スナイパー釣法におすすめのタックル

これまで7回にわたってスナイパー釣法の特長や釣り方を解説してきました。今回からはタックル、仕掛けなどについて説明したいと思います。スナイパー釣法はキャストしたり、竿の反発を生かして掛けたり、様ざまな誘いの中で小さなアタリを取るなど、通常のカワハギタックルや仕掛けとは一線を画すメソッドが存在します。まずおすすめタックルから説明しましょう。

▲ 鈴木さんのカワハギ釣りにオフシーズンはない。数少ない乗合船宿を頼りに釣行を繰り返す

 スナイパー釣法で釣り方の次に重要な部分となるのが竿の選び方です。素材、硬さ、自重、調子といった竿の基本から、スナイパー持ちに適した長さ、構造までが関係してくるからです。

▲ 夏のカワハギは低活性ながら良型が中心。鈴木さんが最も頭を悩ませるシーズンだ

手感度に優れた竿が基本

 基本となる縦の釣りでは、底から3メートルくらいの「宙」からオモリ1個分上げた程度の「浅宙」までのレンジを狙う場合がほとんどです。

 縦の釣りでは仕掛け全体を張った状態でアタリを待つので、アタリは手感度に頼ることになります。

 これまでに解説した誘い上げ(下げ)、聞き上げ(下げ)、高さ出しや各種フォールなどの様ざまな釣法で、触り、モタレなど仕掛けの周りにカワハギがいる気配を察知するパイロットの釣りを行うとき、また前アタリや掛けアタリなどのアワせ時を判断するにも手感度次第となるからです。

▲ 「軟らかめの竿でもしっかり手感度があります」タフテック+ハイパワーXソリッド穂先がお気に入り

 手感度優先となれば、なんといっても硬調の竿でしょう。9:1といった超先調子が手感度に優れています。それに反発力の高いカーボン素材、加えてエポキシなどの接着剤を抑えたカーボン純度の高い素材を使った竿であれば、さらに手感度はアップします。

 例をあげれば「ステファーノ攻HHH」、発売されたばかりの「ステファーノCI4+H170-2」などがおすすめです。タフテックカーボントップ、高弾性カーボン本体にネジレやつぶれ剛性を向上させたスパイラルX構造で、手感度に関しては最強の竿と言えるでしょう。

 逆にゼロテンからマイナス状態(聞き下げ、フリー&テンションフォール)で待つときは、目感度に頼ることになります。張っている仕掛けを「抜いた」とき、フォール中に出る触りやモタレは手感度では出にくいからです。

 この場合は8:2前後の中硬調、穂先の軟らかい竿がおすすめです。かといってあまりに軟らかすぎると聞き上げたときの手感度が損なわれるので、竿全体のバランスも必要となります。

 おすすめは「ステファーノ180」、「ステファーノ攻S175」となります。穂先には手感度だけでなく目感度にも訴えるタフテック&ハイパワーXソリッドを備えており、掛けにいくタイミングも伝えてくれます。

 いずれにせよスナイパー釣法には硬調の竿を基本とし、活性やタナによって使い分けるのがベストといえます。

▲ 実釣には3セットを持参。「これ以外に低活性の真夏と極寒時にはステファーノ攻Sが活躍します」

 その他の部分にも言及しておきましょう。全長は1.8メートルで、グリップの先から竿の先端まで1.3メートル、グリップの先からバットエンドまで50センチが理想です。通常の竿よりバットが長いのは両手持ちとなるスナイパー釣法でホールドしやすいからです。

 また、この長さはグリップが重心となる配置で、テコの原理を応用するスナイパー釣法には最も適しています。

 ステファーノシリーズのガイド数、配置にはそれほどこだわりませんが、昨年の製品から採用されているXガイドは秀逸です。フットが短いのでよじれることはないし、糸絡みも抑えてくれます。

▲ 「Xガイドの長所は糸絡みを抑えるだけではありません」と鈴木さん

 またカワハギ竿は軽量であることが優先されますが、個人的には必ずしも「軽さ=感度」とは思っていません。スナイパー釣法は両手持ちなので、自重はそれほど気にならないし、多少重くても感度のいい竿はたくさんあると思っているからです。

 最後にリールに関して述べておきましょう。横の釣りで投げることを多用する意味で、キャスト性能に優れたリールが優先されます。

 私が使用するのは「ステファーノ100XG」、「スティーレ100HG」などです。いずれも遠心力ブレーキにSVSを採用しているので、キャスト性能は非の打ち所がありません。

▲ 使用するリールはステファーノとスティーレ。
「ギア比は7程度が好きです。ローギアは浅場の良型狙いで使用します」

 その他、HAGANEボディ、X-SHIP、CI4+などシマノの先端技術をすべて搭載しているので、軽さ、強さ、なめらかな巻き心地とパワーなど、まさにカワハギに最適なリールと思っています。

check

▲ これも7月発売の新製品。ステファーノXGの特性はそのままに、ベアリング数を抑えることでコスパ価格に。100HGと101HG。ギア比7.2、自重160g、ベアリング数4/1、メーカー希望本体価格2万8000円

BACK NUMBER バックナンバー

PROFILE プロフィール

鈴木 孝(すずきたかし)

1963年生まれ。カワハギをはじめ、マルイカ、湾フグなど「アタリをとる釣り」に精通。東京都江戸川区在住。釣り歴45年以上。幼少のころから様ざまな釣りに親しむ。船釣りは中学生のころから自宅から近い浦安の吉野屋に通い詰め、ハゼ、シロギス、カレイなど江戸前の小物釣りを楽しむ。現在はカワハギを中心にマルイカ、アナゴ、フグなど釣行は年間70回以上。カワハギ歴は約15年以上。2007年ごろから競技に重点を置くようになり、様ざまな大会に出場するようになる。主なタイトルは2015シマノステファーノグランプリ優勝。シマノインストラクター、チームステファーノ&くろしおマスターズ所属。