8月1日に三浦半島剣崎沖の釣り場が解禁となり、待ちに待ったカワハギシーズンの幕開けとなります。また各メーカーからカワハギ用の新製品が続々と発売されるのもこのころです。シマノからは最新ロッド「ステファーノ 攻 S180」が8月に発売されました。さっそくこの竿の特長などを私なりの視点で紹介してみたいと思います。
▲ スナイパー釣法でも扱いやすい全長とリールシート位置などのセッティング
カワハギ専用竿ステファーノに新しく仲間入りしたのは「ステファーノ 攻 S180」です。Sという名称から単に軟らかい竿という印象を受けると思います。
確かに穂先に柔軟性を持たせた調子ではありますが、これまでのSとは明確な違い、つまりシマノの最先端技術を装備し、最新釣法にマッチした調子に仕上げてあります。
最新技術が盛りだくさん
まずはシマノがこの竿につぎ込んだ最新の技術特性について説明しましょう。
本体は曲げ、ネジレ、つぶれに対して強度化を追求し、さらなる高強度樹脂のカーボンテープを採用した「スパイラルXコア」となっています。一般的な構造と比較してネジリ強度1.4倍、つぶれ強度2.5倍(シマノ当社比)を達成しているのです。
カーボンソリッド穂先にはタフテックαからさらに進化した「タフテック∞」を採用。強度で3倍、巻き込み量は5倍の強靱性(シマノ当社比)を持ちながら、繊細なアタリをしっかりと伝える高い感度も持ち合わせています。
▲ 25センチ級のカワハギも楽らくと巻き上げた
穂先部には立体構造、チタン素材の「Xガイド」を採用し、ライントラブルを抑えるとともに軽量高感度。
そのほかに穂先のネジレを防ぐ「ハイパワーXソリッド」や、パーミング性能に優れた「フィッティングサポートCI4+」リールシートも採用していますが、大きな特長の一つといえるのが「カーボンモノコックグリップ」にあります。
これは「ステファーノ 攻 H177SP」にも採用されています。カーボン素材の一体成形、軽量化した中空構造で、手感度アップにも貢献しています。軟らかめの竿でありながら手感度アップ、新製品のキモはまさにここにあるのです。
- Stephano SEME S180
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品番 S180◎ -
全長
(m)1.80 -
継数
(本)2 -
仕舞寸法
(cm)146.0 -
自重
(g)76
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先径
(mm)1.0 -
オモリ負荷
(号)20~35 -
カーボン
含有率(%)96.3 -
リールシート
位置(mm)298※D -
メーカー希望
本体価格(円)62,500
※◎印はソリッド交換サービス対象アイテムです。ソリッド部を破損した際に、その部分だけを交換することが可能です。
※D(ダウンロック):竿尻からリールシート後部固定フードまでの長さです。
▲ パーミング性能に優れたフィッティングサポートCI4+リールシート
▲ 長めの穂先に軽量高感度のXガイドを装着
▲ 攻 H177 SPで好評、一体成形のカーボンモノコックグリップ
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目感度に手感度をプラス
シマノのカワハギ竿は軟らかいほうから並べるとS、M、MH、Hとなります。新製品はもっとも軟らかいタイプとなります。カタログには8:2調子とありますが、単なる先調子竿と考えるのは早計です。
▲ 奥からステファーノ 攻 H177SP、ステファーノ リミテッド、ステファーノ 攻 S180。長く柔軟なソリッド穂先が大きく目感度を表現する(オモリ30号装着)
これは昨シーズン発売された製品との比較写真をご覧になればお分かりでしょう。穂先のカーボンソリッドがかなり長くなっています。激短ソリッドが特長でもあった従来品ですが、それらに比べても倍近い長さを持っています。
柔軟な穂先を長めに取ることで、小さなアタリでも穂先が動く表現力、つまり目感度をアップさせています。またオモリを底に置いた状態での仕掛け操作、テンションのコントロールも穂先で視認しやすくなります。
目感度の追求がこの竿のコンセプトでもありますが、あまりに度が過ぎると手感度が薄れるのが軟調竿の弱点でもあります。それを補ったのが、カーボンモノコックグリップなのです。
この竿は厳密にいうと本体に4つのセクション(曲がり込む部分)が存在しており、カワハギのアタリが穂持からリールシートまでの各セクションを通るたびに増幅され、カーボンモノコックグリップまで伝わってきます。ということは竿尻を握るスタイルで持つスナイパー釣法にはとくに有効となります。まさにSタイプの弱点を補った機能と言えるでしょう。
また穂持から胴にかけては貫通力を持ちつつバラしにくいM相当の調子、バットも強くして大型の引きにもひるまないパワーを持たせてあります。
▲ 穂持から胴のパワーが掛け遅れを防ぎ……→ 確実なフッキングを促す
横の釣りと浅場の縦
カワハギの釣り方は人それぞれ、好みによって竿の調子も変わるのがカワハギ釣りです。以下は個人的な視点で見たステファーノ 攻 S180の使い分けをお話しします。
私の場合、基本はオモリ25号使用時となります。釣り方はスナイパー釣法の横の釣りで、ベタ底でしか喰わないとき、カワハギの捕食スピードが遅いときなどでの使用です。
集寄や中オモリを付け、キャスト~高さ出し~カーブフォールのあと、オモリを底に置いてテンションフォールやズル引きするのが横の釣りです。
活性の低い状況下、激短ソリッド穂先では取り切れない目感度のアタリを、S180の穂先は大きく表現。これにカーボンモノコックグリップを通して伝わる手感度がプラスされるわけです。穂持から胴にかけてのパワーもあるので、掛けきれずにバラす事態も防止できます。
▲ 4つのセクションを通してカーボンモノコックグリップに手感度として伝える
また浅場での縦の釣りではアタリを弾いてしまうことがありますが、S180なら柔軟な穂先がうまく吸収してハリ掛かりに持ち込むことも可能。したがって浅場の宙釣りでもおすすめです。高速ワッペンが多いときには、揺さぶりしているだけで自動的にハリ掛かりしてきます。
▲ バットパワーも強いので取り込みも安心
これからのシーズン、竹岡沖の浅場、下浦~久里浜沖、勝山沖、館山湾内、初期の剣崎沖と亀城根などで使用したいと思い、今から楽しみでなりません。
ステファーノ 攻 S180はスナイパー釣法に、新たな一面を切り開く竿になると思っています。
▲ 新しい仕掛けも続ぞく発売。詳細は次回にて