前回に引き続き番外編をお送りします。今回はカワハギに次いで釣行回数の多いフグ、それも東京湾がメインとなる通称「湾フグ」における私なりのメソッドを2回に分けて紹介しましょう。産卵期を間近に控えてそろそろ本格的シーズン、あわせてニュースポット相模湾の独特な湾フグ釣法にも触れたいと思います。
▲ スナイパー持ちは湾フグが発祥。たくさんのメリットがある
以前述べたとおり、私のカワハギ釣りのベースとなっているスナイパー釣法は、東京湾のフグ釣りからの応用です。
改めてスナイパー釣法のメリットをあげてみます。
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❶竿を構えると、穂先と目線がほぼ一直線になるので、微弱なアタリ(目感度)を取りやすい。
❷右手を支点にし、左手を竿尻に当てることでアワセ遅れが防げる
❸両手で竿を持つことで、ウネリなどでも竿がブレない(仕掛けが安定する)
などです。カワハギ釣りにも効果的である意味がお分かりいただけると思います。
▲ そろそろ乗っ込みシーズン。5月過ぎから本格化する
タックルと仕掛けの選択
▲ 鈴木さんが自宅でフグ仕掛けを作製するひとコマ
外房~茨城方面のオモリ25~30号、主に2本バリで狙うフグ釣りを「外フグ」と呼ぶのに対して、東京湾内のオモリ10号、1本バリで狙うフグ釣りを「湾フグ」と呼びます。フグ釣りにはもう一つ、内房富津方面で行われている胴付き釣りを「喰わせフグ」と呼んでいます。
今回解説するのは私の釣り歴の中でもカワハギに次いで長い湾フグです。前に述べたとおりスナイパー釣法に関してカワハギより湾フグのほうが長いのは、あとからカワハギ釣りに応用したからです。
まず、湾フグのタックルから。現在メインに使用している竿は、シマノの「リアランサー X ワンフグ180」と「ステファーノ攻 SS175」の2本です。
▲ 上がリアランサー X ワンフグ、下がステファーノ攻 SS175
▲ リアランサーは穂先交換型の変則3本継ぎ仕様
2本の竿に共通しているのは、穂先が細く柔軟でグラスソリッドを採用していること、穂持から胴にかけて掛け合わせるパワーを持った先調子竿であることです。
これは知らぬ間にエサをかじり取る、小さく触れるようなアタリを目感度で表現するため。アタリ即アワセで掛け遅れないためのものです。
使い分けとしては、東京湾大貫沖のように水深が10メートル以内の平場狙い、潮が緩いときにオモリを8号、6号と軽くしていく場合、冬場や活性の低いとき待ちの釣りが多いときにリアランサー。
水深が深く、潮の速いとき、活性の高いとき、また相模湾のように水深20メートル前後を攻めるときはステファーノといった具合。ヒガンフグ専門狙いでもステファーノを使用します。
▲ 右からスティーレ、ステファーノ、ベイゲーム。いずれもハイギア仕様だ
リールは「ステファーノ 100XG」、「スティーレ 100XG」、「ベイゲーム 150DH」など。いずれも共通しているのはハイギアタイプであること。
フォールでのアタリや喰い上げアタリへの対応、カエシのないハリの使用、アタリ即アワセなどを考えると、ハイギアは必要不可欠となります。
道糸は「タナトル8」1号、リーダーは4号3メートルもあればいいでしょう。
湾フグのキモの一つとなるのが仕掛けです。カットウ仕掛けの基本は図にあるとおり、オモリ10号にエサバリ、カットウ1本バリというスタイルですが、私なりの工夫もしてあります。
まずハリスの部分に自動ハリス止めを介しているのは、根掛かりなどによる仕掛けの全損を防止するためです。
ハリスの長さはエサバリの下部からカットウバリの上部まで95ミリ。この長さについては経験からたどりついたもの、これ以上長くても短くても掛かりがよくないと思っているからです。
カットウバリの形状もイセアマ型とキツネバリ型とあります。比較的ハリ先が開いているイセアマ型は掛かりがいいぶんバレやすい特徴があり、活性が低くワンチャンスを生かしたいとき。キツネ型は内側にネムっているので、掛かりやすさよりバレにくさ、つまりアタリの多いときに使用します。
▲ 仕掛けの予備は十分すぎるほど持参する
もう一つがチラシバリ。これはフォールでのアタリが多いとき、とくに相模湾などのように宙層で狙う場合に多用します。アタリが出やすい反面、エサバリに掛かったときはバレやすい欠点もありますが、東京湾内でもかなり有効な仕掛けです。
いずれの仕掛けにもカットウバリの部分にガン玉を打つことがあります。これは誘い下げのアタリを取るとき、カットウバリを先行させ、テーリングさせないためです。
この際、カットウバリの真上にガン玉を打つ場合もありますが、センタースルーのカットウバリならハリの下に打つことも可能で、できればこの方法をおすすめします。
次回は釣り方編。東京湾と相模湾の2カ所の釣り方を解説します。