42

鈴木流湾フグ釣法 釣り方編

前回は「湾フグ」のおすすめタックル、仕掛けについて解説しました。今回はいよいよ釣り方です。東京湾のショウサイフグ釣り場は比較的平たんな海底を狙います。根掛かりはほとんどしないので、キャストも可能ですが、相模湾腰越沖は様相が一変します。宙を狙うフグ釣りはひと味違ったおもしろさがあります。

▲ スナイパー持ちの長所は小さなアタリも取りやすいこと

▲ 湾フグは本格的シーズンを迎える

 東京湾のフグ乗合は周年の釣り物ですが、季節によって狙うフグの種類が変わってきます。メインは5~10月のショウサイフグで、その後11~4月はヒガンフグに変わり、5~6月は季節限定のトラフグ狙いとなります。

 地区や状況によって多少のズレがありますが、いずれにせよショウサイフグがメインであることには変わりません。とくにこれからは極上の白子を持つシーズンでもあり、もっとも人気が高まります。

 同じく、ショウサイフグの釣り場として徐々に注目されているのが相模湾です。腰越港の池田丸では周年乗合出船していますし、周辺の港からもスポット乗合が開始されています。

 食べては最高の味、独特の仕掛けや釣り方とも相まって、今や私もすっかりハマってしまいました。

東京湾内の釣り方

▲ 大貫沖は10メートル以下の浅場を攻める

 東京湾のショウサイフグ釣り場は主に千葉県側の木更津~大貫沖あたりを狙います。水深は浅い所で5メートル前後、深くても15メートル前後です。海底は平たんな砂泥地で、所どころに根が点在しています。

 タックルと仕掛けは前回、紹介したとおり。オーソドックスなカットウ仕掛けで、まずはオモリ10号からスタートし、浅場で潮が流れないようなら8号、6号と軽くしていきます。アマエビエサはエサ持ちをよくするため、殻の部分を半分ほど残して装着します。

▲ 鈴木さんのアマエビの付け方

▲ 東京湾内ではリアランサーX 湾フグ180の柔軟な穂先が活躍する

 開始直後、移動後の1投目は船下狙いから釣り始めますが、基本的には投げて広く探る釣り方がメインとなります。

 まず仕掛けが着底したら、0.5~1メートルほど巻き上げ(高さ出し)、または空アワセしてその位置からカーブフォールで仕掛けを下ろしていきます。

 フグがエサをつつくアタリは高さ出しの最中に出ることもありますが、多くはカーブフォールの最中に集中します。

 高さ出しのときにくるアタリは、カットウがオモリの下に位置するので、即アワセで構いません。フォール中のアタリは掛けバリがテーリングしている場合もあるので、すぐにアワセてもハリ掛かりしづらくなります。

 基本的にはフォール中のアタリは見送って、オモリが着底してから、ひと呼吸おいてアワセます。

 潮が速いときなどは、オモリが着底してもカットウが浮き上がってしまうこともありますが、前回解説したようにガン玉を打って対処します。

 派手なアワセ、強すぎるアワセはフグを散らすことになります。言葉ではうまく表現できませんが、左手の竿尻を支点とし、右手で竿を持ち上げるようなアワセ、つまりスナイパー持ちの利点を活かしたアワセ方となります。

宙を狙う相模湾の釣り方

▲ デップリ太った良型がメインとなる

 前述したように、相模湾でもフグ人気が上昇しています。腰越港からの出船では腰越沖を中心に江ノ島西沖までを狙いますが、東京湾とは釣り場の状況が異なります。

 一つは水深です。浅い所で12メートル、深場では20メートル台まで狙います。もう一つが底の形状で、平たんなポイント以外に、根の真上を狙う場合があることです。ここでは根の上、つまり宙を狙う釣り方について解説します。

 ポイントは起伏の激しく海藻が生い茂っている所もあり、仕掛けが底に着いたとたんに根掛かり、という場合もあります。

 必然的に船下狙いとなり、まず仕掛けが着底したら最低で50センチ巻き上げます。ここで活躍するのが探見丸です。底の形状、フグの反応も確認できるのでとても重宝します。というより、探見丸なくして宙の釣りは不可能と言えるほどです。

 オモリは10号。仕掛けを宙に浮かすことになるので、チラシ式が効果的。なぜならカットウだけでなく、エサバリに掛ける場合もあるからです。

▲ 相模湾ではチラシ式仕掛けが有効だ

 釣り方は底から仕掛けを離したら、1メートル刻みで5メートルまで誘い上げ、また1メートル刻みで元の位置まで誘い下げるという釣り方です。

 アタリは誘い上げているときはモタレ、誘い下げているときは喰い上げるように現れます。アタリをキャッチした時点で即アワセしても掛かりづらいので、ひと呼吸おいてから、手首を返す程度の小さく鋭いアワセ方となります。

 相模湾独特の宙釣りは一度経験すると病みつきになるはず。かく言う私もその一人です。

▲ トップで10尾台はコンスタント

使用タックル製品情報

ステファーノ 攻 SS175
スティーレ 100XG(右)
ベイゲーム 150DH(右)
タナトル 8

BACK NUMBER バックナンバー

PROFILE プロフィール

鈴木 孝(すずきたかし)

1963年生まれ。カワハギをはじめ、マルイカ、湾フグなど「アタリをとる釣り」に精通。東京都江戸川区在住。釣り歴45年以上。幼少のころから様ざまな釣りに親しむ。船釣りは中学生のころから自宅から近い浦安の吉野屋に通い詰め、ハゼ、シロギス、カレイなど江戸前の小物釣りを楽しむ。現在はカワハギを中心にマルイカ、アナゴ、フグなど釣行は年間70回以上。カワハギ歴は約15年以上。2007年ごろから競技に重点を置くようになり、様ざまな大会に出場するようになる。主なタイトルは2015シマノステファーノグランプリ優勝。シマノインストラクター、チームステファーノ&くろしおマスターズ所属。