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関東周辺ポイント別攻略法 vol.6三浦半島下浦沖

オールシーズン釣れるカワハギですが、初夏~梅雨時にかけては狙う人も船宿も最も少なくなる時期です。その理由としては水温が上昇して群れが散っている、産卵期で喰いが落ちる、などの理由があげられます。逆に言えば、そんな時こそおもしろいんだとばかり、せっせと釣行を重ねる方も少なくありません。実は私もその一人ですが……。

▲ 東電前のポイントは10メートル前後の浅場も攻める

 関東周辺でほぼ周年カワハギ乗合を出船しているのが三浦半島久比里です。5月までは剣崎沖を中心に狙っていましたが、6~7月は自主禁漁となる関係で、釣り場は剣崎沖の手前に位置する久里浜~下浦沖がメインになります。

 この時期限定という釣り場ではなく、秋~冬のベストシーズンでも大釣りを記録することがある1級ポイントです。加えて南西風に強いという地形上、風向きによっても狙う場合があり、ファンにとってはなじみ深いポイントでもあるのです。

釣り場の概要

 なんといっても船着き場から近いのが特長。久比里からだと船着き場から平作川を下り、久里浜湾に出て5分、走っても15分くらいで着いてしまいます。

 このあたりにはたくさんの根があり、カワハギは主に根周りを狙います。根の上はカサゴの好ポイント、久比里の乗合船が連日好釣果を上げています。

 上図にあるとおり、北は平根周り、続いてアシカ島の手前、久里浜の東電前から雨崎の手前まで、ポイントは各所に点在しています。

 概して言えるのは水深が浅いこと。浅い所で8メートル、深くても20メートル台、まさに夏カワハギといえる水深です。根はなだらかな岩礁帯で、所どころに海藻が生えており、この上を狙うときは根掛かりにも注意です。

▲ それほど荒い根はない。底のほうにはモヤモヤした反応が

 この釣り場を語るうえで、どうしても避けられないのがエサ取りの多さ。その代表格がベラです。根の上ではササノハベラ、その周りにはキュウセンなど、いずれにせよベラ天国といえるほど。カワハギ釣りでは税金といえる魚ですが、当然ながらこれを避けて本命は釣れません。

 また、産卵期ということもあって、この時期に釣れるカワハギは中大型が多く交じります。30センチ前後は当たり前のように釣れてきますので、自己記録を更新したい人などにはぜひともおすすめです。

▲ 30センチ前後は当たり前のように掛かってくる

タックル、仕掛けと釣り方

 この時期は (1)産卵期(2)浅場(3)大型交じりという3つの要素を入れてタックル、仕掛けを組み立てます。

(1)産卵期=盛期に比べると、これがカワハギなのかと思えるほどアタリは微妙で、喰い方もかなりスローです。

 カツカツッという派手なアタリはなりを潜め、穂先を軽くたたく程度、または穂先がもたれる程度(エサをくわえたまま居喰い)といった具合です。これに対応するには穂先が柔軟な竿、つまり目感度に優れていることが条件です。

(2)浅場=それほど硬めの竿は必要ありません。水深が浅いので軟らかめの竿でも操作性は変わらないからです。

(3)大型交じり=柔軟でタメが効く竿のほうが、大型カワハギ狙いには向いています。

 以上のことを考慮してタックルを組み立てますが、こだわっていただきたいのが穂先の感度。手感度だけでなく、目感度にも訴える竿が絶対です。

 となれば穂先にタフテックカーボン、ハイパワーXソリッドを採用したステファーノシリーズ。私ならステファーノ180をパイロットとし、軟らかめでステファーノCI4+M、硬めでステファーノCI4+MHとします。

▲ 目感度重視で柔軟な穂先が功を奏すときも

 仕掛けはいつものスナイパーズメソッド、縦の釣りバージョンですが、大型を考慮してハリは「吸わせ力7~7.5号」をおすすめします。タナは基本的に底なので、集寄、ガン玉も用意、またエサ取りが多いようならアシストも使用します。

 釣り方はまず船下を縦の釣りで狙って様子を見ますが、浅場に散っているこの時期は投げて、横の釣りに切り替え、幅広く探ることが多くなるでしょう。

 カーブフォール、テンションフォールを駆使しますが、オモリを底に着けて揺さぶり、ジッと待つことも効果的です。

▲ アタリは小さいけれど、引きは強いのがこの時期の特徴

 これで小さな噛みアタリから喰い込みまでの間を取って掛けにいくのですが、掛け損ねたり巻き上げ中のバラシが多いのもこの時期ならでは。

 掛け損ねても2度目、3度目の追い合わせを入れたり、強引な巻き上げを控えることで対処しますが、バラシはある程度覚悟する必要があるでしょう。

▲ 数はそれほど期待できないが型はそろう

▲ 名手小林直樹さんも下浦沖で釣りまくる

 釣果に関しては、平均でトップ15~20枚あたりがこの時期の相場。少ないようにも思えますが、

「アタるのに掛からない~」
「またバレた」などの声が船上に飛び交います。ある意味、カワハギ釣りのおもしろさを真に味わえるのは、この時期なのかもしれません。

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PROFILE プロフィール

鈴木 孝(すずきたかし)

1963年生まれ。カワハギをはじめ、マルイカ、湾フグなど「アタリをとる釣り」に精通。東京都江戸川区在住。釣り歴45年以上。幼少のころから様ざまな釣りに親しむ。船釣りは中学生のころから自宅から近い浦安の吉野屋に通い詰め、ハゼ、シロギス、カレイなど江戸前の小物釣りを楽しむ。現在はカワハギを中心にマルイカ、アナゴ、フグなど釣行は年間70回以上。カワハギ歴は約15年以上。2007年ごろから競技に重点を置くようになり、様ざまな大会に出場するようになる。主なタイトルは2015シマノステファーノグランプリ優勝。シマノインストラクター、チームステファーノ&くろしおマスターズ所属。