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ステファーノ攻 HHH173を徹底解説

一時は絶不調も噂された今シーズンのカワハギですが、10月初旬あたりから徐々に上向き、ここへきて昨年並み程度に復活してきました。一部乗合船では竿頭で40枚超えもあり、今後がますます楽しみな展開となっています。今回はステファーノ 攻シリーズの新製品、HHH173を詳細に解説したいと思います。

▲ ウネリがある状況でもスナイパー持ちは仕掛けが安定する

2代目はさらに感度アップ

 9月までの不調の原因は、やはり30度近い水温にあったと思われます。台風14号が通過した10月中旬あたりから各地のカワハギ釣り場で水温が低下、ようやく群れが固まってきたようで、それとともに釣果も急上昇、カワハギシーズンの始まりは間違いないでしょう。

 前回はステファーノ 攻シリーズ計4本の仕様、調子などを紹介しました。その中で今シーズン新たに発売されたのが「ステファーノ 攻 HHH173」です。まだ詳細をご存知ない方のために、今回はこの竿に絞って解説したいと思います。

ステファーノ 攻 HHH173


 HHHは「トリプルエイチ」とも呼ばれ、初代HHH171は他のカワハギ専用竿と一線を画す超硬調子、発売当初は使いこなす人を選ぶ個性あふれる竿として注目を浴びました。

 それでもシーズンの経過とともに、深場や速潮時における超硬調子の有用性、加えてHHHならではの圧倒的な手感度は徐々にファン層を広げ、今となってはしっかりとカワハギ竿としての存在価値を示しています。

 その2代目が今回の新製品です。全長で2センチ長くなったのに加え、外見上の違いは「Xシートフロントトリガー」の搭載と、リアグリップが「カーボンモノコックグリップ」に変わったことでしょう。

▲ カワハギ竿では初となるXシートフロントトリガー

▲ 感度を増幅するカーボンモノコックグリップ

 Xシートフロントトリガーは新発想のリールシート。このトリガーに人差し指、中指をかけてリールを支持することで、タックル全体の安定感、微妙な仕掛け操作が可能となります。加えてキャスト時の安定、指の負担軽減にも効果的な新次元のリールシートとなっています。

▲ スナイパー持ちでは右手の中指で支える

▲ 巻き上げに入ったら左手の中指

 カーボン一体成形、中空構造のカーボンモノコックグリップは、これまでにない軽さと情報伝達力を実現しています。従来製品に比べ、さらに磨きをかけた感度を実感できるはずです。

 H177SPなどで培った「激短カーボンソリッド」にはハイパワーX、本体はスパイラルXコアにナノピッチといったシマノの最新テクノロジーを搭載。さらなる強度、感度、軽量化に貢献しています。

▲ 激短カーボンソリッドにXガイド搭載

 さて、肝心の調子です。超硬調子こそHHHの真骨頂なので、従来製品の調子をほぼ踏襲しています。前記したロッドテクノロジーの搭載で、感度はさらにアップ。加えて穂先からガイド3個分までをやや柔軟にしてあることで、オモリ1個分寝かせた位置からの誘いが可能で、しっかり目感度も残してあります。

▲ 穂持~バットのパワーが強いので、強い合わせは不必要

 これにより宙の釣りでの使用がメインだったHHHが、高さ出し→フォール→ゼロテンへの流れでも目感度のアタリを取りやすくなっています。

 深場、速潮での操作性はもちろん、勝負を早める掛けにいく釣り、揺さぶりで自動的にハリ掛かりさせる高速ワッペン対応など、さらに使用範囲は広がっています。

シケ後の竹岡沖に釣行

 新製品を持って釣行したのは10月12日、台風14号通過後に初めての出船となる三浦半島久比里、山下丸に乗船しました。

 平日にもかかわらず13名の釣り客とともに7時半に出船、まずは久里浜沖を狙いましたが型を見ず、すぐに見切って竹岡沖の15メートルダチに移動です。

▲ 竹岡沖は水深15メートル前後を狙った

 シケ後であっても水色は良好、ほのかな期待が湧いてきます。ハリは吸わせ系7~7.5号10センチの3本バリ、オモリ25号で釣り始めました。

 上潮が速く、底が動いていない状態で、しばらくはアタリなし。2度目の移動で、フォールから底での揺さぶり後のステイで、コンコンコンという手感度で今日の1枚目。2時間ほどで6枚を釣りましたが、いずれもアタリは小さく手感度だけでは追い切れません。

▲ 船中1枚目のカワハギは20センチ弱

 加えて捕食スピードはかなり遅く、掛けにいくとバレるかハリ掛かりしない展開、タナはベタ底で、どちらかと言えばHHH173には不向きな状況。それでもこの時点で船中トップだったのは、感度のおかげでしょう。

▲ 後半はステファーノ 攻 S180にチェンジ。曲がりが派手なので画になります

 後半はステファーノ 攻 S180にチェンジして、目感度でアタリを取って喰わせにいく釣り方で8枚を追加。14時半までに計14枚を釣って竿頭となりました。

▲ 30センチに迫る大型も数枚釣れていた

 今シーズン、竹岡沖の釣行では最高の釣果。中型主体で、大型とワッペンサイズが交じる混合戦。この釣り場らしい釣れ方に、シーズンインをじかに感じられる釣行となりました。

▲ 23センチの肝パンカワハギ

使用タックル製品情報

ステファーノ 攻 HHH173

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PROFILE プロフィール

鈴木 孝(すずきたかし)

1963年生まれ。カワハギをはじめ、マルイカ、湾フグなど「アタリをとる釣り」に精通。東京都江戸川区在住。釣り歴45年以上。幼少のころから様ざまな釣りに親しむ。船釣りは中学生のころから自宅から近い浦安の吉野屋に通い詰め、ハゼ、シロギス、カレイなど江戸前の小物釣りを楽しむ。現在はカワハギを中心にマルイカ、アナゴ、フグなど釣行は年間70回以上。カワハギ歴は約15年以上。2007年ごろから競技に重点を置くようになり、様ざまな大会に出場するようになる。主なタイトルは2015シマノステファーノグランプリ優勝。シマノインストラクター、チームステファーノ&くろしおマスターズ所属。