スナイパー釣法は基本的に縦の釣り、前回は揺さぶりを中心に様ざまな誘い方があることを解説した。今回はその応用編として、釣り開始からどんな釣り方でカワハギにアタリを出させるのかを具体的に説明する。前回の内容、竿の反発力を抑える付則事項と合わせてご理解いただければ、スナイパー釣法のほとんどはマスターできるはずだ。
前回、縦の釣りには①誘い上げ、②誘い下げ、③ゼロテンション、④聞き上げ、⑤フリーフォール&テンションフォール、⑥聞き上げがあると説明しました。これを頭に入れたうえで実戦でパターンと、合わせから掛けるまでを解説しましょう。
釣り開始の合図が出て、仕掛けを投入したら、下のイラストにあるとおり①~⑥の釣り方を、パイロット(様子見)という意味合いで順番に実践していきます。
カワハギの捕食パターンはポイントにより、潮流により、潮色により、時間帯により様ざまなのは皆さんもご存じでしょう。どんな誘い方でアタリが出るかをリサーチし、その日の捕食パターンを探すわけです。
▲ カワハギはポイント、時間帯、潮の流れなどでエサの追い方が変わる。一つの釣り方に固執してしまうとアタリそのものが減ることも
これは同じ釣り場に通い続けても、またポイント移動したときも、アタリが出なくなったときにもおこないます。
下図にもある「パイロットの釣り」で、まず以下の事項を頭に入れながら前アタリを出すことに専念します。
- どのタナで?
- どんな速さ(仕掛けを動かすスピード)で?
- どの動作(①~⑥)で?
加えて、オモリが底をたたく感覚で底質(岩礁帯か砂地か)やエサ取りの有無と食うタナもリサーチします。
どうしてもアタリが出せないときは以下のことにも留意してみてください。
- カワハギを常に下へ向かせることを意識する
- ゼロテンション以外では常に仕掛けを動かす(揺さぶりなど)
- タイムラグ(一つの動作から次の動作に移行する間)を利用して時間差で掛ける
- 一つのパターンにとらわれない
- 触り~前アタリが出てから掛け方を決める
- アタリが出せなくても常に攻めの釣りを心がける
縦の釣りでは宙層でアタリを待っているのではなく、底から宙までの間のタナを探し、誘いの動作と掛けにいく動作を一体化してカワハギを掛けること。これが結論となります。
▲ パターンが合ってしまえば独り舞台もめずらしくない
縦の釣りこそスナイパー竿の反発力を抑えて釣る
付則事項としてスナイパー釣法がなぜ縦の釣りに有効なのかを解説し、縦の釣り応用編を締めくくりましょう。
それは竿先の反発力にあります。竿は負荷がかかればその分だけ反発力が生まれます。底から宙のタナまでを狙う釣りではゼロテンション以外は、常にオモリの重さや、道糸への潮の抵抗といった負荷が加わっているので、相当の反発力が発生しています。
たとえば従来の持ち方で誘い上げ、誘い下げを繰り返す釣り方では、竿先に受ける負荷によって生じる反発力が竿の角度によって異なり、高負荷時にはアタリが出ても小さく、強い反発力のせいでエサを離すこともあるでしょう。
▲ 穂先の感度を生かしつつ反発力を抑えて食い込みを促す。スナイパー釣法でこそ可能な釣り方だ
竿の角度を上げているときには合わせしろも狭くなるので、アタリの割には掛けられない事態も起こります。
ゼロテンションで反発力を抑える方法もありますが、宙で釣るよりさらにアタリは小さくなり、掛けづらくもなります。
そこにスナイパー釣法のさらなるメリットが存在します。竿先に受ける反発力は同じですが、竿を海面と平行に維持することで、反発力が竿全体に分散して負荷を抑え込みます。さらに肘の収縮と上下の動きでウネリに対しても平行に維持したまま対応できます。
こうして極力ハネを抑えることにより、アタリを増幅し、食い込みを促し、掛けやすくもなるというわけです。これぞスナイパー釣法のもう一つのメリットといえるのです。
次回は、キャストを含めた横の釣りを解説したいと思います。