前回は「縦の釣りのアレンジ」を解説しました。スナイパー釣法の応用編の最後を飾るのが「横の釣りのアレンジ」です。縦の釣り同様、横の釣りでも本編で説明した釣り方が通用しない場合があります。主にベタ底に近いタナを狙うのが横の釣りですが、潮が速かったり、船の動きが安定しなかったりすると思いどおりに仕掛けをコントロールできない場合があります。
▲ 潮の速いときなどには通常の縦の釣り、横の釣りが成立しないので釣り方のアレンジが必要となる
底のタナに対応する横の釣りでは仕掛けを投げて、高さ出しからテンションフォール、フリーフォールなどを駆使して喰わせるのが基本でした。
ただ、海の状況によってはこれまで説明した横の釣り方だけでなく、縦の釣りさえ通用しない場合があります。それは以下のような理由によります。
- A潮下の釣り座(手前から沖に払い出す潮流)で潮の流れが速く、なおかつタナがやや浮き気味のとき。または潮先に座っていても船の動きが速く、仕掛けが安定しないとき。
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B潮下の釣り座で風が強くて船の動きが安定せず、ベタ底ダナのとき。
▲ 梅雨時は浅場で良型を拾い釣りするパターン
▲ 鈴木さんの自製仕掛けは枝間に違いを持たせて作っている
▲ 横の釣りには吸わせ系のハリが活躍する
うたせの釣りを覚えよう
まずAのケース。潮の流れが速いときは、オモリを底に着けてフォールの操作をしようと思っても、オモリが浮き上がってしまったり、仕掛けが流されてしまい、イメージどおり喰わせることができなくなります。
そんなときに効果的なのが、「うたせの釣り」です。これは仕掛けを潮の流れにまかせてアタリを待つ釣り方です。仕掛けはハリス6センチの、ガン玉や装飾品もないシンプルなものを使用します。
詳しい手順を示すと、
- 1仕掛けを投げる。
- 2カーブフォールでオモリが着底。
- 3揺さぶりながら高さ出し。
- 4そのまま仕掛けを潮に「うたせ」てアタリを待つ。
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通常は④の動作をしていると、いずれオモリが着底するので、すぐに③~④を繰り返します。ポイントはオモリが底をこすった程度であっても、すぐに高さ出しに入ることです。
▲ まずは仕掛けをキャストすることから始める
ただし、極端に潮が速いときは④の動作でオモリがサスペンドしたままとなったり、吹き上がってしまうこともあります。ころ合いを見て仕掛けを入れ替えましょう。
うたせの釣りではオモリがゆっくりと落ちていくときと、サスペンドしているときにアタリが出ます。仕掛け全体が張っているので、小さなアタリが取りやすく、スライドしやすいという特長もあります。
ズル引きのゼロテンション
Bのケースはタナは底と分かっていても、潮下の釣り座、風の影響で船の動きが安定しないときの釣り方。カーブフォールやフリーフォールの操作をしようとしても、オモリが底を引きずってしまうとき。またゼロテンションで釣ろうとしても、仕掛けがすぐに張ってしまうときに有効です。
底狙いなので仕掛けは下バリだけ10センチ、状況で真ん中のハリスも10センチとしたほうがいいでしょう。手順は、
- 1軽く仕掛けを投げる。
- 2オモリが着底したら、オモリ1個分持ち上げる。
- 3自然にオモリが着底したら、再び②に移る。仕掛けが潮に流されないよう、小さく山歩きさせる感覚。
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要は仕掛けをボトムバンピングさせることで、仕掛けを張ったり緩めたり、オモリの位置を変えて幅広く探ることでアタリを多く出すという目論見です。
これがスナイパー釣法でいう「ズル引きのゼロテンション」となります。
この釣り方でも仕掛けが張っているときが多いのでアタリを取りやすく、スライドしやすいのが特長です。
▲ スライドがうまく決まった瞬間。仕掛けが張っているので、アタリは取りやすい
以上の釣り方は、一日を通して活用することはまれです。潮が速くなったり、船が安定しなかったり、潮の流れが変わって潮下になったりといったときに、これまで説明した縦の釣り、横の釣りが通用しないときに行う釣り方。要は釣れない時間帯を作らないための応用編です。
以上でスナイパー釣法の釣り方編は終了です。次回から、スナイパー釣法に向いたタックル、仕掛け、その他の用品や、それらに見合った釣り方も解説していきます。