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関東周辺ポイント別攻略法 vol.3勝山~館山沖

房総半島東側、内房竹岡沖~南房洲ノ崎沖にかけてもたくさんのカワハギ釣り場が点在しています。今回はその中でも地元の乗合船が多数集結する勝山~山沖にかけての釣り場を解説します。とくに館山沖は私のホームグラウンドともいえ、8月から翌年4月ごろまでのシーズン中、最も多く足を運ぶ所です。

▲ 勝山港出船は浮島南側がメインポイント。秋には数多くのイベントが開催される

 この釣り場を解説するとき、2つの出船港による釣り方などの違いを述べておく必要があります。

 まず勝山港出船です。たくさんの船宿が存在し、秋から年末にかけて数多くのカワハギ大会やイベントが開催されます。ファンの方なら一度は訪れたことがあるはずです。

 もう一つが那古船形港出船です。船宿は私の常宿ともいえる、くろしお丸1軒のみですが、実績も長く、ポイントの形状を知り尽くした船長の案内で、毎回充実した釣りを楽しませてくれます。

釣り場の概要

 勝山港出船では8月から翌年の3月までがシーズン。港前にある浮島の東~南側周辺、岩井袋港前、岩井沖、富浦沖が主なポイントです。

 メインとなるのが浮島~岩井沖の10~30メートルダチ。とくに知られているのが、浮島南側の浅場で釣れる通称「高速ワッペン」。これは秋から年末ごろまで15センチ前後の小型が群れをなして、あっと言う間にエサをかすめ取っていくものです。

 富浦沖20~40メートルダチへは良型を求めて走ります。主に午後釣りで狙うことが多いものの、年明け以降は午前釣りでもメインの釣り場となります。

 那古船形港出船では8月から翌年の4月までがシーズン。メインとなるのが 大房 たいぶさ 岬周辺。このポイントは浅場で8メートル、深場で60メートルありますが、20~40メートルダチを狙う場合がほとんどです。

 館山湾の南側、 坂田 ばんだ 沖周辺14~30メートルダチは洲ノ崎港の乗合船も狙っている好ポイントです。とくに今シーズンは水温が高いせいか、2月まで15メートル前後の浅場で大釣りが目立ちました。

▲ 館山沖はほとんど小型が交じらず、こんな一荷もめずらしくない

タックル、仕掛けと 釣り方

 まず高速ワッペンを狙う場合は「ステファーノCI4+H」のような硬めの竿、縦の釣りを基本とし小さなアタリを取っていく釣り方となります。

 仕掛けは図にあるとおり、ハリはすべて吸わせ6.5号10センチ。集寄やガン玉も使用しない縦の釣りの基本形で狙いますが、エサ取り対策、高ダナ用に20~40センチのアシストは必携です。

 高速ワッペンの釣り方は仕掛けの動きを止めないこと。落下中にもエサを取っていくくらいなので、常に揺さぶりで底からタナ(2~3メートル上)までをリズミカルに誘います。

 とくに捕食スピードが速いときは揺さぶりの最中、自動的にハリ掛かりすることもあります。硬めの竿を使用するのはそのためですが、掛かりの悪いときは、攻掛4.5号に替え、ハリ先だけで掛けていく釣り方も有効です。

 岩井沖などでは一変して横の釣りが効果的となります。この場合は「ステファーノCI4+H」、「ステファーノ180」など、やや軟らかめの竿を使用。中型が多いので、仕掛けは吸わせ6.5~7号のミックス。根周りでは宙、砂地ではベタ底のタナとなるので、ガン玉や集寄を付けて様子を見ます。

 釣り方は多少根があるものの、投げて高さ出し、カーブフォール、ズル引きなど、広くポイントを探ったほうが有利です。

 館山沖では良型狙いとなるので、「ステファーノCI4+MH」をパイロットとして、硬めで「ステファーノCI4+H」、軟らかめで「ステファーノ180」と使い分けます。ただ産卵後、活性の低い高水温期は「ステファーノCI4+M」がメインとなります。

▲ メインはステファーノCI4+MH、活性の低い時期はMも持参

▲ シマノの新製品「ベイゲーム150DH」も鈴木さんのお気に入りタックルに加わった

 館山沖は富浦沖を含めて根あり、砂地ありの変化に富んだポイントがありますが、一年を通じて水温が高いせいか、総じていえるのは捕食スピードが遅いということです。

 ポイントによっては宙で釣れたりもしますが、多くの場合、ベタ底を狙うと思ってください。捕食スピードが遅い+ベタ底となれば、タルマセ釣りやゼロテンションと呼ばれる釣り方がメインとなります。パイロット仕掛けはオール吸わせ7号、ガン玉や集寄も必要です。

 釣り方には横の釣り、ベタ底狙いを解説してあります。まず仕掛けを投げて、オモリ着底後高さ出しから揺さぶりながらカーブフォール、オモリ着底後に揺さぶりを止めてテンションフォール、またはズル引きでアタリを取っていきます。

▲ 館山沖では吸わせ系のハリだけで足りる

▲ 仕掛けを動かさずに喰わせる釣り方もある

▲ うまく掛かったと思ってもバレが多い

 合わせても掛からなかったり、巻き上げ中のバレが多いのが館山沖の特徴、捕食スピードの遅さを物語っています。手を替え品を替え、じっくり喰わせて、しっかり掛けるのがベストでしょう。私も釣行するたびに頭を悩ませますが、そんな駆け引きが館山沖のおもしろさなのです。

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PROFILE プロフィール

鈴木 孝(すずきたかし)

1963年生まれ。カワハギをはじめ、マルイカ、湾フグなど「アタリをとる釣り」に精通。東京都江戸川区在住。釣り歴45年以上。幼少のころから様ざまな釣りに親しむ。船釣りは中学生のころから自宅から近い浦安の吉野屋に通い詰め、ハゼ、シロギス、カレイなど江戸前の小物釣りを楽しむ。現在はカワハギを中心にマルイカ、アナゴ、フグなど釣行は年間70回以上。カワハギ歴は約15年以上。2007年ごろから競技に重点を置くようになり、様ざまな大会に出場するようになる。主なタイトルは2015シマノステファーノグランプリ優勝。シマノインストラクター、チームステファーノ&くろしおマスターズ所属。