り、つまりアタリに対して喰わせる間を取るのではなく、積極的に掛けにいく調子となっています。

▲ 上がXシートフロントトリガー、下が従来のステファーノシート。リールシートの前にトリガーを配置したのが特徴だ

 ステファーノ 攻シリーズについては、上にあるロッド特性グラフをご覧下さい。HHH173は従来品「ステファーノ SS175」と比べてみれば分かるとおり、対極にある調子です。硬調というより超硬調、手感度と激短カーボンソリッドの微妙な目感度でアタリを取りにいく、マニア好みの竿となっています。

共通項はフロントトリガー

 2本の竿の特性、調子については次回から詳細に説明する予定ですが、共通している機能がシマノが開発した新発想のリールシート「Xシートフロントトリガー」です。

 従来のステファーノシリーズはH177SP(トリガーシート)を除き「フィッティングサポートCI4+シート(ステファーノシート)」でした。軽量化して感度や操作性も向上させた特長を持っていましたが、これをさらにバージョンアップ。文字どおりシート前方にあるトリガーに人差し指、または中指をかけてリールを支持することにより、さらなるホールド力を実現しています。

▲ スナイパー持ちでは右手の中指か人差し指で支える

▲ 通常の持ち方では左手の人差し指か中指で支える

 従来のステファーノシートを更に進化させ、快適なグリップ感を実現した理想的なシートの誕生です。ホールド力のアップは巻き上げ時の安定、仕掛けの操作性、濡れた手でも滑りにくいなど多くの効果を発揮しましたが、特筆したいのが巻上げ力のアップと疲れにくさです。私が試釣時に感じたのはこれまでのシートに比べて「オモリ10号分の軽さ」を実感しました。

 一日の釣りでこのメリットは重要です。入れ喰いに近いときなど自然に手返しが早くなります。加えて疲れません。数センチ単位の微妙な誘いや仕掛け操作も可能です。まさにいいことずくめのリールシートといえるでしょう。

▲ 掛かるのは20~25センチの良型ばかり

 個人的にはマルイカ、フグなど仕掛けの入れ替えが多い釣り物には最適なシートと感じています。釣具店での展示が始まったら、ぜひ一度、グリップしてみてください。次元が変わるシートだと思うはずです。

▲ 後半はHHHを使用。パターンが決まって連チャンもあった

▲ スッポ抜けが防止できるのでキャストも安心

 
NEWモデルを持参して三浦半島久比里出船の釣行

 7月中旬、完成したばかりのステファーノ新製品2本を持って、三浦半島久比里の巳之助丸に出かけました。釣り場は下浦~久里浜沖の水深15メートル前後。南西風が15メートル前後吹き荒れる荒天でしたが、前半MH175A、後半HHH173という使い分けでした。いずれも激短カーボンソリッド+ハイパワーXソリッド、スパイラルXコアの本体は強風にもブレることなく確実にアタリを伝えてくれ、18~28センチ、20センチ以上の良型主体で11枚。大シケの中で船中トップを取れたのも新製品のおかげだと思います。


 カワハギが広く散って、活性も低いこの時期は柔軟な調子で「喰わせる」釣り方がメインとなりますが、目感度、手感度を持つ硬めの竿で確実にアタリを拾っていく釣り方も有効であることを実証できました。


▲ 爆風、食い渋りのなか11枚は上々の成績

ステファーノミリテッド MH175A

新設計ブランクスとスパイラルXコアの相乗効果による軽量化、激短カーボンソリッド+ハイパワーXによる優れたアタリの伝達力、竿本来の性能を引き出すXガイド、そしてXシートフロントトリガーなど、シマノのカワハギロッドテクノロジーを惜しみなく搭載。リミテッド175より速いテンポの釣りが可能。

ステファーノ 攻 HHH173

★同じくスパイラルXコアとナノピッチ、激短カーボンソリッド+ハイパワーX、Xシートフロントトリガー、カーボンモノコックグリップなどを搭載。手感度重視の超硬調アイテムで、宙釣りや攻撃的な釣りに対応。

使用タックル製品情報

ステファーノリミテッド MH175A
ステファーノ 攻 HHH173

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PROFILE プロフィール

鈴木 孝(すずきたかし)

1963年生まれ。カワハギをはじめ、マルイカ、湾フグなど「アタリをとる釣り」に精通。東京都江戸川区在住。釣り歴45年以上。幼少のころから様ざまな釣りに親しむ。船釣りは中学生のころから自宅から近い浦安の吉野屋に通い詰め、ハゼ、シロギス、カレイなど江戸前の小物釣りを楽しむ。現在はカワハギを中心にマルイカ、アナゴ、フグなど釣行は年間70回以上。カワハギ歴は約15年以上。2007年ごろから競技に重点を置くようになり、様ざまな大会に出場するようになる。主なタイトルは2015シマノステファーノグランプリ優勝。シマノインストラクター、チームステファーノ&くろしおマスターズ所属。