7月に入ると、関東周辺のカワハギ釣りは休眠状態となります。周年乗合出船している三浦半島久比里、相模湾腰越港の一部以外でカワハギ釣りを楽しもうと思ったら、仕立船に頼ることになります。今回は私のホームグラウンド、内房那古船形港から仕立出船した模様を含め、夏のカワハギ攻略法を紹介します。
内房勝山~那古船形出船のカワハギ乗合は、例年8月以降からスタートします。したがってこの時期、内房でカワハギを楽しもうと思ったら仕立出船しかありません。
ここは私のホームグラウンドでもあるので、乗合出船はなくても月に1~2回は釣り仲間と仕立出船するのが恒例となっています。
今シーズンはマルイカが好調なので、なかなか船を押さえることができませんが、常宿の船長にお願いして、なんとか出船の機会を得られました。
この時期のカワハギは産卵期の真っ最中です。一カ所に固まることなく、シロギスのように広く散っている状態。エサを追うスピードも遅く、喰いも浅くなるのが一般的です。
反面、良型主体となるのが特長で、スリル満点のヤリトリが満喫できます。産卵期でもあるので、なるべくメスは放流しながら釣るのがこの時期の私の楽しみ方です。
▲ アタリが小さいので目感度のいい竿が不可欠
タックル、仕掛けと釣り方
この時期、内房那古船形港からの出船では、富浦沖か波左間(館山)沖を狙います。水深は20メートル前後、なだらかなポイントなのでほとんど根掛かりしません。
このエリアのカワハギは普段でもエサの追い方がスローなのですが、産卵期はそれ以上となります。加えて良型中心ということを頭に入れて、タックルと仕掛けを組み立てます。
▲ この時期はほとんどが中大型
まず竿はパイロットとして、始めから軟らかめのステファーノCI4+M、捕食スピードが速くなるにつれて、ステファーノ180、ステファーノCI4+MHと硬くしていきます。
パイロット仕掛けはいつものバージョンですが、波佐間沖を狙う場合は集寄、富浦沖を狙う場合は集寄なしというパターンで釣り始めます。前者は私の経験上、集寄の釣りが圧倒的に有利だからです。ハリは良型に備えて吸わせ力7号、スッポ抜けのバラシが多いようなら7.5号を使います。
▲ 良型に備えて「吸わせ力」が活躍する
釣り方はスナイパーズメソッド横の釣りが基本となります。盛期と違ってカワハギは一カ所に固まっていることは少ないので、キャストして広く探る釣り方が有利となります。
▲ キャストする場合は「投棚(右)」をメインに使用
投げてオモリが着底したら、1~2メートル仕掛けを上げてそのままカーブフォール。着底したらゼロテン状態から揺さぶりながら仕掛け分上げて下ろし、集寄や中オモリを利用してテンションフォール。
つまりゼロテンからテンションフォールの繰り返しで、徐々に船下まで仕掛けを引き寄せていきます。
アタリはゼロテン状態、テンションフォールの途中からゼロテンに戻す最中、ほぼ底べったりのタナで喰ってくるのがほとんどです。
アタリが小さいので手感度というより、目感度で取るイメージ。とくに産卵期のメスは目感度でも見逃すほど微弱なアタリです。
▲ 枝間10センチの仕掛けが鈴木さんの基本スタイル
当然ながら喰い込みも浅いので、スライド(アワせ)もアタリがあってひと呼吸置いたり、ゆっくりとハリに乗せるイメージで竿を持ち上げるといった配慮が必要です。
掛け損じ、巻き上げ中のバラシも多いのはやむを得ないところですが、浅場で中大型のスリルあるヤリトリを経験してしまうと、改めてカワハギ釣りのおもしろさを実感するのです。
盛期を思わせる好釣日に
▲ 当日は集寄+ガン玉を付けた仕掛けに分があった
当日は釣り仲間14人の仕立船。5時半に出船し、船長が舵を向けたのは波左間沖。すぐに集寄とガン玉を付け足し、投入に備えます。
▲ 「イチコロイタ」のほか自製集寄も使用
第1投は20メートルダチ。前記したとおりの釣り方で攻めていきますが案の定、アタリはあるものの掛からない、もしくは掛け損じる展開です。
ようやく掛けた1枚目は22センチのオス。比較的ハッキリとアタリを出すのは良型のオス、小さなアタリで掛けづらいのがメスという産卵期ならではのパターンです。
当日はステファーノCI4+Mで目感度重視の釣り方が合っていたようで、この時期としては順調なペース。ハリスが長すぎるとアタリが取りづらいので、6センチに詰めたのもよかったようです。
12時半の納竿まで20枚を釣り上げ、18~29センチを6~30枚という上々の釣果。メスはすべて放流し、良型のオスだけを持ち帰りました。
▲ 作戦がうまくあたって好釣果
あと1カ月もすれば剣崎沖の解禁で、一気にカワハギシーズン突入となりますが、初期の釣り方として参考になればと思っています。