ここまで4回にわたってスナイパー釣法の基本となる縦の釣りと横の釣りを紹介してきました。とはいえ実際の釣りでは、ポイントや潮具合によってこれまで紹介したパイロット釣法が通用しないケースもあります。そこで今回から縦の釣りと横の釣りのアレンジ編を2回にわたって取り上げます。まずは縦の釣りで、タナが極端に上ずっているとき、逆にベタ底でしか食わないときの対策です。
▲ 通常の縦の釣りではエサすら取られない状況もある。意外なほど高いタナ、逆にベタ底の場合だ。これもスナイパー釣法なら十分対処できる
基本となる縦の釣りは、一般的なカワハギのタナとなる底から3メートルの間を狙う場合を説明してあります。しかし、時として底から5メートル以上も上ずったり、逆に底ベッタリでしか食わない場合もあります。
▲ とくにこれからのシーズンはベタ底の攻略に悩まされる
そんな状況に出くわしたときの対処法、スナイパー釣法での組み立て方が今回の主旨です。
- 1タナが上ずっている場合
- カワハギは時として底から5メートル以上のタナで釣れるときがあります。いわゆる「サスペンド」という状態で、コマセ釣りを行っているポイント、50メートル前後の深場、付近に定置網などがあるような所でよく見られます。
そんな釣り場では底から徐々に上へと探ってみる方法が一般的ですが手っ取り早いのが「探見丸」の使用。浮いた反応は、はっきりと画面に出るのでタナを直撃できるのです。
釣り方としては底から1メートル刻みで探り上げていき、狙いのタナ、たとえば底上5メートルとしたら4メートルあたりまで誘い上げ、そこからゆっくりと揺さぶりを入れて5メートルまで探り上げていきます。触りがあったら、その位置で上下1メートルを同じく揺さぶりながら次の触りを取ります。
手元にカツカツときたり、穂先が少し曲がり込んだままとなる「モタレ」がきたら、そのままゆっくりを竿を持ち上げ、竿の反発力を生かして掛けにいきます。これを「モタレ掛け」と呼んでいます。
この場合、竿の選び方にも気を遣ってください。宙の釣りでは手感度重視で硬めの竿を使用するのが一般的で「ステファーノ攻HHH171/同HH165」などを好んで使っています。触りも取りやすいうえ自動的にハリ掛かりしてしまうこともあります。
ウネリの高い日や、アタリを弾くようなときには「ステファーノ180」がいいでしょう。柔軟性のある穂先が食い込みを促してくれます。 - 2タナがベタ底の場合
- カワハギは初夏の産卵期、真夏の高水温時、真冬の厳寒期、平たんなポイントや潮がまったく流れないようなときは、ベタ底でしかエサを追わないときがあります。
ベタ底狙いでは横の釣りへの転換も考えられますが、船下のピンポイント、根掛かりしやすく投げづらい所を狙う場合は縦で狙うほうが効果的なのです。主に宙が有効と思われがちな縦の釣りですが、ベタ底狙いにも有効な釣り方が存在します。
▲ ベタ底狙いはゼロテンション、フリーファール、テンションフォールが基本
今回はカワハギが底で這いつくばっているような場合、つまりゼロテンやフォールなどを駆使しても下バリにしか食ってこないようなときの狙い方です。
手順としてはまず下バリのハリス長を10センチとしてエサが底ギリギリにある状態とします。これでも下バリにしか食わないようなら、ガン玉が活躍します。水深や潮流にもよりますが、0.5~1号の重さでいいでしょう。
ガン玉を打つ位置は図のとおりです。ゼロテンやフォールをしながら、上バリと中バリの中間から打っていき、徐々に打つ位置を下げていきます。
これはすべてカワハギを下に向かせて食わせるための工夫です。要はどのハリをテンションフォールにし、どのハリをフリーフォールさせるかで、オモリの位置が変わってくるわけです。
そのほかに手順①~④以外に、オモリを複数個打ったりして、シモリ式にする方法もあります。色いろと実釣で試してみれば、思わぬ結果が生まれることがあるはずです。
使用する竿は目感度重視という観点から、軟らかめがおすすめ。私が使用しているのは「ステファーノ攻S175」です。揺さぶりやフォールの最中でも竿先にアタリが出やすいうえ、オートマチックに掛かってしまうこともあります。
▲ 今回のおすすめロッド