スナイパー釣法の応用Ⅱ 横の釣りその1

応用編の後半はスナイパー釣法での横の釣り。仕掛けにある程度張りを持たせ、立てた状態で釣るのが、スナイパー釣法の基本となる「縦の釣り」である。これに対し仕掛けを投げて寝かせながらアタリを取ることを「横の釣り」と呼び分けている。基本的に横の釣りは縦の釣りの延長であるが、オモリの引き方や仕掛けの動かし方などが通常のキャスト釣法とは異なっている。

▲ 鈴木の遠投力は群を抜いている。いつもは飛距離の出るステファーノ攻HHH171を常用するが、この日はシケ模様だったこともあり、ステファーノ180を使用

 カワハギ釣りでは夏季を中心として群れが広く散っているときや、比較的海底が平たんな釣り場では、仕掛けを投げて幅広く探る釣り方が効果的です。

 また、縦の釣りでは食いの悪いとき——幹糸を張った状態でアタリはあるものの掛かりにくい、バラシも多いときなどは横の釣りにチェンジします。

▲ 食い渋りの実釣日、縦の釣りは封印し、横の釣り主体で数をかせいだ

 もう一つ、潮下の釣り座で、カワハギの寄りが今一つのときなども、狙う筋を変える意味で仕掛けを投げたりします。

▲ 剣崎沖は根の荒いポイントが多いが、仕掛けを引きずらずにカーブフォール主体で釣れば根掛かりも防げる

 横の釣りではまずスムーズに仕掛けを投げられることが前提です。どちらかと言えば硬めの竿が遠投には有利となります。リールは「ステファーノXG」など、スーパーフリースプール、SVS(遠心力ブレーキ)機能がついたものが敏速なスプール回転の立ち上がりに加え、バックラッシュを抑えてくれるのでおすすめです。

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▲ ステファーノ100XGはギア比7.9で仕掛けの回収もスピーディ。
キャスティング性能も大幅にアップしている

 横の釣りの詳細は上図と表にあるとおり。以下、多少の補足事項を掲げておきます。

高さ出し
 仕掛けをある程度の高さまで誘い上げる動作を「高さ出し」と呼びます。基本的に根周りなどでは1~2メートル、平場では1メートルくらいとし、仕掛けを揺さぶりながら誘い上げていきます。これは次のカーブフォールをさせる事前動作ともいえます。
カーブフォール
 誘い上げた位置から道糸にテンションをかけたまま底に向かって落とし込んでいく動作。ここで前アタリを感じることがよくあります。
ゼロテンション~フリーフォール
 中オモリ(集寄)がなければフリーフォール。
ゼロテンション~テンションフォール
 中オモリが付いていればテンションフォール。
ズル引き
 オモリが着底したら高さ出しをしないで、ゼロテンションからフリー(またはテンション)フォール→オモリを底に着けたまま手前に引き寄せる。
スライド
 つまりは合わせる動作のこと。オモリが宙にあっても底にあっても、仕掛け全体をスライドさせるイメージで合わせる動作を言います。

 横の釣りは縦の釣りの延長という考え方ですが、釣り方のプロセスは異なっています。縦の釣りでは道糸を張った状態でアタリを感じて合わせにいきます。これに対し、横の釣りでは道糸は常に潮の抵抗を受けて弛もうとする力が働くので、釣り手が常に道糸を張らせるようにしていないとアタリを感じられません。これが縦と横のプロセスの違いとなるわけです。

▲ 「前アタリは色んな動作の中で感じ取れます」と言いながら竿先に視線をとがらせる

 次回は実戦における横の釣りの組み立て方を紹介します。

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PROFILE プロフィール

鈴木 孝(すずきたかし)

1963年生まれ。カワハギをはじめ、マルイカ、湾フグなど「アタリをとる釣り」に精通。東京都江戸川区在住。釣り歴45年以上。幼少のころから様ざまな釣りに親しむ。船釣りは中学生のころから自宅から近い浦安の吉野屋に通い詰め、ハゼ、シロギス、カレイなど江戸前の小物釣りを楽しむ。現在はカワハギを中心にマルイカ、アナゴ、フグなど釣行は年間70回以上。カワハギ歴は約15年以上。2007年ごろから競技に重点を置くようになり、様ざまな大会に出場するようになる。主なタイトルは2015シマノステファーノグランプリ優勝。シマノインストラクター、チームステファーノ&くろしおマスターズ所属。