2020カワハギシーズンに突入です。皆さんもご存じのとおり今期の釣況は例年に比べて出遅れ気味。水温が安定せず、産卵期がずれ込んだのも原因の一つでしょう。いずれ各地で好釣果が聞かれると期待しています。今回からシマノの新製品を中心として「ステファーノリミテッド」、「ステファーノ 攻」シリーズの詳細を解説します。
今年、シマノから発売される新製品は2本、「ステファーノリミテッド MH175A」と「ステファーノ 攻 HHH173」です。これらを解説するにあたり、新製品の特長を中心に、従来の製品との使い分けなどをシリーズ別、2回に分けて検証していきます。今回はステファーノリミテッドです。
カワハギ竿の最高峰
言うまでもなくステファーノリミテッドは、カワハギ竿の限界を超える軽さと感度を備えた頂点に君臨する竿といえます。従来は175の1アイテムでしたが、追加された新製品がMH175Aです。
▲ ステファーノリミテッド2本。デザインはほとんど同じ
まずは2本に共通する技術特性について説明します。穂先はハイパワーXソリッド搭載、手感度と目感度を両立させた激短カーボンソリッドを採用。本体は新設計ブランクスに、スパイラルXコアとナノピッチによる軽量化と高強度化、これによる異次元の感度を実感できます。
ガイドは穂先にXガイド、本体はチタン / トルザイト。CI4+のリールシートなど、シマノが誇る最高峰のテクノロジーをすべて搭載しています。
そしてMH175Aに新規搭載されたのが、Xシートフロントトリガーです。これについては前回詳細に解説しましたが、操作性、ホールドのしやすさ、疲労度の軽減など、まさにいいことずくめ、新発想のリールシートです。
▲ 上がMH175Aに搭載されたXシートフロントトリガー。下は175
だれもが気になる点が、2本の竿の調子、使い分けなどでしょう。
175は硬軟様ざまなカワハギ竿の調子があるなかで、縦の釣り、横の釣りを問わず、手感度、目感度も両立させた、まさしく「ど真ん中」に位置しています。これに対し新製品MH175Aは穂持から手元部までにやや張りを持たせ、攻撃性を高めています。
▲ ガイドの大きさにも差。下が全体的に小径化されたMH175A
つまり、状況により待って掛ける場面であっても、待たずに掛けにいくことを想定した調子なのです。これによって175より、ワンテンポ速い釣りが可能となりました。
また、これまで175を使い続けて、
「もうワンランク硬めが好き」という方もいるでしょう。2本の調子を好みで選べることにもなりました。さらに同じ使い方をしたいなら、オモリ25号で175、30号でMH175Aという手もあります。
▲ 当日はMH175Aの掛けにいく釣り方が奏功した
いずれにせよ、竿選びの選択肢を広げて、よりカワハギにアプローチできるようになったわけです。
本格化はこれからの印象
8月1日に三浦半島剣崎沖が解禁となり、さっそく私もステファーノリミテッド2本を持ち、剣崎松輪港の瀬戸丸に釣行してきました。
▲ 剣崎沖は変化に富んだ海底。探見丸はとても重宝する
長梅雨明けで潮は濁り、上潮だけが速く流れ、カワハギ釣りの条件としては今一つ。ただ、久しぶりの剣崎沖、シーズンの幕開けでもあるので気合は十分です。
メインとなったポイントは根がらみの水深20メートル前後。オモリ30号、潮も速いので主にMH175Aをメインに使用しました。案の定、カワハギのアタリは遠く、キタマクラだけが元気な状態。捕食スピードも遅くアタリ自体も小さく、まさに産卵期の釣りでした。
▲ 産卵期の個体も多かった
▲ チームステファーノの池田暁彦さんも同船。新製品の感触を確かめていた
こんな時は待ちの時間を長めに取って、喰い込ませて釣るのが得策ですが、MH175AならXシートの操作性も相まって、エサをくわえた瞬間、また吐き出す前に掛けてしまうことも可能で、フッキング率もアップします。
▲ 数少ないアタリを取って着実に数をのばしていく
▲ 後半は城ケ島沖30メートルダチへも移動したが、剣崎沖ほどでもなかった
当日は20~25センチ前後の良型を主体に6枚。釣果としては今一つ、掛け損ねや大型のバラシもあって、反省点も多い一日でした。
▲ 当日は20~25センチ級がメインだった
私の判断では例年より約1カ月、海の状態が遅れていると感じました。濁りが取れ、水温が徐々に低下してくれば釣果も上昇してくるはず。これからの釣況に注目です。
- ステファーノリミテッド2本のスペックの違い
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▲ Xシートフロントトリガーはスナイパー釣法にも最適
シマノの最新テクノロジーを惜しみなく投入したステファーノリミテッドは、超軽量、高感度、操作性のいずれにおいてもカワハギ竿の頂点に立つ竿。175はあらゆる状況に対応するオールラウンダー、MH175Aは穂持から手元部に張りを持たせて速い釣りを可能とし、なおかつXシートフロントトリガーの搭載で操作性とグリップの安定性、疲労度の軽減を達成したモデルとなっている。
▲ いずれも先径1.2ミリの激短カーボンソリッド
▲ オモリ50号をぶら下げて穂先の曲がりをチェック。手前がMH175A