かじかんだ手でエサ付けするのも辛い季節となりましたが、まだまだカワハギは釣れています。多少テクニカルになっているものの、狙いどおりに釣れたときの楽しさは格別です。今回は厳寒期によくある捕食スピードの遅い釣り場での対処法を解説します。
今シーズンのカワハギは全般に遅れ気味で、例年ならそろそろ終盤戦となる東京湾竹岡沖、三浦半島亀城根周辺などは、変わらず釣れています。
たぶん高水温の影響かと思われますが、まだしばらく楽しめそうで、ファンとしてはありがたいかぎりです。
▲ 初出船はこの日を待ちかねたカワハギファンで満船だった
今回はそんな状況を見越して、内房那古船形港くろしお丸出船の例を元に、これから春先までの攻略法について説明したいと思います。
▲ 放流サイズは少なく、中大型が中心
メインとなる館山湾は1月初旬でも水温が20度近くあるせいか、カワハギが一カ所に固まらず、各ポイントを拾い釣りするパターンとなっています。
この海域は、ほかの釣り場に比べると全般に水温が高いせいか、独特の捕食パターンが見られます。
カワハギがエサを口にしてから喰い込むまでの時間が長い、つまり捕食スピードが遅いという現象です。
これはほかの釣り場でも厳寒期や産卵期などに見られることなので、今回は館山湾の例を参考にこれからのカワハギ攻略を考えてみたいと思います。
タックルと仕掛け
今シーズンはとくにその傾向が強く、極端な例をあげるとアタリがあってから掛けアタリにいたるまで1分近くかかったこともあります。
始めのアタリで掛けにいってもハリ掛かりしないかバレるかのどちらか。しっかり喰い込ませてからアワセる必要があるわけです。したがって竿は「ステファーノ 攻 S180」に代表される、穂先がアタリを弾かない柔軟なタイプがおすすめです。
仕掛けは図にあるとおり。オモリから下バリまで5センチ、下バリのハリス長は10センチなので、エサが底に這う状態となります。ハリは必然的に吸わせ系が有利でしょう。
▲ 掛かってきたのはほとんど下バリだった
スタートは集寄も中オモリも付けずに始めて様子を見ますが、上バリのエサが取られないようならすぐに付け足します。上2本のハリス長も始めは6センチですが、反応がないようなら10センチとします。
狙うタナはほぼベタ底
館山湾のポイントは富浦沖も含めて水深15~30メートル。ほかの釣り場同様、今シーズンは深場の模様が今一つのようです。
釣り方は「スナイパーズメソッド横の釣り」が基本ですが、さらにひと工夫加える必要があります。
まず投入。船下オンリーでは分が悪いので、投げて広範囲を探ります。広く探るほうが有利なのはくろしお丸の船長も周知のようで、アタリがないとすぐに移動してくれます。
オモリが着底したら揺さぶりで高さ出ししますが、せいぜい50センチまで、その位置からカーブフォールで着底させます。
タナはほぼベタ底と考えていいでしょう。オモリを底に着けたまま揺さぶり、ステイ、集寄などを付けた場合はテンションフォールで仕掛けをタルマせます。あとはその繰り返しで船下まで誘ってきます。
アタリは微弱。基本はゼロテン状態から目感度で取りますが、それでもアタリを出さない場合があります。
そんなときはステファーノ 攻 S180の柔軟な穂先を活用します。図にあるとおり穂先の曲げ具合を変えて、アタリの出具合を見極めるのです。この竿は手感度にも優れているので、目感度に頼らず、穂先を曲げて手感度だけに頼る釣り方が有効な場面もあるのです。
アワセる際も揺さぶりの最中やフォールの最中にきたアタリはバレやすく、かといって止めたままにしているとアタリが消えてしまう場合があり、その加減が難しいところ。
仕掛けにしろ、誘いにしろ、アワセ時にしろ、その日、そのポイントのパターンを見つけることが好釣の早道です。いずれにしろテクニカルな釣り場には間違いありませんが、うまく攻略したときの喜びは格別です。
▲ 当地独特の初出セレモニーを私もお手伝い
▲ チームステファーノの小林さんがこの日のトップ