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ステファーノ新製品での今シーズンのカワハギ攻略

11月に入ってようやく各地のカワハギ模様が上向き、シマノのステファーノシリーズも本格的な出番を迎えたといえるでしょう。今回から新製品2本をメインに使用しつつ、関東エリアの代表的な釣り場の攻略法を解説していきたいと思います。まず、私のホームグラウンド館山沖からです。

▲ 当日は僚船とともに群れを追いかけての釣りとなった

▲ 館山沖は3本の竿を持参し、状況で使い分ける作戦

 少し前まではこのままシーズン終了か、とも思えたカワハギが、ようやく上向いてきました。やはり原因は高水温でしょう、海の中は1ケ月ほど遅れて秋を迎えた感じです。東京湾周辺でもいまだ20度以上もありますが、なんとか例年並みの釣果が出るようになってきました。

 これから釣行を計画している方も多いと思うので、私がすすめる今期のタックル選び、釣り方などを解説してみます。

パイロットはMH175

▲ 当日はMH175で掛けにいく釣り方

 今シーズン、シマノから発売されたのは「ステファーノ リミテッド MH175A」と「ステファーノ 攻 HHH173」の2本です。前者は従来品「ステファーノ リミテッド 175」よりやや硬め、HHHは文字どおり超硬調子。どちらも速い釣りに対応する掛けにいくタイプです。

 ただ釣り場にもよりますが、今の時点では捕食スピードにバラツキがあり、一概に掛けにいくタイプがベストとは言い切れません。

 たとえば東京湾竹岡沖。通常なら軟らかめの竿で、集寄などを使って底中心のタナを横の釣りで攻めていくのがセオリーです。アタリがきたら竿の柔軟性を活かしつつアワセにいけばある程度掛かってくれますが、エサを取られるだけだったり、2度目、3度目のアタリを出さないような場合は、硬めの竿で速めに掛けにいく方法もあります。

 逆に三浦半島剣崎沖は荒根周りを攻め、宙に浮いたカワハギを硬めの竿で掛けていくのがセオリーです。通常は揺さぶりだけで掛かるはずが、なかなかハリ掛かりしない場合、つまりアタリを竿が弾いてしまうようなときは軟らかめの竿で、しなやかに喰わせる方法もあります。

 私の場合、まずMH175をパイロットとして使い、高活性でバリバリとエサを取られたり、宙に浮いた群れを狙うときはHHH。逆に活性が低く、掛けにいくとバレたりするときは「ステファーノ 攻 S180」という使い分けをしています。

 このほかに「ステファーノ 攻 177SP」など常時3本以上の竿を持参していくのは今シーズン、いまだ高水温のせいか釣り場の状況が読みにくいからです。

まるでマルイカ釣り

 11月初旬の休日、釣果急上昇の報を聞いて出かけたのは南房洲ノ崎栄ノ浦港の早川丸です。トップ60枚と聞いてジッとしていられないのは皆さんも同じでしょう。

▲ 2隻の大型船にたくさんのカワハギファン

 この日は2隻出し、ほぼ満船状態での出船、私は左舷ミヨシに席を取りました。まず30分ほど走った館山湾内の水深30メートル、2日前に入れ喰いになったポイントで釣り開始です。館山湾は私のホームグラウンド、数え切れないほど釣行しているので、ある程度状況は読めている……はずでした。

 オモリは30号、例によってスタートはMH175を使用します。ところがまったくアタリのないまま、次のポイントへ移動します。何度目かの移動後、左舷トモから順に竿が曲がり始め、ようやく最後に私の竿にもアタリがきて20センチ級の1枚目を釣り上げます。

 と、2投目はすでにアタリなく、すぐさま移動して次のポイントに着くと、再びトモからアタリがきて最後に私がアタるパターン。そして再び音なしです。

 この釣れ方、まるでマルイカです。船長に話を聞くと、
「反応があってもすぐに消えちゃうんだよ。砂地をグルグル回遊しているみたい。こんなのめずらしいよ」とのこと。

 私もこれまでに何度か経験がありますが、数時間も続いたのは初めて。この群れが一カ所にとどまってくれると2日前の入れ喰いになるのだそうです。

▲ 一荷釣りが2回、この群れがとどまってくれれば

 この追いかけっこは納竿2時間前まで続きました。途中でHHHにチェンジしましたが、捕食スピードは遅く、エサ取りも少なく、タナもほとんど底だったのでMH175のほうがパターンには合っていたようです。

 潮下の厳しい釣り座でしたが、足の速いカワハギに乗り遅れないよう、MH175で速い釣りを心がけ、1流しで2枚目を釣る場面もあって納竿までに17枚で竿頭となりました。

▲ 群れ自体は大きいので、一荷釣りは頻繁に見られた

 もう少し水温が下がれば群れも固まってくるはず。館山沖のカワハギはこれからが本格的なシーズンとなるでしょう。

▲ 乗船者も中型ぞろいで楽しめた

これからのタックル&仕掛け

 多くの方は竿を持参するとしても2本くらいでしょう。好みもあるので一概にはいえませんが、HHHのように硬めの竿が好きな方はMH175のように、中間的な竿よりやや硬めを、逆にS180のように軟らかめの竿が好きな方はリミテッド 175あたりを目安に、予備として持参することをすすめます。


 何度も言うように、今シーズンは高水温がいまだに収まっておらず、カワハギの喰い方も日替わりで違ってきます。1本の竿に固執しないで柔軟に対応することが必要です。


 仕掛けは枝間10センチをパイロットとして、2種のバリエーションを図示しました。加えてアシスト20~40センチを持参すればほぼカバーできるでしょう。


▲ 終盤はHHHで拾い釣り


▲ 持参したのは3パターンの仕掛け

使用タックル製品情報

  
ステファーノ リミテッド MH175A
ステファーノ 攻 HHH173 / S180

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PROFILE プロフィール

鈴木 孝(すずきたかし)

1963年生まれ。カワハギをはじめ、マルイカ、湾フグなど「アタリをとる釣り」に精通。東京都江戸川区在住。釣り歴45年以上。幼少のころから様ざまな釣りに親しむ。船釣りは中学生のころから自宅から近い浦安の吉野屋に通い詰め、ハゼ、シロギス、カレイなど江戸前の小物釣りを楽しむ。現在はカワハギを中心にマルイカ、アナゴ、フグなど釣行は年間70回以上。カワハギ歴は約15年以上。2007年ごろから競技に重点を置くようになり、様ざまな大会に出場するようになる。主なタイトルは2015シマノステファーノグランプリ優勝。シマノインストラクター、チームステファーノ&くろしおマスターズ所属。