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スナイパー釣法 ナチュラルフォールの提案~後編~

10月は各地でカワハギの大会、イベントが開催されました。今シーズンの状況を反映してか、釣果は今一つながら、いずれも満員御礼の大盛況。今さらながら根強いカワハギ人気を認識しました。さて、今回はナチュラルフォールの詳しい解説です。喰い渋り時にはとくに効果的、大会などでもきっと役立つはずです。

 前回の解説を要約しておきましょう。

「カワハギ攻略において、前アタリを感じてから掛けアタリが出るまでの時間の間隔、つまりカワハギの捕食スピードを知り、それに合わせた喰わせの間を演出する」というのが主旨。

▲ その日の活性、捕食スピードなどで最適な喰わせの間を演出する

 捕食スピードに合わせた喰わせの間を作るのが、仕掛けのフォールスピード。下の図にあるとおり、今までは4種のフォールパターンだったところに、私が新しく提案したのが「ナチュラルフォール」です。

 今回はナチュラルフォールについて詳しく解説したいと思います。

 ナチュラルフォールを演出するにあたり、不可欠となるのがシマノから新しく発売された高比重素材の「フォールビーズ(FB)」です。

▲ 幹糸仕掛けFB3種で、当日の戦略を練る

 これを組み込む位置や数を替えることで、ナチュラルフォールを3種類に細分化し、今まで取れなかったアタリにも対応させます。

▲ この日は「10センチ間隔」を選ぶ

ナチュラルフォール 3つのパターン

 FBは単体発売はされていません。3つのパターンに対応すべく、シマノから「ステファーノ幹糸仕掛けFB」各2組入りが発売されているので、これを使うのが手っ取り早いでしょう。

ノーマル間隔(下バリにFB)


 比較的活性が低く、カワハギのタナが底中心のとき、またオモリを底に着けたまま、仕掛けをあまり動かさずに待つゼロテンションに反応がよいときに採用します。


 一番下にあるFBをナチュラルにフォールさせれば、オモリと同じ位置にエサを置くことができます。底付近で揺さぶれば、イレギュラーな動きでリアクションバイトも誘発します。


 ハリはいずれも吸わせ系、下バリに10センチ、上2本は6センチ、または10センチがおすすめです。


▲ 仕掛けが着底してからナチュラルフォールさせる

▲ 見事、作戦が当たった

ワイド間隔(上バリにFB)


 比較的活性が高く、カワハギのタナもやや高いとき、また高いタナからのナチュラルフォールに反応がよいときに採用します。


 一番上にあるFBをナチュラルフォールさせれば、カワハギに下向きの捕食体勢を取らせることができます。


 ハリは上2本にハゲ系6センチ、下バリはハゲ系なら6センチ、吸わせ系なら10センチを使用します。

10センチ間隔(すべてFB)


 活性が高く、仕掛け全体にカワハギが群れているとき、捕食スピードの速いワッペンが多いとき、逆に活性が低くタナが底中心に集中しているときなど、両極端な場合に使用します。


 フォールのスピードが速く、捕食スピードの速いカワハギに対応できる反面、タナの低いカワハギに3本のハリすべてを底付近に集中させられるからです。


 捕食スピードが速いときは3本ともハゲ系6センチ、遅いときは3本とも吸わせ系10センチで対応します。

 以上、3つの例はナチュラルフォールパターンの一例です。この3つの仕掛けを他のフォールパターン(アピールフォール、テンションフォールなど)にも使用することで、組み合わせは多数、さらにアシスト、集寄、中オモリまで含めれば無限大ともなるでしょう。あなた好み、状況にも合わせた様ざまな誘い方が演出できるわけです。

Stephano 幹糸仕掛け フォールビーズ

▲ 幹糸仕掛けFBは3種、幹糸3と4号で合計6アイテム。緑がHDビーズ、白がフォールビーズ

使用タックル製品情報

ステファーノ リミテッド
Stephano 幹糸仕掛け フォールビーズ

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PROFILE プロフィール

鈴木 孝(すずきたかし)

1963年生まれ。カワハギをはじめ、マルイカ、湾フグなど「アタリをとる釣り」に精通。東京都江戸川区在住。釣り歴45年以上。幼少のころから様ざまな釣りに親しむ。船釣りは中学生のころから自宅から近い浦安の吉野屋に通い詰め、ハゼ、シロギス、カレイなど江戸前の小物釣りを楽しむ。現在はカワハギを中心にマルイカ、アナゴ、フグなど釣行は年間70回以上。カワハギ歴は約15年以上。2007年ごろから競技に重点を置くようになり、様ざまな大会に出場するようになる。主なタイトルは2015シマノステファーノグランプリ優勝。シマノインストラクター、チームステファーノ&くろしおマスターズ所属。