今まで11回にわたってスナイパー釣法を説明してきました。今回は今シーズンのカワハギ釣りの傾向と対策などを、これまでの実釣経験から総括してみたいと思います。まだまだカワハギシーズンは続きますので、これからの釣行にも役立つ情報も紹介してみます。
▲ 掛けアタリを取ってうまく合わせた瞬間。この日、ワッペンサイズのカワハギは下を向かせて掛けまくった
今シーズンのカワハギは当たり年といえるでしょう。関東周辺の著名な釣り場、南房から相模湾まで平均的に釣れているし、日並みによるムラはやむを得ないとして、トップで50枚以上も当たり前の釣果はここ数年例を見なかったことです
ただ、そんな年だからこそカワハギの釣れ方に、一つの傾向が見られました。
ピンポイントを集中的に狙え
▲ 今期はキャスト釣法が不発に終わることが多く、縦の釣りを多用した
今年も各地の釣り場に釣行しました。ホームグラウンドの館山~勝山沖、大会やプラの釣行を重ねた竹岡沖、ただ今絶好調の剣崎~城ケ島沖、ロケやプライベートで釣行した長井~腰越沖などがメインでした。
総じて言えるのが「カワハギが縦には追うが、なかなか横には追ってこない」という現象です。分かりやすく説明します。
たとえば横の釣りで仕掛けをキャストします。ある一カ所でアタリがくると、通常はカーブフォールやズル引きで手前に寄せながら掛けアタリで合わせるのですが、今年はそれが通用しません。
カワハギはエサに執着するので、食い気のある個体は仕掛けに着いてくるのですが、今年は少しでもポイントを外れるとアタリが消えてしまうので、ピンポイントを集中的に攻めるしかないのです。
ただし横には着いてこないカワハギも1メートルくらい上までは追ってくる傾向が見られます。つまり横の釣りでアタリをとらえたら、船の動きに配慮しつつその場所でリールを巻かずに揺さぶりかカーブフォールを繰り返すという、ちょっと難しい釣り方となります。
これが今シーズン、皆さんのキャスト釣法がハマらない原因の一つだと考えています。
仕掛けにも工夫が必要です。上に追ってくるカワハギにはアシスト(20~40センチ)が有効。ハリは吸わせ系、縦の釣りではハゲ系が有利となります。
以下は今期のカワハギの、個人的な見解です。
「過当競争を生き抜くためか、エサのある所に居座ってその場所(根周り、ツブ根、ヨブなど)を離れたがらない」
これは個体数が多いからこその現象なのだと想像します。
ワッペン対策に2つの手段
今期はどの釣り場にもワッペンサイズのカワハギが沸いています。このサイズが苦手な人も多いようですが、数釣り勝負の大会を勝ち上がるにはワッペン攻略が必要不可欠です。
まず、ワッペンは底から2メートルの間に群れている場合がほとんどです。活性の高い群れはオモリが着底する前にエサをかすめ取ってしまうほど、素早い動きを見せます(通称高速ワッペン)。
▲ ワッペンの釣り方……宙でエサを取られるときは揺さぶりながらゆっくりとオモリを底まで下ろしていく
ワッペンは小さなアタリを取って掛けにいくより、仕掛けを動かして自動的に、または空合わせ気味にハリ掛かりさせる釣り方が効果的です。
まずオモリ着底から2メートルまでの幅を、揺さぶりでアタるタナを探し、わずかでもアタリをつかんだら2つの釣り方を試します。
一つはその位置で揺さぶり続け、自動的にハリ掛かりするのを待つ釣り方で、主に活性の高い群れの場合です。これには吸わせ系6.5~7号のハリを使い、ハリス長の2倍(10センチハリスなら20センチ)を揺さぶり幅とします。掛かりが悪いときはハリス長を3~4センチまで詰めることもあります。竿は中硬を使用します。
もう一つがアタるタナでいつまで待ってもエサだけ取られて掛からないとき、活性が低くエサの吸い込みが悪い場合です。
これにはゆっくり揺さぶりながら仕掛けを底まで下ろし(カワハギを下に向かせる)、掛けアタリで合わせるか、ひと呼吸待って空合わせをしてみます。吸わせ系でじっくりハリを飲み込ませるか、ハゲバリのハリ先だけで掛けていくイメージです。
この場合は3.5~4号の小さめのハゲバリか6.5~7号の吸わせ系で、硬めの竿がおすすめです。
以上が2017カワハギ釣り、私の総括です。次回からは関東周辺の釣り場別攻略法をメインに解説していく予定です。