これまで関東周辺の主要カワハギ釣り場をいくつか紹介してきましたが、それ以外にも無数の釣り場があるのは皆さんもご存じのはず。今回は私が一度も訪れていない釣り場、東伊豆熱海沖とその釣行模様を解説したいと思います。なお、ポイント紹介に関しては、乗船した同港のいづみ丸、北登志彦船長に協力していただきました。
▲ 港前の釣り場は熱海市街が一望できる
関東のカワハギ釣り場と言えば南房~東京湾~相模湾が代表的で、私のこれまでの釣行もこのエリアがほとんどでした。
皆さんもご存じのとおり、全国各地で人気が高まるにつれ、カワハギ釣りが盛んな港、専門に狙う船の存在が耳に入ってくるようになりました。
今回、私が釣行したのは観光地でも有名な東伊豆熱海沖です。かなり以前から一度は釣行してみたいと思っていたのですが、ようやくその機会を得ることができました。
釣り場の概要
大島や初島へ向かう定期船発着所に隣接しているのが熱海港で、数軒の船宿が軒を連ねています。いづみ丸もその一つで、カワハギ釣りでは最も実績の高い船宿です。
以前は定置網にモヤってのカカリ釣りスタイルでしたが、現在は通常の流し釣りで熱海沖の各所を狙っています。
熱海港出船の特長は、なんと言ってもポイントが近いことです。釣り場は港前、北は伊豆山沖、南は網代沖までをエリアとし、いずれも航程15分以内の近場となります。
まず港前は堤防沖~アカオ沖にかけての20~35メートル。港北側の伊豆山沖は「沖根」と呼ぶポイントで、2つある定置網の沖、水深は30メートル前後。港南側は「かぐら根」の25~30メートルと網代沖の30メートル前後などが主要ポイント。いずれも砂地が中心で、根はあってもツブ根が点在する程度です。
好シーズンは9~12月あたりまででしょう。その他のシーズンも狙って釣れないことはないと思いますが、
「キモが入っている時期じゃないとお客さんが喜ばない」という事情もあり、カワハギ専門で出船することは少ないそうです。
もう一つの特長は数、型いずれも満足できる釣りが楽しめること。平均で20センチ前後、30センチオーバーの実績も十分。手慣れた人なら束釣りも不可能ではないほど魚影は濃いとのことです。
▲ 熱海港には数隻の釣り船のほかダイビング船などが停泊する
タックル、仕掛けと釣り方
初めての釣り場を訪れるときは、あらかじめ船長に釣り場の概要を聞いておくことが肝心。それらに加え、水深が30メートル前後、ウブなカワハギが多い、比較的型がいいなどの情報から判断したのが上図のタックルと仕掛けです。
まず用意したタックルは「ステファーノCI4+H」をメインとし、「ステファーノCI4+MH」、「ステファーノ180」と使い分ける予定。つまり硬めの竿から使い始め、徐々に軟らかい竿に慣れていくという作戦です。
仕掛けも単純明快、スナイパー釣法の基本と言えるシステムです。これをパイロットとして、ガン玉、集寄、アシストなどを付け加えたり、ハリの大きさなどを替えていくわけです。
▲ まずは硬めの竿からスタートし、状況を探る
▲ ハリも数種用意した
実釣レポート
釣行したのは4月上旬。船長にしてみれば想定外だったのか、「4月にカワハギは狙ったことがない。自信ないなぁ」との返事で、無理を押しての釣行でした。加えて当日は、西風10メートル以上という悪天候で、風裏となる港前のポイント限定という不運でした。
▲ 風裏となるニューアカオ前をメインに狙った
スタートは吸わせ7.5号を3本のノーマルスタイル。同船した釣友はそれぞれ自分好みの仕掛けを使っており、その都度情報交換する約束です。
風裏といってもクルクルと風向きが変わる状態で、船長も操船に苦慮、道糸が立ちにくいのでアタリも取りづらい状況。
加えて前日の大シケと、すでに産卵に入っているせいか、アタリは微妙。掛かってもバレるほうが多いという状態でした。そこでハリを7号に落とし、竿はステファーノ180とし、じっくり食わせる釣り方に変えます。
中盤からポツポツと釣れ出しますが、20センチ前後の中型が中心です。タナはベタ底、宙で食ってくることはほとんどありませんでした。
キャスト、カーブフォール、テンションフォールや集寄、ガン玉など、あれこれ釣り方に工夫を凝らしましたが、答えが出せないまま納竿時間。
▲ 「掛けた数よりバラした数が多かった」と反省しきり
「いいときはあっと言う間にエサを取られますよ。やっぱり時期のせいかな」と船長も苦笑い。
それでもなんとか2ケタに届く釣果で、型を見ることができただけでも満足できました。ハイシーズンの秋、北船長にもう一度チャレンジすることを約束し、熱海をあとにしました。
▲ 同船者に23センチの良型
▲ 名手、小林直樹さんも同船し船中最大を釣る